プロローグ
この世の中魔法に憧れている人間は少なくないはずだ。炎、水、風、土、自然。様々な種類の魔法が2次元で生み出されてきた。
その中でも俺は氷系の魔法が大好きだった。
つまり俺も魔法に憧れていた。通学中などに魔法を使う妄想をしてよく楽しんでいた。
そんな俺は街でそこそこの高校に入学し、人間関係も悪くなく、休憩時間にはラノベを読むいわゆるオタクだった。
かと言って陰で嫌われているわけでもなく人気な訳でもない。クラスでの地位は中の下ぐらい、不自由はなかったと思っている。
ある放課後、俺は今日発売されるラノベの新刊を買おうといつものように氷魔法を使う妄想をしながら本屋に向かっていた。
「アレやばかったよねー」
「分かるー」
ギャルと不良みたいなやつらが細めの歩道の端に集まり語彙力のない話をしている。あんなふうに集まって楽しいのだろうか?
いっそ凍らしてしまいたいなぁ。
とかそんなことを考えながら歩いていると不意に
「きゃっ」
悲鳴が聞こえた。
悲鳴が聞こえた方を見てしまう。そこには多分集まっていたさっきのやつらに当たって弾かれたのでだろうその歩道にはガードレールがなかったのでそのままバランスを崩してしまった1人の女性が道路に倒れていた。
後ろからトラックが走って来ている。夕方で暗くなり始め、女性は黒い服を着ていた。トラックの運転手は気づいていない。
やばいっ、そう思った時にはもう走り出していた。 そんなに大きくない道路だ。全力で走れば間に合う。
妄想をやめ全力で走り出す。
周りの時間が遅くなり思考が加速していく、そして俺の頭ではやめろ、とまれ、と叫んでいる。だが止まることはない、さらにスピードを上げ走る。
そして後先考えず立ちかけの女性を押し飛ばし、歩道に飛ばされたところを見て俺は強い衝撃を受け意識を失った。
――――――――――――――――――――――――
声が聞こえる。確か俺は女性を助けてトラックに跳ねられて、、死んだ、、はず。ならここはどこだ?
病院?俺は生きていた?
「――――――」
声ははっきり聞こえない。
ただ騒がしいのは理解出来る。まだ意識が覚醒していないのか?
俺はゆっくり目を開ける。するとそこには
知らない天井だ
くぅー!1度は言って見たかったセリフが言えたぜ! 言ってないけど。思っただけだけど。
…おっ、だんだん音がクリアに聞こえるようになってきたぞ。
「JGBFHBDTjBBFHB」
ん?言ってる言葉が理解出来ない、もしかして怪我が酷すぎて外国の病院に送られたとか?
いやでも、英語にしては複雑すぎる発音では?
「GJYBfVrBFCF!」
「HFVYBJthsJ!」
あーハイハイ。なるほどね、わからん。
ほんとうに理解出来ん。どこの国の言語だ?あっそうだ顔を見ればどこの国の人か分かるのでは?
そう思い首を傾ける。するとそこには美人の女性とイケメンの男性がいた。それもとびっきりに。
… いや誰だよ。、、、、、、、、、、、、、、
おっと目の前の光景が理解出来ず思考が停止してしまった。
そうだ声をかけよう。そうすればわかるはず。
あ、言語伝わらないかも。まあ意思疎通はできるだろう。
そうして声を出そうとすると上手く声が出ない。
いや、出せるのだがうめき声しか出ない。
「うーあー」
やけに幼い声。
心配そうに2人がこちらを見てくる。それに答えようと声が出ないなら手を出せばいいのでは?と思い手を伸ばす。
うん?いつまでたっても伸ばした手が出てこない。
不審に思い下を見ると、
なんとそこには短い手と胴体と足があった。要するに赤ちゃんの体が目に入ってきた。
!?!?!?!?
理解できない。あまりの状況に頭がついて行かない。
よ、よし、状況を整理しよう。まず、知らない天井。宮殿に使われてそうな質感の天井。
次に面識のない美人とイケメン。そして赤ちゃんとなった体。あー頭がおかしくなる。整理しても理解できない。うん?なんか意識が朦朧と、、、、
そうして働きすぎた頭はショートし俺は気絶した。