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聖の精霊との契約

※若干BL描写あります。ご了承ください。


 






 「…………………」




『…………………』






 俺は、ひまわり畑の真ん中に立っている。フラン様の話を聞いて号泣し、またまた決意を固めた。これはハッピーエンドでしかない展開なのに……




 セオドアはそう考えながら____目の前を見る。

 目の前には……白いボブのくせっ毛に、金色の瞳、シンプルな白いワンピースを着た美少年。



 この美少年、なんとなんと聖の精霊・カーバンクルなのだ。いつも大きなリスでもふもふ動物なのに!人間に戻るとこんな女の子みたいな男に……って!




 「フラン様!これはどういうことですか!?」




『うう、フラン…………』




 「うじうじしてないで早くキスしなさい!BL展開よ!美少年×美少年のキスは腐女子のエサ!」



 「答えになってません!」




 もう言われていることが滅茶苦茶だ。涙も引っ込む。というかさっきからひたすらこればっかり言われてる。なんのプレイだこれは!?




 パニック状態のセオドアに、フランは『わかってないわね~』と呆れたように言う。



 「キスすれば契約ができるのよ?カーバンクルは女々しくて引っ込み思案だから聖女以外と契約しないけれど聖女の私が!カーバンクルと契約をすること許すって言ってるの!



 そして!私が美少年同士のキスを拝みたいの!」




『え、ええっ!?ふ、フラン、ちょ、それは…………!』




 ドーン、と効果音が出そうな勢いで断言する聖女様。もうなんか、本当に滅茶苦茶としか言えない。見てください、美少年なカーバンクルも驚いてます。そして俺も頭がついて行きません。



 確かに契約印は誉高いさ、実際水の精霊・アクア様から貰った加護のお陰で水魔法は得意になったし、草木の調子が悪い時は太陽神・ドゥルグレ様に空模様を聞いたりもしている。



 すごく便利だし、これでフラン様の言う通り難易度が高いと言われる上位属性の聖魔法を扱えるようになったらアミィール様をお守りすることも出来るようになるだろう。




 だがしかし、考えてみてくれ。

 契約をするにはキスをするしかないんだ。そして俺は女とか男とか以前にアミィール様以外とキスをしたくないんだ。俺の唇に唇を重ねられるのはアミィール様だけなんだ。そして俺はアミィール様の夫なのだ。



 つまり何が言いたいのかと言うと、俺はキスをしたくない。



 セオドアはそこまで考えて、カーバンクルと目を合わせる。カーバンクルは心を読めるからきっと通じる。




 ……カーバンクル様、お願いです、フラン様を止めてください………。



『う、うん、……フラン、あのね、僕達、そういうの___「はい5分が経ちましたー」えっ……ん!?』



 「んんっ!?」




 カーバンクル様が何かを言う前に俺とカーバンクル様の後頭部はフラン様の御手に押され、その拍子で____奇跡的に、そして絶望的に唇が重なってしまった。急いで離れようとするがフラン様の力は意外と強く呪いのように離れない。




 「…………っ!?」




 そんなことをしているうちに白い魔法陣が生まれる。いつもの契約印を貰う時に出るものだ。魔法陣の文字が降り注ぐように俺の契約印のない方の手の甲に吸い込まれていく。


 今までの契約印と違って優しく温かい、ほんの少し疼くように契約印が刻まれた。



 それを見たフランはやっと手を離して、歯を見せて笑った。




 「ひひっ、ご馳走でございやんす………カーバンクルもカワイイ系美青年だし、セオドアくんも中性系美少年だからもうほんと、鼻血が止まらねえぜ………ぶひひ」





『フラン……鼻血出てる……ご、ごめんね?セオドア様……』




 「うぐ…………ひぐっ……………」





 俺はまた……アミィール様との約束を破り………男とキスをしてしまった……



 オロオロするカーバンクルと鼻血を噴射させて興奮しているフランの前でやっぱり乙女男子・セオドアは自己嫌悪を抱きながら泣いたとさ。







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