3. ◇侍女の独り言◇姫様が私の趣味ですから。
※7/25 話数とタイトルのみ変更しました。本文に変更はありません。
姫様が気合も新たに出陣、もとい、晩餐の席に出かけて行かれました。
内面は大変凛々しい方ですが、見た目は小柄で可憐。
なので、それに見合った清楚な装いを選ばせて頂きました。
自慢して回りたい位に可愛らしい仕上がりです。自画自賛。
ああ楽しい。
姫様が私の趣味ですから。
姫様を飾り立てるため、苦手だったお裁縫も今ではプロ並みです。
美容に関する知識や技術も習得しました。
侯爵令嬢なんて、正直本当に面倒なんですが、そうでなければ姫様の侍女にはなれなかったので、それだけは父に感謝しています。大事なのでもう一度言います。それ「だけ」は。
さてさて、そんな大事な姫様を愚弄した輩がいます。
この国の王太子様とやらですね。
私としてはこれ幸い、と姫様を連れてさっさと国へ帰りたいところなのですが、何故か御本人にその気が無いようです。ちぇっ。
滞在場所が変わりましたから、少なくとも婚姻は保留されたはずなんですけれど。
解消ではないのが残念。
王族でありながら自国を危うくするような発言を平気でするなんて、姫様が一番嫌悪するタイプですからね。
そんな人物が王太子だなんて、民の皆さんがお気の毒です。
そんな輩に可愛い末姫を嫁がせようなんて、我が国の王陛下も何を考えているのでしょうか。
同盟国とはいえ、是が非でも血縁を結ばなければならないほど重要度の高い国ではないはずですが。
ああ、面倒事の予感。
狸陛下の思惑など知った事ではありませんが、姫様にとってはそうもいきませんものね。
せめて自室にいる時くらいは憂いなくお過ごし頂けるようにしなければ。
心身の疲労は美容の大敵ですから。
ありがとうございました。