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主人公は婚約を受け入れる

 





 「_____では、本当にお受けしていいのだな?」




 デートの日の夜、父__セシル・ライド・オーファンは息子のセオドア・ライド・オーファンに確認するように聞いた。



 セオドアはこくん、と頷いてから口を開く。




 「…………私がアミィール様と結婚したら、この家はどうなるのでしょう…………コロンブス家の者は、オーファン家を許すでしょうか…………」




 「なに、心配無いさ。エリアス女王陛下はサクリファイス大帝国の皇帝と親しくてな、アミィール様がセオを見初めたと聞いた時とても嬉しそうにしていらした。


 コロンブス家との良好な関係よりも、国と国の繋がりが深まることを心から喜んでいらっしゃった。その事で、セオ、近いうちにお前にも女王陛下に謁見して貰うからな」




 「じ、女王陛下と………………」




 改めて考えると、物凄く重い決断をしたのかもしれない。淡い恋心がよもや国交問題に関わってくるとは…………………




 今から震え出すセオドアに、セシルは豪快に笑って頭を撫でてやる。




 「まさかセオが皇女様に見初められるとはな!まあ、当然だが。お前のように心が優しく、立派な紳士はどこの国………いや、ユートピアにはいないだろう。




 そんなセオを見初めた皇女様は立派な皇帝になること間違いなしだな!」






 …………………うちの父上は重度の親馬鹿だ。悪い人ではないのだけれど、主人公ということを差し引けば普通の一般的な貴族の端くれです。いや、それどころか乙女男子で貴族以前に男としてどうかと思うのだが………………




 でも、俺は本当にアミィール様の婚約者になるのだ。それが嬉しくて口元が緩む。断罪イベント、求婚イベントが起きた時はどうなるかと思ったけれど…………………こんなにドキドキする女性は初めてで、そばにいたいと思うのも初めてで。ギャルゲーのことなどもうすっかりどうでもよくなっている。




 婚約を承諾したら、アミィール様はお喜びになるだろうか、溌剌とした笑みを向けてくれるだろうか、頬を紅く染めてくれるだろうか………………





 「…………………ふふふ、セオもすっかり皇女様に骨抜きのようだな」




 「な、………そ、そんなことありません!」





 にやにやといやらしく笑う父親の言葉を否定する。しかし父親は笑うのを辞めずに頭を掌でぐりぐりとしてきた。



 「顔が緩んでいるぞ?そのうち溶けてしまうのではないか?」



 「に、人間は溶けませんよ!それに緩んでおりません!」




 「ハハハッ、なんでもいいが、ちゃんと幸せにして差し上げるんだぞ?いくら次期皇帝と言えどレディなのだから、男がしっかり守って、支えてやらんとな。



 好きな女1人守れないで何が婚約者だ、という話だ」





 「…………はい!」





 セオドアは顔を赤らめながらも、しっかり返事をした。

 早く、アミィール様に会いたいな。

 …………もうすぐ卒業準備ということで自由登校になるし、アミィール様は学園にいらっしゃるだろうか…………残り少ない学園生活を共に過ごせたら……………




 そう考えると、心が踊った。








 * * *





 「…………………はあ」




 ヴァリアース城のある一室にて。




  アミィールは大きな溜息をついていた。



 そのまわりには____沢山の書類の山。



 これは全部父親に任された執務である。









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