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甘い悩み #主人公視点

 









 「うう……………………」




 「…………………お前はいつまでそうしているつもりだ?」





 セオドアの執事・レイはセオドアの部屋にあるベッドを見ながらそう言った。



 ベッドには_____大きな盛り上がり。勿論、この盛り上がりはこのベッドの持ち主であるセオドアである。どうしてこんなことをしているかって?アミィール様を抱いた後だからだ。




 夫婦になり、閨を共にするようになったセオドアが新たな癖がついた。それがこれである。




 普通の男ならスッキリとした顔をして上機嫌になるものであろうが、俺の乙女な主人はそうではない。やることをやっておいて時間差でこうして自己嫌悪しベッドに閉じこもるのだ。この状態になったら1時間は布団から出てこない。それを毎朝アミィール様が出ていった後や、執務を抜け出し甘いひとときを過ごした後は必ずこれをやる。




 つまり、だ。





 「_____真昼間からお盛んだなあ、セオドア」



 「~ッ!や、やめろ!言うな!仕方なかったんだよ!これは生理現象なんだ!男の悲しい性なんだよ!



 ああぁ……………俺は最低だ……………本当に最低だ……………アミィール様にあんなお姿をさせるなんて…………俺は本当にイチモツを捨てるべきなんだ…………」




 グズグズと啜り泣く声が聞こえてきている。…………愛し合ってるだけなのになんでこうなるのだか、全く理解不能である。





 レイははあ、と呆れたように溜息をついてから『ずっとそうしてろ』と言って部屋を出た。






 * * *






 俺は、最低である。




 セオドアは自分の枕を濡らしながら自己嫌悪に陥っていた。




 勿論、アミィール様を抱くのが嫌だとかではない。むしろその逆だ。どうしようもなく求めてしまう。雌の匂いを含んだ甘い蜜は全て舐めたいし、身体の隅々まで触れたいし、色っぽい声で名前を呼ばせたいし、……………もっともっとと欲張ってしまう。アミィール様の色香は普段でも強烈だと言うのに、求めている時はそれが更に強くなる。




 乱れるアミィール様は凶器にも近い。大きな瞳に涙を浮かべながらも頬を紅くし、蕩けてしまいそうな甘い声で『もっと』、『セオ、すき』と言われるんだぞ?


 どこを舐めても甘いし、どこに触れても柔らかい。腹筋は立派だけれどあの腰の細さ。俺が掴んだだけでポッキリ折れそうなんだ。


 極めつけには____俺を受け入れてくれる場所が溶けてしまうくらい熱くて、俺を離さないと言わんばかりに締め付けてくること。




 それを知ってしまった俺は、それを知る前の俺よりも自制も理性も仕事を放棄している。





 ………本当は、もっと大事にしたいんだ。



 ………もっと二人の新婚生活を楽しみたい。




 子供は欲しいけれど、いや、子供を作るのが俺の仕事と言っても過言ではないけれど。…………それでも、その仕事をまだしたくなくて、自分の欲望をアミィール様に受け止めて貰ってはいない。






 なのに醜く情欲の強い俺は、自分の欲望をアミィール様に押し付けそうになるんだ。生真面目に仕事をしようとしているんだ。…………受け止めて欲しいと思ってしまうんだ。矛盾した気持ちが情けなくて恥ずかしくて涙も出てくると言うもの。



 そして。



 こんなにしているのに俺はまだまだ物足りないと感じているのだ。本当はたった一度では足りず、もっと求めたいと思ってしまう。俺がベッドに篭るのも、未だに自分の息子が元気で、アミィール様を求めてしまう気持ちを抑える為だ。




 ………………やはり、俺は醜く我儘で自分勝手だ。




 「………………ッ」





 俺は枕元にあるティッシュに手を伸ばした。








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