コロナ自粛中
暇だったので可憐・佐織の部屋でだべっていたら3年のヤクザ組長の娘がどうやって探したか分からないが入ってきて「明日6時に面白いことやろう。訓練の成果を見せてくれ」と嬉しそうに言う。品行方正な先輩だったが、こういうのを思いつく当たりがヤクザの娘だ。
入場料1,000円で我が部活の徒手格闘の試合をやろうということなのだ。なんでも、既に寮母や船坂先生には許可を採ったという。
「貴方が言うってことは…賭博、ですね。配当はどのようになさるお積もりで?」とマリア。
「テラ銭は入場料だけでいい。勝ち負けに関わらず、負けた方から1割づつ分捕れ。残りの八割を配当すりゃあいいだろ。学園生徒だから良くは分かるめい」と先輩はあっけらかんと答えた。
どうせ暇だし金になるなら、と全員一致で引き受けることにした。話し合った結果、部員の中でも近接戦闘に優れている鈴菜と可憐で試合を組むことになった。
次の日、学園体育館に小さめのリングが張られ、セコンドに白夜と佐織が就いた。300人程の観客、もとい学園生徒が集まっていた。
リングアナウンサーは放送委員長が、解説はプロレス好きの彼氏がいる先輩(茶道部)に任せた。周りからは「清楚」と思われている生徒にも彼氏がいるあたり学園らしい。
主催のヤクザの娘さんが、「本日の審判は柏木財閥令嬢、柏木マリア!」と叫ぶとどよめきが起こる。マリアは照れくさそうに笑った。やはり有名人なのだ。
2人の部員は、股蹴りや目潰しを当然禁止された状態で3分間2ラウンド戦う。「これは流血沙汰になりそうですね」とリングアナウンサーが言うが、「そんなことはないわ、結局は試合よ。ここで怪我したら私達皆退学になるわ」と解説が遮った。
3分のラウンドを2回、鈴菜と可憐はだいぶ手加減したつもり、だがフラフラになるまで必至に戦った。最終ラウンドのコングがなると、2人共セコンドの支え無しでは立ってられないような有様だった。
それをマリアがリングの中央に引っ張り、握手をさせる。そして高らかに「可憐の勝ち」と告げる。勝ち負け関係なく、リングの周りから歓声と労いの言葉が挙がった。
「完全に鈴菜のアッパーが入ってたじゃないの。まあ可憐の鳩尾突きで鈴菜は息が一瞬止まってたけど」と解説は不機嫌だったが、観客は観戦中はお菓子食べ放題で、リング上の部員にも色々振る舞われた。よくぞまあ、気絶しなかったものだが、いい暇潰し興行だった。
本編が行き詰まったので、日常回モドキを書きました。
本当なら4月から6月の半ばまで部員達は訓練でそれどころでは無いのですが、まあこんな時勢なのでIFストーリー程度に考えてくれ。
本編、ひょっとしたら差し替えるかもしれない。その辺はご了承ください…