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それはまるで家族の一コマ

 






 セオドア様がわたくしにヨウという赤ん坊を抱くように言う。正直、戸惑った。


 だって、こうして触れられたり、見られたりするだけでドキドキしてしまうのに、わたくしにそんなことは出来ない。そもそも、力加減なども分かりませんし…………




 「わ、わたくしが触れて…………傷をつけてしまっては…………」



 「大丈夫だよ、私を抱き締めてくれるように抱き締めればいいんだ」



 「で、ですが、わたくしの手は……」



 「穢れていたら、ヨウくんは近づかないよ」




 そう言ってにこにこと笑うセオドア様。とても意地悪な顔をしている。このような顔をするのは初めてで、きゅう、と胸が苦しくなる。もう共に時を過ごして2年過ぎているのに、新しい一面にクラクラする……………





 いえ、クラクラしている場合ではありません。………セオドア様は少し内向的な御方ですけど、1度やると決めたら必ずやる素晴らしい御方。わたくしがこれを断ってしまっては…………嫌われてしまうかもしれない。




 「ッ、で、では…………」



 「うん、ヨウ、暴れちゃダメだよ」



 アミィールは震えながらも、セオドアの腕に手を伸ばす。少し触っただけで、胸が張り裂けそう。セオドア様に触れる時とは違う緊張が、物凄く怖い。




 アミィール様が震えていらっしゃる。不安げで、今にも泣きそうだ。無理強いはしてはならないけれど、『自分が抱いていいんだ』と少しでも安心して欲しくて。



 「____はい、アミィ」



 「ッ…………!」





 俺は押し付けるように、アミィール様の腕の中にヨウを差し出した。アミィール様は意を決したように抱き上げる。ふるふると震えていた腕がぴた、と止まる。そして、腕の中のヨウは…………




 「あうー!」



 「…………ッ!」



 ……………アミィール様の腕の中でへにゃり、と笑って身を任せている。それを見たアミィール様は顔を赤くして、大きな黄金の瞳からポロポロと涙を流した。そして、おずおずと抱き締めている。愛おしげに、不器用に。




 「温かくて、小さい………抱きしめてしまっただけで潰れてしまいそうな、命…………セオ様、凄いです、わたくし、赤ん坊を抱けてます………!」




 涙を流しながらも目を輝かせて、僅かに笑みさえも浮かべてはしゃいでいるアミィール様。……それを見て、俺も和んだ。



 嗚呼、やっぱり俺の愛する人は……………とても愛らしい。可愛すぎる。かっこいいのにこのギャップは…………出会った時から、俺を笑顔にしてくれる。



 セオドアはそう思いながら、未だヨウを抱き締めているアミィールの肩を抱く。そして、緑色の目を細めて、笑った。




 「_____ね?アミィ、すごく可愛いでしょう?」



 「ええ…………可愛すぎて…………もう、わたくし…………怖すぎるくらい………ッ」



 「怖くないよ。大丈夫、私もそばに居るから」



 「んっ…………」




 セオドアは甘く囁くようにそう言って、愛おしい女の頬に唇を落とした。未だ不安の残る顔をしつつも、アミィールは微笑んでそれを受け、自分も唇を寄せた。




 「セオ様、…………貴方がそばにいてくださるだけで、わたくし、こんなにも___心強く感じております」




 「ふふ、なら嬉しいな。…………ヨウくんは今日から1週間、ここで過ごすから大事にしてあげようね」



 「はい、…………はい!」




 嬉しそうに笑うアミィールと優しく笑うセオドアはどちらとも言わず唇を「あぶー!」………………




 唇を重ねようとしたら、ヨウが小さな手で2人の唇を制した。それで我に返った2人は顔を赤らめ、それでも顔を合わせて笑った。











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