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何が喜ぶ?

 



 「そんなことはどうでもいいのよ。……で、2人はとにかくその日が嫌いなのよね。だからセオドアくんに誕生日を言わなかったのよ。


 でも、好きな人の誕生日は何かしたいでしょう?」




 「もちろんです」




 セオドアは即答した。

 そんなの、当たり前だ。好きだからこそ、その人が生まれた日を祝いたいんだ。………アミィール様が嫌いな日だとしても、お祝いせずになんて居られない。





 とはいえ。




 「…………何をあげれば喜ぶのでしょう………」





 「それを相談したくてセオドアくんを呼んだのよ。セオドアくん、男の子だし。


 男の子は何を貰ったら喜ぶの?」




 「そ、それは……………」




 俺は乙女男子だ。普通の男子の好きな物と俺の好きな物が合致するとは限らない。とはいえ、ここで何も答えなければまた去年のように身体を差し出すという痴女丸出しのことをするだろう。それはさすがにラフェエル皇帝様が可哀想すぎるというか……



 いや、2人はおしどり夫婦だし、アルティア皇妃様の身体が嫌だというわけではないだろうけど、流石に形に残るものが欲しい……と思う。



 こういう時は…………



 「前世のことを思い出してみましょう、アルティア皇妃様は前世で付き合っていた異性になにをあげてたんですか?」



 「…………………付き合ったことないのよ」



 「あ」



 その場の空気が重くなる。それはもう頭上に雨が降ってるように見えるほど落ち込んでいる。………地雷だったか…………



 「あ、えっと、私が前世で貰って嬉しかったのは………時計とか、ですね」




 「お?前世でアミィール以外の女と付き合っていたの?」



 「う…………」




 この人面倒くさすぎないか?どれを言っても地雷というか危険というか………



 セオドアは真っ赤になりながら『とにかく!』と大きな声で言った。



 「一緒に考えましょう!きっと、ラフェエル皇帝様はアルティア皇妃様から貰ったものはなんでも嬉しいですよ」



 「そうかなぁ………やっぱり身体が………」



 「その思考はやめましょう。


 それより、誕生日はいつなんですか?」



 「……………春の月の18なのよ」



 「ええ!?」




 セオドアは立ち上がって驚く。

 あと1週間しかないじゃないか………!これじゃ何かを作るには時間が足りなくないか…………!?小物なら作れるだろうけれど、今回のプレゼントはちゃんといい感じのものをあげたいのに………!



 「なんで早く言ってくれなかったんですか!」



 「私もすっかり忘れてたのよ!」




 「あぁぁぁぁ………これでは作れないじゃないですか………」



 セオドアはその場で頭を抱える。

 アルティアはうーん、と悩んでから言葉を紡ぐ。



 「この際、本人に聞いちゃう?何が欲しい?って」



 「……………」



 セオドアは納得してない、という顔をする。本当に素直な子供である。というか、最近生意気になっている気がする。



 でもそんな顔したって仕方ないよね?日にちないし。



 「人生あきらめも大事だよ!」



 「爽やかな笑みで言わないでください!…………徹夜をして何か作れるものを………」



 「真面目か。………徹夜って言ったって最近よろしくやってるんでしょ~?」



 「ぐ、…………」




 顔が熱くなる。本当にデリカシー無い………!とはいえ、事実なのだが。うう、このままではこの人と同じように身体を差し出すことしか出来なくなりそうだ……それはいやだ……いや、アミィール様を抱きたくないわけじゃなく……



 「……と、とりあえず私も執事に聞いてみます……」



 「ええ。私もさりげなくアミィールに直接聞いてみるわ」



 こうして、俺達はそれぞれ『好きな人が喜ぶもの』を考えることとなった。















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