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俺様系皇女

 





 俺はなにをやっているんだ!

 セオドアは顔を真っ赤にしながら汗をだらだらと流している。


 大帝国の皇女に触れたどころか抱き締めてしまった。その上偉そうに語ってしまった。不敬を超えた不敬。これはもう殺される。主人公補正でもカバー出来ない失態。




 というか!凄い普通に抱きしめてしまった!髪がサラサラなのにふわふわしたいい匂いがした!女子!女子の匂いだ!美少女の匂い………………?




 そんなことを考えていると、細い指の白い手が、自分の頬に触れた。顔を上げると____黄金色の目を細め、ほんのり顔を紅くしたアミィール様。ピンク色の花びらが舞っているのも相まって、美しさを際立たせる。



 また、見蕩れてしまう。

 美しい紅銀髪を揺らしながら、静かに言った。





 「____セオドア様、わたくしは貴方が好きです」



 「……………ッ」



 「知れば知るほど、貴方の傍に居たいと思ってしまいます。もっと近くに行きたい、もっと話をしたい。焦ってはだめだと必死に自制しているのですが………


 …………だめですね。一緒にいると、こうして触れたくなってしまいます」



 「_____!」





 アミィール様はそう言って、俺の頬に唇を落とした。触れるだけのやさしいキス。離れたいけれど、離れられないのだ。もっとこの柔らかい唇が欲しい。




 でも、そんなことを言えるわけもなく、慌てて言葉を紡いだ。




 「か、からかわないでください…………」




 「からかってないわ、……本当なのだけれど、信じて貰えないのは悲しいわね」




 ちゅ、ちゅ、と様々なところに唇を落とされる。い、イケメンすぎる………!この御方もう皇女じゃなくて王子じゃん!俺が男だぞ!?



 なんて、慌てている反面、雨のように降り注ぐ唇に嬉しいと感じている自分が居るのも確かで。



 「……………いや?」




 「ッ、いや、じゃ、ありません、けど…………は、恥ずかしいです……………」




 「ふふ、可愛らしい御方、…………お菓子みたいに甘くて、いくらでもしちゃいそうです」





 そう言って、今度はアミィール様から抱き着いてきた。ヘンリーやロヴェンがやるようないやらしいものではなく、本当に優しく、大切に自分を抱きしめてくれている。






 本当は_____今日、婚約の申し込みを断ろうと思っていた。


 自分には相応しくないからと理由をつけて、離れようとしていた。




 けれど。こんなにもキスも抱擁も心地よくて堪らない。



 主人公として、ではなく……………俺として、この人と共に居たい。共に居て、こんなに幸せだと思える人は居なかったから。



 ……………帰ったら、婚約を承諾してもらおう。





 「……………ねえ、セオドア様。



 いま、わたくし……………凄く幸せ」




 「____私も、です」




 セオドアはそう言って、何度か躊躇しながらアミィールの背中に手を回した。しかし、アミィールはほんの少し離れ、セオドアを見る。



 顔を赤くしながらも緑の目を細め本当に嬉しそうにするセオドアに、唇を寄せ…………って!




 「そ、それはだめです!ま、まだ私達は………」



 セオドアは真っ赤な顔のまま目を閉じて止める。アミィールはふふ、と笑う。



 「その顔はどうみたってキスをする顔じゃないですか」



 「むぐ!」



 アミィールは目を閉じそう反論したセオドアの口にセオドア特製マカロンを咥えさせた。セオドアは目を開く。眼前には少しはみ出た自分の口にあるマカロンの端を齧るアミィールの顔があった。



 ち、ちか………と、というかこれはなんのプレイだ……………!?



 アミィールはマカロンの端を食べて、ペロ、と自分の口の周りを舐めてから意地悪く笑った。




 「……………まだ、ってことは期待してもいいんですよね?」




 「~~~ッ!」




 _____少女漫画で俺様主人公をやるタイプの人だ……………!




 セオドアは首まで真っ赤にしながら思った。

















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