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皇妃様はズレている

 




 「よしっ!じゃあ話し合いをしましょう!」



 「はい」





 季節を忘れ咲き誇るひまわりに囲まれた真っ白なテラスで、アルティア皇妃様と話をする。もちろん、話す内容はアミィール様とラフェエル皇帝様の誕生日プレゼントの話だ。




 「アルティア皇妃様は、去年ラフェエル皇帝様とアミィール様に何をあげたのですか?」



 「ラフェエルは私で、アミィールには"肩たたき券"をあげたわ」



 「は?」



 思わず聞き返す。


 何を言っているんだこの人?


 私?肩たたき券?



 頭の中が『?』で一杯になるセオドアに、アルティアは上を見ながら思い出すように言う。




 「去年はー、たしかリボンバージョンだったね。前世でよくあるでしょ?『プレゼントは私~』つって。それをラフェエルに毎年やってるけどそろそろネタ切れなのよね。


 アミィールは基本『肩たたき券』か『魔法を教えてあげる券』、『執務をかわってあげる券』ね。白い紙に書いて律儀に毎年渡してるわ」




 「……………………」



 セオドアは驚くを通り越して、呆れた。

 センスも情緒も無さすぎる…………………

 この人本当に女で母親なんだよな?

 ラフェエル皇帝様もアミィール様も報われなさすぎるだろ………………



 「なんで、普通のプレゼントをあげないのですか?」



 「?だって欲しいものがあったら自分で買えるでしょ、だって大帝国よ?皇帝に皇女よ?


 何もかも自分で買えるし」



 「そうですけど、真心というものがありますでしょう?」



 「真心は込めてるわ!それはもう!ラフェーには身体ごと差し出してるし!


 アミィールにはそれはもう丁寧な字で書いてるもの」




 そう言ってドヤ顔している。

 言ってることは滅茶苦茶だしドヤ顔の意味はわからないけど、確かに大帝国となると大抵の物は手に入るし、プレゼントは迷うよな。…………俺もあげ尽くしてしまって何をあげればいいのか検討つかないし。




 とはいえ。




 「…………そのプレゼント、本当に喜んでもらえてるのでしょうか?」



 「ううん!ラフェーにはいつも見ただけで罰を落とされるし、アミィールには満面の笑みで破かれるわ!」



 「…………ですよね」




 この人のことだ、ラフェエル皇帝様と結婚してから、アミィール様が生まれてから懲りずにやり続けているに違いない。2人が哀れすぎる………ん?待てよ?





 「皇帝や皇女の誕生日なのに、何か式典とかやらないのですか?」




 「ええ。………昔はやっていたみたいだけど、2人にとって"いい日"じゃないからね」




 アルティア皇妃様はそう言って目を伏せる。いつも明るい顔が暗い。疑問に思ったセオドアは聞いてみる。




 「誕生日がいい日ではない、というのはどういう意味ですか?」



 「___『サクリファイス大帝国第1皇太子は20歳で死ぬ』…………聞いたこと、あるわよね?」



 「ええ、存じています」



 そう、俺は知っている。

 レイにも調べてもらったけれど、どうして死ぬのかはまるで分からなかったのだ。でも、なんでその話がここで………?



 アルティア皇妃様は静かに『そう』と言ってから続けた。




 「その誕生日に、………ラフェーは龍神によって殺されるはず、だったの」



 「龍神………!」




 また、龍神という名前が出てきた。第1皇太子を殺していたのは龍神……?なぜ?どうして……いやでも、そうだとしたら。




 「なんで、ラフェエル皇帝様は生きているのですか?第1皇太子、ですよね?」



 「____そうよ、第1皇太子だった。ラフェーは殺されるはずだったの。けど…………私と契約して、生き延びた」



 アルティア皇妃様はそう言って、黒いドレスから覗く金色の印_俺の持っている契約印よりも派手で複雑な模様をしている_に触れる。



 アルティア皇妃様と契約して死ななかった…………?



 考え込むセオドアを見てからアルティアは首を振って『それはともかく!』と言った。












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