4. それはさておき。
晩餐は本当に内々の席になりました。
王様に王妃様、王太子に三人の王子と一人の王女、そして「客」である私。
王子一人一人にお母上である側妃様がいらっしゃるはずなのですが、姿が見えません。
同様に、王太子の側妃様(と言ったら怒るでしょうか)も見えません。残念です。
晩餐の前に、大層嫌そうな顔をしながらですが王太子から謝罪がありました。
周りからさんざん言い含められたのでしょうが、全く納得していないようです。
誰か根本からしっかりと教授して下さい。どっちもやり直し。
それはさておき。
三人の王子との対面です。
第一王子と第二王子は王太子と余り歳に違いはなさそうです。第四王子は私と同じ位でしょうか。
ちなみに、王女はまだ幼さが抜けない感じです。かわいいですね。ぜひゆっくりとお話がしたいです。
第三王子が王太子になった理由は、正妃の子だからだそうです。それでは後宮を開いている意味が無いだろうと思うのですが。
第一王子は宰相補佐をされているそうです。
晩餐の間も、会話のコントロールから食事の目配りまで、あらゆる事にそつがありません。振る舞いも洗練されています。
時折向けられる柔和な笑顔に父様や一の兄様の事が思い出されて、あら、何だか背筋が冷えました。
第二王子は軍務についておられるそうです。
見た目からしていかにも、という感じです。二の兄様がいたら、是非手合わせをと申し込みそうですね。
無口ですが、特に無愛想な方ではないようです。
第四王子は無関心というよりも無頓着。全く周りに意識が向いていない様子です。
食事も、手と口を動かして飲み込む、その繰り返し。味わっているようには見えません。
学者志望だそうなので、研究の事でも考えてらっしゃるのでしょう。
今日はご挨拶と社交辞令程度の会話しかありませんでしたが、次の機会にはもう少し知り合いたいものです。勿論、自発的に機会を作るつもりですよ。
この席では、婚姻の話には一切触れられませんでした。はっきり「否」と言わせないつもりですね。
今は双方暗黙の内の保留という、とても曖昧な状態です。が、いつまでもそのままではいられません。いさせません。
王様では埒があかないようですし、宰相も昼間あの場に居たのなら似たり寄ったりでしょう。この際宰相補佐である第一王子のもとへ伺ってみようと思います。
人柄からするとご自分の意見をお持ちのようですので、逃げられる事はないだろうと期待しています。
そうと決まれば、王女殿下をお茶にお誘いしなければ。
これからどう行動すべきなのか。まずは情報が必要ですから。
色々とおしゃべり、いえ、お話を伺いたいと思います。
浮かれてなんていませんよ。
ありがとうございました。