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Sweet×Sweet

 









 「お母様!わたくしのセオ様を困らせないで!」



 そう言いながら俺の腕を抱き締め、お菓子を投げるという奇行を辞めないアルティア皇妃様に怒鳴る。アルティア皇妃様は片手でぽいぽいお菓子を投げつつ耳をほじっている。とてもじゃないが皇妃のすることではない。




 「あー、うるさいのが来ちゃった。ちっちゃいわね~、お菓子ぐらいでガタガタ言わないでよ」



 「ッ、セオ様、こんな皇妃ほっといて、行きますよ」



 「え、………うわぁっ!」




 アミィール様はそう言って俺を姫抱きする。眼下に広がる庭園から聞こえる『キャー!』という侍女の黄色い声に顔を紅く染める。は、恥ずかしい……………!




 お菓子を投げることよりも羞恥に苛まれるセオドアを大事に抱き締めながら、アミィールはさっさとその場を後にした。






 * * *






 「……………大丈夫ですか?セオ様」




 「ッ、ああ……………」





 セオドアはそう返事しつつも、紅い顔を隠している。

 俺達は今____俺達の部屋に居る。婚約者の時は別々の部屋だったが、結婚をして3つの部屋が用意された。


 1つは、俺の部屋。キッチン、ミシン、花に溢れた俺だけの為に作られた部屋。



 もう1つは、アミィール様の部屋。ベッドや身支度用のもの以外ほとんどない大きく豪華な部屋は質素である。



  そして、この部屋____寝室。2つの部屋が繋がっていて、俺達が夜を共に過ごす部屋だ。大きな天蓋付きの豪華でふかふかのベッドのある部屋。



 つまり、此処に連れてこられ、この状況は____





 「ッ……………」



 そこまで考えて、セオドアは顔を真っ赤にする。その様はまさに乙女だ。そんなセオドアを他所に、アミィールはぎゅう、と顔を赤らめる愛おしい男を抱きしめた。




 「確かにセオ様のお菓子は特別美味しいし、皆様に食べて欲しい気持ちはございますが…………あのような酷い渡し方があるでしょうか。


 こんなに顔を赤らめるセオ様がいつか倒れてしまわないか…………わたくし、心配です」




 「そ、それは……………」




 あるかもしれない、とは言えない。

 この美しく強く優しいアミィール様はそれを聞いたら母親にも剣を向けてしまうから。それだけ俺はこの御方に溺愛されている。寵愛を受ける俺は恥ずかしくも…………とても嬉しくて。



 セオドアは心配げに自分を見つめるアミィールを優しく撫でた。



 「大丈夫だよ、私はアミィがいるだけでどんな羞恥も受けられる。



 でも………その、今は、アミィの胸を借りたい、というか………」





 モゴモゴと吃りながら、真っ赤な顔でそう甘えてくるわたくしの大切な御方。…………ああもう、可愛すぎます。そんなことをそんな顔で言われて、はしたない感情を抱かない女など、この世におりますでしょうか。




 きゅん、と胸を締め付けられたアミィールは今すぐに襲いたい気持ちを抑えて、意地の悪い顔をする。




 「……………胸だけで、よろしいのでしょうか?」



 「え?……………ッ!」




 そう聞いてきたアミィール様は、上目遣いで自分が穿いている男物のズボンのボタンを外して、誘惑してくる。可愛らしいというよりシンプルで色っぽい黒の下着が見えている上、この甘い声だ。




 こんな挑発的で大胆な誘い方はあるか?




 その1歩間違えば痴女である行動から目を離せない俺は多分変態だ。今が昼間で、アミィール様が執務を抜け出してきたのだろうから止めなくては、………なんて様々な理由が思考から消えていく。




 「アミィ………俺…………その…………」



 「____セオ、ちゃんと、言葉にしてくださいまし」

 



 「ッ…………」



 甘い、甘い言葉を耳元で聞かされる。甘い匂いにクラクラする。でも……………どれも中毒性が強く、俺は醜く求めてしまっている。



 セオドアは優しくアミィールをその場に押し倒した。柔らかく広いベッドに身体を沈めた愛おしい女に、顔を赤らめながらも……………切ない瞳で見下ろして、言う。




 「アミィの全部が_____欲しい」



 「………ふふ。よく言えました。


 セオ、わたくしを本能のままに愛してくださいまし_____」



 

 アミィールの言葉が終わるのと同時に、セオドアは荒々しくも優しく唇を重ねた。何度も何度も貪る。甘すぎる蜜に、少し離れる度に漏れる甘い吐息。それらは俺の脆い理性を崩壊させるには十分すぎた。




 時間も状況も忘れて____男の本能のまま、美しく甘い身体を堪能したのだった。










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