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老いた猫のうた

 ストーブの前

 目を細めてナアと鳴く

 窓の外の

 雪を見ながら、まるでお前の瞳のように白いなとあなたは笑った


 歩く速さが違うように

 生きる速さも違うものだと


 私はあなたに何を返せるのだろう

 最近そんな事ばかり考えている



 あなたの手に

 爪をたててナアと鳴いた

 拾われた頃

 私を抱きしめ、もう独りじゃないんだよとあなたは笑った


 あれから幾つも冬を越え

 私もあなたも細くなった


 せめて最期くらいは手を煩わせぬように

 そう思いながらあなたのそばを離れられないでいる



 もう私には

 あなたの顔もよく分からないのです

 ただナアと鳴くとあなたは困ったような顔で笑うから

 きっとまたあの笑顔を浮かべているのだと

 そう思ってまたナアと

 懲りずにナアと鳴いてしまうのです



 窓の向こう

 吹雪く夜にナアと鳴いた

 去りゆく背中

 それを見送るしかできないだろう自分が悲しかった


 あなたはまた一つ冬を越えて

 独りぼっちになってしまう


 私はあなたに何を残せるのだろう

 最近そんな事ばかり考えている








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― 新着の感想 ―
[良い点] 健気な猫に泣ける 短いのに凄くしんみりした [一言] シーサイド地蔵さんの詩というのが、ちょっと想像できなかったけど、凄く良かったです 400字なのに余韻が凄くて、何度も読み返しました で…
[良い点] パンツマンから想像できない位の良い詩ですね~ こんなんのも良いですね。 [一言] 雪かきで腰痛めない様にして下さいね 雪の無い南国より
[一言] 読ませてもらいました、なんとなく もの悲しい 風韻を漂わせる このような 作風の詩は 好きです。 また 読んでみたいです。 次 期待しています。
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