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主人公兄、来城

 

 「やあ、セオ」



 「兄上!」




 手紙が来てから3日が経って、少し跳ねている群青色の長い髪を緩く纏めているタレ目気味の緑の瞳、右目の下に涙黒子がある兄、セフィア・ライド・オーファンがサクリファイス皇城に来た。後ろに騎士を従えているというのに俺を見るなり抱き着いてきた。




 「お~よしよし、私の可愛い弟よ~、皇配を楽しんでいるかい?」



 「あ、兄上、おやめください。他の方々が戸惑っています!」




 「いいんだよ、私の方が偉いんだから」




 そう言ってけたけたと笑う兄上。

 兄上はこう軽く言っているが、ヴァリアース大国の騎士団長をやっている。ヴァリアースで1番強いのだ。それは誇らしいことではあるのだが、このとおり少しズレているのだ。



 「ようこそいらっしゃいました、お兄様」



 「やあ、アミィール様。お元気そうでなによりだ」




 共に居たアミィール様も兄上に頭を下げる。それなのにこの軽い調子なのだから、俺達兄弟は似ていないと断言できる。



 しかし、そんなことを気にしないと言わんばかりにアミィール様は控えめな笑みを浮かべて言う。




 「皇帝が玉座の間で控えています。


 他の騎士団の方々はガロに案内させますので、よろしければ挨拶を。お疲れの場合は無理せず」



 「いや、大丈夫だ。弟の事も面倒見てもらっているし、挨拶を先にしたい」



 「了解致しました。では、案内させていただきます」



 「ああ………って、いつまで引っ付いているんだ、セオ」



 「…………兄上が抱きついているので離れられないのです…………」




 セフィアに肩を抱かれたセオドアはげんなりとした顔をした。







 * * *





 「お初にお目にかかります、サクリファイス大帝国皇帝様。


 ヴァリアース大国騎士団長として参りましたセフィア・ライド・オーファンと申します。



 この度はお招き頂きありがとうございます」





 セフィアはそう言って膝を付き最上の礼を尽くす。目の前には____サクリファイス大帝国皇帝、ラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイスと皇妃、アルティア=ワールド=サクリファイスの姿があった。その後ろにアミィールとセオドアが控えている。




 勿論そんなセフィアに声をかけるのはこの人。




 「セフィアくん久しぶり~!ようこそいらっしゃい!我が親戚よ~!元気にしてた?」



 「は。家族全員健康でございます」



 「家族じゃなくて!セフィアくんのこと聞いてるの!」



 「………私も元気でございます」



 「そっかそっか、よしよし。元気が一番よね、ごめんね、遊びに行けなくて」



 「いえ、サクリファイス大帝国は大国であらせられますゆえ、仕方ないことだと」





 「いっそのことヴァリアース大国から引っ越しておいで!そして一緒に住もう!」


 「それは楽しそうでございますね」




 「でしょう?ガーネットさんと手紙のやり取りばかりだから寂しかっ……ぎゃぁぁぁ!」



 そんな皇妃とは思えないフレンドリーな会話をしていたアルティア皇妃様の頭上に黒い雷が落ちた。兄上がその音にびっくりして頭をあげて目を見開いている。気持ちは分かる。俺も初めて見た時はびっくりして声を失った。もうすっかり日常になってしまったが。



 そんなことを考える俺をよそにラフェエル皇帝様は静かに口を開く。




 「私の妃が騒がしくしてすまなかった。

 セフィア・ライド・オーファンよ。お前の滞在を認めよう。期日は10日。


 その間、私の側近であるリーブが指導責任者として務める。励め」



 「…………は。ありがたき幸せ」





 そう言って兄上は深深と頭を下げた。10日も居てくれるのか、少しくらい話せればいいな。




 そんなことをぼんやり思いながらその様子を見ていた。







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