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魔剣の事をよく知らない

 







 「では、休憩でございます。



 10分経ったら次は体術を行いますので呼吸を整えてくださいませ」




 「は、はい……………………」





 ガロがそういった頃には、俺は地面と仲良しになっていた。…………毎日やっているのにいつもこうなる俺は心の底から情けないと思う。ガロなんてこの10分のうちに執務をも行っているんだぞ?



 ……………………………サクリファイス大帝国はとても素晴らしい国だ。国民達は活気があり、物怖じせず、それでいて一人一人が自分の仕事に誇りを持って考え、行動している。2年も居ればそれは自然と俺にも刷り込まれる。



 ヴァリアースでは好きなこと以外は言われた事しかできなかった俺が、今では自ら剣を握り、この休憩時間だって孤児院の仕事を考えたり、領地での小さな悩みなどの解決法を考えているんだ。




 それもこれも、………全部アミィール様と出会ったからだ。ギャルゲー『理想郷の宝石』のキャラと結ばれていたら俺はここまで成長もできなかったし、…………ここまで深く愛する事も、愛される事もわからなかっただろう。




 ____運命というのは、些細なきっかけで変わるものなのかもしれないな。





 「よくわかっているじゃないか」



 「うわっ!」




 不意に見上げている空が青紫の長髪、黒瞳のイケメンの顔に変わった。俺は思わず飛び起きた。



 「驚きすぎじゃないか?」




 そう言ってぽりぽりと頭をかいているこの人は乙女ゲーム『理想郷の王冠』攻略対象キャラ、ヒロインの扱う魔剣で幽霊のダーインスレイヴ様だ。幽霊と言うだけあって神出鬼没、ぼんやり何かを考えていると突然現れる謎多き人だ。




 「相変わらず、セオドアの心は上手く読めないな。でも、謎多き、は読めたぞ。


 そんなに俺の謎が気になるのか?」


 「そ、それは……………」




 勿論、教えてくれるなら知りたい。

 俺はこのキャラを攻略する前に死んだのだ。やりたいと思いながら死んだからどんなストーリーだか気になる。乙女男子的に。



 そこまで考えたところで、セオドアはおどおどしながらもダーインスレイヴを見る。



 「し、知りたいです。私も、サクリファイス皇族の一人なんで…………」




 「ははっ、言うようになったじゃないか」



 「ッ」




 ダーインスレイヴ様はそう言って俺の頬を撫でた。流れるように普通に人の顔に触れるイケメンダンディは強すぎないか?俺もアミィール様に気軽に触れられるようになりたい………………未だに触れただけで顔が熱くなるんだ……………触れたいのに……………これは、深刻な悩みである。




 「お前の悩みは本当に可愛らしいものが多いなあ。本当に男なのか?………ああ、ついてる」



 「んなっ!」



 ダーインスレイヴ様はもう片手で俺の息子に触れる。ええそれはもう流れるように!『理想郷シリーズ』はもしやBLゲームなのでは?と思うくらいである………じゃなくて!



 「や、辞めてください!」



 「ふむ、中々デカイな。俺は驚いたぞ」



 「~ッ!からかわないでください!私はこれから武術の時間なんで失礼___ッ!?」




 言い終わる前にバチン!と大きな音が耳元にした。音と同時に耳が熱くなって痛い。な、何をされたんだ!?耳ついてるのか!?



 あまりの痛さと熱さに急いで右耳に触れる。そこには____ピアスが。鏡がないから色まではわからないけれど、シンプルな触り心地だ。




 「こ、これは……………?」



 「_____お前はサクリファイス皇族だろう?」














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