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特攻列島  作者: みやこのじょう
第三幕 決行
24/102

第二十三話・住宅街の襲撃

挿絵(By みてみん)

 安賀田(あがた)達がバリケードを突破した頃、三ノ瀬(みのせ)率いる班は逆方向に進んでいた。こちらは島の内陸部にある住宅街を通るルートだ。道幅は狭く、複雑に入り組んでいて行き止まりも多いが、その分家屋などの遮蔽物が多い。軽自動車なら遠くから発見される可能性は低い。


 このルートは多少時間は掛かるが目立たずに移動出来る。先陣を切って走っているのは、ゆきえだ。


 彼女は事前に島の地図を頭に叩き込んでいた。子供を産むまでは保険の営業をしており、地図だけを頼りに見知らぬ町を歩くことも珍しくはなかった。小さな離島の全ての道を把握するくらい簡単にやってのける。


 だが、ここは手入れの行き届いた町ではない。住民が居なくなって数年経った無人島である。つまり、何かあっても誰も直してはくれない。


 ゆきえの車は次の角を曲がろうとしたが、ハザードランプを点灯させて急停止した。後に続いていた三ノ瀬とさとるも慌ててブレーキを踏む。



「斜面が……」



 曲がった先の道が通れれば最短距離なのだが、あいにく山側の土手が崩れて道が半分塞がっていた。無人ゆえに放置された災害の爪跡。ゆきえは窓を開けて後ろの二人に合図を送り、すぐに別のルートを取って進み始める。同時に、似たような理由で通行出来なくなっている可能性が高いルートを候補から除外。より安全確実に通れる道のみを選ぶ。


 しかし、それは移動の基本でしかない。


 ここは敵国の人間が占拠している島である。どこから姿を現わすか分からない。進路を塞いでいるのが土砂やバリケードでなく生身の人間の可能性もある。


 家屋が建ち並ぶエリアを三台の軽自動車が一列に並んで走る。ゆきえはちらりと横目で外を見た。窓から見える小高い山。島の中心にそびえるその山の上に件の小学校跡地はある。


 元々住民数が少ない離島である。学校と言っても一学年数人程度の小さな規模だ。従って校舎も小さい。都会のように三階、四階建ての校舎だったなら、屋上で見張りをされたらすぐに見つかっていただろう。


 山頂には他に高い建物もない。島全体を一箇所から監視するのは不可能。ならば、島で唯一の港がある居住エリア付近だけは見張られているはずである。見張りの一人は上陸前におびき寄せて捕まえたが、戻りが遅ければ仲間が確認しに来るだろう。


 島に仲間が何人いるかまでは聞き出せなかったが、何も全員を倒す必要はない。あくまで目的は遠距離から本土を攻撃できる兵器……地対艦ミサイルの破壊なのだから。


 登山道まであとわずか。

 しかし、そこは行き止まりになっていた。錆びた工事用フェンスが狭い道路のど真ん中に立てられ、幾つもの土嚢(どのう)袋が積まれて固定されていた。


 山頂を目指すならこれ以上の経路変更は不可能。

 仕方なく車を降り、人力で土嚢を退ける作業に移る。力仕事はさとるの担当だ。ゆきえも軍手をはめて作業をする。その間の見張りは三ノ瀬の役目だ。消音器(サプレッサー)を取り付けた拳銃片手に作業中の二人を見守る。


 土嚢袋は真新しく、ひとつが十五キロほどの重さがある。ゆきえの娘みゆきは体重十二キロ、それにカバンやら何やらを持てば十五キロなど軽く超える。女の細腕ではあるが、ゆきえはか弱くはない。これくらいの重さには慣れている。


 それでも二十歳のさとるの体力には及ばない。三分の二の土嚢はさとるが撤去した。次に、フェンスを脇に寄せる。これは大き過ぎるため、さとるとゆきえ二人掛かりで行った。




 ドッ




 突然、鈍い銃声が聞こえた。


 音のした方に振り向くと、三ノ瀬の拳銃から硝煙が上がっていた。彼女の視線の先には黒いつなぎを着た男性が倒れている。足を撃たれて悶絶し、意味の分からない言葉で喚き立てている。アジア系の外国人だ。

 近くの建物からこの近辺を見張っていたのだろう。女子供しかいないとタカをくくって単身妨害に来たら返り討ちにあったという訳だ。



「動けないようにしとこ。武器も貰っとくね〜」



 車の後部座席から取り出したロープで男の手足を縛る。それから胸元を探り、ナイフと拳銃を取り上げた。

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