あなたを愛してみたかった
愛してみたかった、けれど。そんな男女のお話。
とはいっても女性は出てこず、出てくるのはそんな男と友人です。
きっと友人が一番の被害者。
「馬鹿だな。」
彼女を憎めも恨めもしない、嫌いにだってなれない俺を
君は呆れ、馬鹿だと吐き捨てる。
「分かっているけど、酷い言われようだ…。」
だけど、どうしても彼女を嫌いになんてなれないんだ。
哀しそうに、微笑んだ彼女を。
「分かっているなら文句を言うな。
お前が悪い。」
自業自得だ、と吐き捨てられる。
「やっぱり、俺が悪いのかな。」
「…お前だけの責任ではないだろう。基本的にはあの女が悪い。
だが、ご覧の通り酷い有り様だ。お前たちのせいでな。」
先程からの酷い言われように笑って誤魔化すことしかできない。
「あの女は裏切り者だ。」
「…俺は、俺達はあれを許さない。」
「だが、…同情はする。」
それは君も知っているから。
彼女の哀しそうな微笑みも、
悲痛に告げた…あの言葉も。
「まったくもってお前に同情の余地はない、が。
…まぁ、ある意味では同情してやる。」
たぶん、君が一番呆れているのは
そのある意味においてなんだろうね。
あーあ、本当に
「…耳が痛いや。」
“あなたを愛してみたかった”
―俺も、愛してみたかったよ。
タイトルを「確かに恋だった」様よりお借りしています。