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主人公は魔剣を手にする

 




 ダーインスレイヴ様は静かにそういった。『サクリファイス皇族』と言う言葉を強調して。………というか、質問の答えになってない!




 「質問の答えは"ソレ"だよ。

 

 そのピアスは"俺"だ」




 「?」



 まるでわからないセオドアは首を傾げる。ダーインスレイヴははあ、と大きな溜息をついて『面倒くさいな』と言ってから言葉を重ねる。




 「アミィールもアルティアもラフェエルもそのピアスがついている。………それはな、俺を呼び出す為なんだ。


 そのピアスを付けながら"ダーインスレイヴ"と呼んでみろ。敬称はいらない」




 ダーインスレイヴ様はそう言って凄む。珍しく真剣な、怒った顔だったから震えた。これは逆らったら殺されるのではないか…………?



 セオドアは震えながら、か細い声で言う。



 「え、え、っと…………ダーインスレイヴ?



 ____!」





 俺がそう言うと、目の前にいたダーインスレイヴ様が消えて、アミィール様がよく使っている刃も柄も青紫色に染まったかっこいい剣が出た。それが俺の目の前でふわふわしていて、いかにも手にとれと言わんばかりだ。



 恐る恐る、その剣を握る。



『…………こういうこったな』



 「うわぁ!」



 突然、ダーインスレイヴ様の声がした。耳から聞こえたんじゃない、脳内に響く声。思わず剣を捨ててしまいそうになるけれど、手放せない。脳内に響く声がまた言う。




『ビビりすぎだ。俺だよ、ダーインスレイヴだ。この声は脳内に直接語りかける。…………俺はな、20年前に"友との約束"を果たしてからサクリファイス皇族を守る"魔剣"になったんだ。



 お前、自分で言ってたろ、サクリファイス皇族だと。なら、俺を使う資格はあるんだよ』



 「え、でも、私は………アミィール様やアルティア皇妃様、ラフェエル皇帝様より弱いです………」



 自分で言ってて情けなくなってきた。何が主人公だ俺。こんな俺がこんなかっこいい魔剣を操れるとは思えない……………



 剣を持っただけで泣きそうになるセオドアに、魔剣が声だけで溜息をついた。



『絶対使えるさ。俺だって1年もお前を見てたんだ。俺はお前と違って良い奴じゃないからな、誰にでも俺の体に触らせねえよ。…………で、俺はお前を認めたから使わせてやるんだ』



 「そっ、それは光栄ですが…………」




 未だに動揺している俺。かっこ悪いのはわかるけど!この魔剣は!ヒロインしか使えない設定だよな!?俺は!男だ!



『設定とかヒロインとか分からないな…………お前の脳内元気すぎるだろう。アルティアといい勝負だわ。


 信じられねえならほれ、使ってみろ。丁度リーブが来たから』




 「え?…………あ、リーブ様」




 ダーインスレイヴ様に言われて前を見ると____茶髪茶瞳の燕尾服のリーブ様が目を見開いていた。



 「セ、セオドア様……………!その、ダーインスレイヴ様に認められたのですか………!?」




 「え、いや、それは……………その…………」




 それはもう餌を見つけた犬のように目をキラキラとさせている。どう答えればいいかわからなくてモジモジしてしまうセオドアを他所に、リーブは剣を手に持った。



 し、真剣………!?俺は真剣を使ったことどころか今日まで持ったことすらないのに…………!?




 「あ、あの!わ、私は…………………!」



 「大丈夫です!ダーインスレイヴ様を持った御方に私は勝ったことがございませんので!」




 そう嬉しそうに言うリーブ様、それは喜んでいいことではないよ?だめじゃないか?おかしい、おかしいぞ………!?




 「では!行きます!」




 「ま、待ってくださ___ッ!」




 言うが早いか、リーブ様が突っ込んできた。もう目が本気、マジのマジで殺しに来てる!無理無理無理!



『無理じゃない、ほら、行くぞ____』



 「うわあっ!」




 俺は半ば強制的にリーブ様と剣を交えた。













※ご案内


魔剣が何者か気になる方は前作をお読みください。

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