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20年前の旅 #とは

 





 「というかアンタの心、秋の空より変わりやすいわね~。最初はラフェー、次に私のお父さん、そしてダーインスレイヴでしょ?


 趣向変わりすぎじゃない?」



 アルティア皇妃様はそう言いながらじゃがいもとチョコを使って作った甘めのチップスを食べた。



 またまた衝撃である。ラフェーってラフェエル皇帝様だよな!?好きだったのか!?というかアルティア皇妃様のお父様って会ったことない!



 この乙女男子・セオドアはその名の通り乙女だ。この手の話は大好きで、驚きながらも心を弾ませ目をキラキラとさせる。それに、自分も幸せ真っ只中というのもあってその幸せを語り合いたいという気持ちを抱いている。



 女装していることもすっかり忘れ、ピンク色の脳内になってしまったセオドアはフランに聞く。



 「フラン様はラフェエル皇帝様が好きだったんですか!?」



 「うん、すっごく好きだったわ~、それはもう攫うほどにね。攫って、聖女の力を使ってアルティア先輩の契約印まで奪おうとしたの!」




 「………………」




 美女の口からサラッと攫う、奪うという言葉が出てセオドアは閉口した。甘酸っぱい恋愛話を聞こうとしたらどす黒い犯罪まがいな話に切り替わっている。フラン様は『でも』といってまたまた俺が作ったチーズをパリパリに焼いてみた物を食べながら言う。




 「アルティア先輩に半殺し……いや、殆ど殺されかけたの!それを救ってくれたのがガーランド様……アルティア先輩のお父様でね!私、一目惚れしちゃって!で、ガーランド様とまた会うために旅にも同行したんですよね~!」




 「あらやだ、懐かしい。私は殆ど覚えてないけど。寝て起きたらアンタとカーバンクルはボロボロだったし」



 「だ!か!ら!それは先輩が大暴れしたんですよ!それはもう大変だったんだから!妖精神達が止めに入ったのにやっぱり一撃で退けるし!ずっと殺すって言いながら………当時は怖くてその事を言わなかったけど!もう時効だよね!?」



『ね!?』と俺に話を振るフラン様。…………やっぱり、旅という言葉が出た。

 セオドアはほんの少し考える。各国の王族とサクリファイス大帝国皇帝夫婦は旅に出ている。何度も聞いて何度も疑問に思う。だってラフェエル皇帝様はこの国を統べる人、若い頃からそんなに自由に動けるはずがない。



 この前、レイが『どうやらラフェエル皇帝様はこの国の第1皇太子だった』という情報を教えてくれた。



『この国の第1皇太子は20歳になったら必ず死ぬ』…………こう記された文献は沢山ある。けど、ラフェエル皇帝様は生きているのだ。謎だらけである。いや、死んで欲しかったわけではないけれど。


 …………先日のアミィール様の一件で俺は改めてあの愛おしい御方を守ると決めたのだ。情報や謎を解明しなくてはならない。




 そう思い怖い顔つきをするセオドア。勿論フランに話しかけられていることなど気づいていない。フランはぷう、とフグのように年甲斐もなく頬を膨らまし、無理矢理自分の方を向かせた。



 「むぐ!」



 「可愛い格好してるのに怖い顔反対~!心優しいセアちゃんはそんな顔しないの~!」


 「す、すびばぜん…………」




 「…………まあ、やめてあげなさいな、フラン。セオドアくんも年頃なのよ。


 それより、なんでその次にダーインスレイヴを好きになるのよ」



 「それはッ、その………旅の時、に」



 「……………」




 フラン様はそう言って顔を赤らめる。この自由で明るい聖女様も女の子なのだ。可愛い仕草だと純粋に思った。どう見たって36歳には見えないな。








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