表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

153/470

愛おしい人の"背中"が好き

 





 「……………セオドア殿」




 「…………?はい?」




 ジメジメと女々しく悩む俺に、クリスティド国王陛下は声をかけてくださった。俺はクリスティド国王陛下を見る。



 クリスティド国王陛下は、テラスの手すりに両手を起きながら星を見つつ話す。




 「……………私が相応しいか相応しくないかはわからないが、アミィール嬢とそういう事にはならないさ。


 ……彼女は『運命を変えた証』だから、ね」




 「……『運命を変えた証』……?」




 クリスティド国王陛下は首を傾げる俺を見ずに、目を細めてそう言った。そして、まるで昔話を聞かせるような声色で続ける。




 「君が生まれるもっと前に____私は、アルティア様をお慕いしていた。それはもう熱烈にな。君がアミィール嬢にするように、自分は相応しくない、けれども笑いかけてくれる、自問自答して、些細な事に浮かれてた」




 「……………ッ」





 クリスティド国王陛下の言葉には熱が籠っている。昔の事だ、と言っているがこの言葉は…………未だに愛していないと言えない言葉。やはり、クリスティド国王陛下はアミィール様と結ばれるべき___「でも、それと同時にラフェエルも好きだ」…………?



 セオドアは下を向くのをやめて、再びクリスティドを見た。美しい国王陛下は遠くを見るように話し続ける。




 「ラフェエルは死ぬ運命にあった。………あの性格だから、死を受け入れていて、何度も私は悩んだよ。それぐらいラフェエルを友として好いていた。


 その友と愛する人が見つめあっていて___その時、気づいたんだ。




 私は、愛する人__アルティア様の背中が好きなんだ、と」




 「…………背中?」



 「そう。…………私に背を向け、ラフェエルを見つめているアルティア様が好きだったんだ。だから未だにお慕いしている。だって彼女は今もラフェエルと見つめあっているだろう?…………そして愛し合った結果、アミィール嬢が生まれた。



 死ぬしか道がなかった1番の友と神という地位を捨てても1番の友を愛そうとする想いを寄せる彼女が____運命に抗った結果なんだ。




 その証に____私は、邪な思いなど持てない」





 「_____ッ」




 そう言ったクリスティド国王陛下は……月に照らされて、金髪がきらきらと光ってて………優しい笑顔が輝いていた。諦めとも吹っ切れたとも取れる顔。クリスティド国王陛下は『君が邪だと言う訳では無いよ』と優しく言ってから、笑みを称えて言った。




 「私が結婚しないのは、未だにアルティア様の背中をお慕いしているから。この気持ちでアミィール嬢はおろか、他の女性と関係を持つなど不誠実だろう?



 それに、…………私達仲間が運命と苦しい、苦い思いをして戦って得た"私達が世界を救った証"であるアミィール嬢には、誰よりも幸せになって欲しいと全員が思っている。



 だからね、君にはとても感謝しているんだ」




 「え…………?」





 話の内容がよく分かっていない俺を、やっとクリスティド国王陛下は見てくれた。青い瞳を細めて、優しく俺の頭を撫でる。




 「_____アミィール嬢は、私たちの希望で守るべき子供。その希望が君を見て本当に幸せそうに笑っているんだ。………自分の宿命に苦しんでいる彼女が、君の前でだけ解放されて、"普通の少女"になる。



 それは、君がアミィール嬢を心の底から愛していて、アミィール嬢も君を心の底から愛しているから。




 だから君には…………自信を持って欲しい。私たちの"幸せの証"を笑顔に出来るのは世界で君一人なんだ」













※ご案内



隣国の王様の恋愛も前作をご参照くださいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ