キャンプ場の仮設トイレ
百物語二十二話になります
一一二九の怪談百物語↓
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怖いお話というよりは、不思議なお話なんですよ。
仲の良い友達3人と一緒に、とある山へキャンプに行った時のことです。
時間は夜の12時過ぎ。みんな遊び疲れてヘトヘトになっていたと思います。テントの中で休んでいた私は、友達と一緒に近くの「仮設トイレ」へ行くことにしました。
仮設トイレは、キャンプ場の出入口にひっそりと設置されていました。工事現場で見かけるような簡易水洗式の小さなトイレです。
私たちは歩いて仮設トイレへ向かうことにしました。テントから離れて10分後、真っ暗な山道にひっそりと佇む仮設トイレを見つけることができました。しかし…
「あっ!女の人が…」
仮設トイレには先客がいました。赤いワンピースを着た中年の女性が仮設トイレの中へ入り、ガチャリと鍵をかけた。
「ちょっと待ってようか。すぐに出てくると思うし…」
私たちは仮設トイレの近くで雑談しながら、女性がトイレから出てくるのを待った。
3分、5分。女性はトイレから出てこない。
10分、15分。女性はまだトイレから出てこない。
「ちょっと長すぎない?あの女の人、中で気分でも悪くなったんじゃ…」
トイレから出てこない女性を心配した私たちは、仮設トイレのドアをノックしてみることにした。
トントントン!
「すみません、大丈夫ですか?」
トントントン!
「………」
中から返事は返ってこない。
「大丈夫ですか?体調が悪いなら救急車でも呼びま…あれっ?」
私が仮設トイレのドアノブに手をかけた瞬間、ドアが音を立てながらゆっくりと開いた。
「あれ?鍵がかかって…ええっ!?」
鍵がかかっているはずのドアが開き、誰もいない仮設トイレの中を月明りが照らしている。
「あの女の人…どこ行っちゃったの…?」
私はあまりの出来事に少しパニックになりました。しかし…
「私たちが雑談している時にこっそり出て行ったんじゃない?」
「暗いから出てくるのわからなかったんだよ!」
怖がる私とは逆に、友達は呑気に笑顔を浮かべていた。
「そ、そうかなぁ…」
友達と一緒に仮設トイレの中を再確認しながら、私たちは誰もいないトイレを使うことにした。
「待たせてごめんっ!」
仮設トイレから出てきた私は、外で待っていてくれた友達に軽く頭を下げた。トイレに入ったのは私が最後。これでもう仮設トイレに用はない。
「それじゃあ、テントに帰ろうか」
私たちは他愛のない雑談を始めながら、ゆっくりと仮設トイレから離れていった。
ガチャ
後ろから仮設トイレのドアを開ける音が聞こえてきた。私たちが振り返ると…
「あっ」
赤いワンピースを着た女がトイレの中から出てきた。