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集う古き英雄たちよ #3

 



 突然の出来事に目を丸くしていると、クリスティドが呆れたような声で言った。




 「フラン嬢……………私達はもう40近いのだから、そういう登場の仕方はやめて頂けないか?」




 「んなっ!クリスティド様!挨拶の前にお説教ってなんですか~!久しぶりなのにッ!………って、あーーーー!」




 「へ!?」




 女は俺を見るなり指を差して叫んだ。黒い瞳がキラキラとしていて、怯む。女はずずい、と近寄ってきた。






 「貴方がアミィールちゃんの旦那様!?イケメンじゃない!なんか乙女ゲームに居そう………って、先輩がギャルゲーって言ってたわね!



 ハジメマシテ!」




 「は、はははい!?」




 全てが突然過ぎる。乙女ゲーム、ギャルゲーという単語、日本語、そしてマシンガントーク。頭が混乱してちゃんとした言葉を話せない。




 すっかり混乱状態のセオドアを救ったのは、セオドアに抱きしめられていたアミィールだった。




 「フラン様………………わたくしの婚約者に近すぎませんか?いくら"聖女"といえど、許しませんよ?」




 「アハッ、アミィールちゃん今日もラフェエル様~☆」



 「…………………」




 てへ、とおちゃらける美女をゴミを見るような視線を送るアミィール様。誰にでも優しいのに、この美女を見る目は本当にブリザードである。………にしても、聖女って……………




 「聖女!?」




 セオドアは時間差で驚く。"聖女"___いかにも乙女ゲームや少女漫画のヒロインとして見る設定だが、ユートピアの聖女というのは少し違う。サクリファイス大帝国の北に位置するセイレーン皇国には必ず聖女がいて、このユートピアを"聖なる力"で発展させる重要人物である。




 その聖女が…………この人!?




 セオドアはそこまで考えて再び膝を地面に着けた。



 「お、お初にお目にかかります!聖女様!わ、私はアミィール様の婚約者のセオドア・ライド・オーファンです!


 挨拶が遅れてすみません!」




 慌てて頭を下げる俺に、聖女は『きゃー!イケメンに頭を下げられたー!』と騒ぐ。そんな聖女に、クリスティド国王は窘めるように言葉を紡いだ。




 「はしゃいでないで挨拶をしたらどうですか。セオドア殿が頭を上げられないだろう?」



 「あ、そうですね!初めまして、私はフラン・ダリ・ジュエルズ・セイレーンです!この世界の聖女なのに、モブでーす!」



 そう言っててへぺろ、と一昔前のネタをするフラン様に、閉口せずにはいられなかった。


 どことなくノリがアルティア皇妃様に似ている……絶対この人も異世界転生者だ………




 そう確信するセオドアをよそに、アミィールは言う。




 「フラン様、珍しいですね。貴方が時間通りにいらっしゃるのは」



 「当たり前でしょ~、アミィールちゃんの結婚なんて感慨深くて。それに、続編のヒロインのヒーローなんて気になるじゃない!」

 




 「あう……………」




 顔を近づけられて、萎縮する。

 続編…………………これは続編なのか………?




 「フラン様、それ以上近づいたら斬り捨てます」



 「うわっ、やばやば、アルティア先輩の娘はやりかねない!」




 そう言ってやっと離れた、と安堵した所で___後ろから声がした。



 「皆様、お久しぶりですわ」



 「わっ!」




 思わず声が跳ね上がる。見ると___俺の出身地であるヴァリアース大国のエリアス女王陛下が立っていらした。そして、その隣に。




『やあやあ、遅れてしまったかなあ』




 のんびりと話す男___金色の瞳と、額の切り傷以外、ラフェエル皇帝と瓜二つの顔をした、男。



 こ、この人は_____!













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