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子供達と主人公

 




 「アルおばちゃーん!」



 「おばちゃんいうな、ミロ!」



 「いらっしゃーい!」



 「いらっしゃいましたー、カイちゃん!」



 「遊ぼ遊ぼ!」



 「ちょっと待ってよジュエリー!みんなに挨拶してから遊ぼうね~」



 子供たちは無邪気にアルティア皇妃様に絡んでいる。アルティア皇妃様は笑顔で一人一人の名前を呼んで頭を撫でている。


 改めて、凄いと思った。

 いつも巫山戯ているけれど、こんな風に人々の心を掴むのは簡単じゃない。関係を深めて、信頼を得ているんだ。



 ほんの少し、不安になった。俺にも同じことが出来ると思えなくて。




 「?このお兄ちゃんはー?」



 「あ、………」




 そんなことを思っていると、女の子が声をかけてきた。こ、言葉が出ない………こういう時、何を___「このお兄ちゃんはね!私の息子のセオっていうの!」………!




 一人困っていると、すかさずアルティア皇妃様が助けてくれた。皇妃様はこそ、と言う。



 「…………セオドアくん、緊張してるところ悪いけど、"例のアレ"、ぶちかまそ!」



 「………!」




 "例のアレ"___それは、俺が考えに考え、俺が出来ることをした物の事だ。確かに、緊張を解すのにもいいのかもしれない。




 そう考えたセオドアは不安な表情を浮かべながらも頷いた。すると、アルティアはにこ、と笑って指を鳴らす。



 いつもの黒渦が出て、子供達がワアッ、と騒ぐ。

 ………怖がってばかりではいられない。俺は震える足を殴って、前を向いた。




 「みんな、はじめまして。私はセオ。これから私もここに来るから、よろしくね。


 プレゼントを用意したんだ」




 セオドアはそう言って、黒渦に手を突っ込み___綺麗に包装されたクッキーを取り出した。チョコチップ、プレーン、ココア、……計10枚入っている袋を、話しかけてきた女の子に手渡す。女の子はそれを受け取ると、満面の笑みを浮かべた。




 「お菓子だー!食べていい?」



 「ああ、いいよ」




 「いただきまーす!………んっ、おいひぃ~!」




 女の子は1口食べると顔を綻ばせた。セオドアはほ、と胸を撫で下ろす。けれど、それは一瞬で。




 「僕も欲しい!」



 「私も!」



 「美味しいのちょーだい!」




 「セオお兄ちゃんちょうだーい!」




 「わ、わ、わ!」





 ヨダレを垂らした子供達がどっ、と押し寄せてきた。セオドアは戸惑いながらも、一人一人にお菓子を渡す。沢山作ってきて正解だった、と思うくらい盛況だ。




 「セオお兄ちゃんのお菓子!すごく美味しいね!」



 「もっと食べたい!」




 子供達の顔に浮かぶ沢山の笑顔にじんわりと胸が温かくなって………泣きそうになる。



 そんなセオドアの頭をアルティアはぽん、と優しく叩いた。




 「………成功、だね。みんな笑顔だよ?なに泣こうとしてんのよ」



 「う、嬉しくて………私のお菓子が……こんなに、笑顔を生むなんて………」



 「ふふ、…………みんな~!お菓子食べたら、アルおねーさんとセオおにーさんが鬼ごっこの鬼やるよ~!」



 「え!?」




 「「「「やったー!」」」」




 強制的に鬼ごっこが決定した。………凄い人はみんな少しズレてるんだな、なんて思いながら涙を拭いて、鬼ごっこをしたセオドアでした。



 * * *





 「じゃ、アルおねーさんとセオおにーさんは帰りまーす!」



 アルティア皇妃様がそういった頃には、もう夕方だった。建物にオレンジ色の光が入って、沢山の子供達を照らす。みんな笑顔である。




 「ばいばい!アルおばさん!」



 「セオお兄ちゃんも!私と結婚してね!」


 「セオお兄ちゃん帰るのやだ~!」


 「セオお兄ちゃん、またお菓子持ってきてね!」



 「結婚はしてるから、お友達で我慢してね、ネルちゃん。


 またすぐ会えるよ、ハイセくん。だから泣かないで。


 うん。持ってくるよ、マインちゃん」





 その頃にはセオドアは一人一人の名前を覚えていた。額には汗をかいているが、笑顔で返す。すっかり溶け込んでいる。



 一緒に遊んだけど、みんないい子だったから、俺もすぐに馴染めたのだ。難しいことを考えず、楽しく遊んでいた。



 「って、私への見送り少なすぎない!?」



 そんなことを考えているセオドアを見てアルティアはむう、と頬を膨らませたのだった。










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