2. やるしかありません。
続投出来ました。
結局その場で決められる話では無い、という事で後日話し合いの場を持つ事になりました。
逃げましたね国王。
私も本来なら後宮入りするところを客人待遇をもぎ取ったので今回は引き下がりますけど。
国力の差を考えればごり押しをしても良かったんですけどね。
はい、私の国の方が上なんです。
それだけでもあの王太子のお馬鹿具合が分かるというもの。
衆人の中で大国の王女を軽んじたのですから、極論ですけれど戦争になる可能性だってあったんですよ。
余計な事は云わずにただ私を妃としておけばよいだけなのに。
仮面夫婦なんて政略結婚なら普通の事。(私の両親はラブラブですけれど)
だったら私も文句を言わずに、お馬鹿だろうが嫁げばいい。
そうなんですけれどね。
あの王族という立場をきちんと理解していないあの言動がどうにも。
はっきり言って許せません。
それ以前に人として問題ありですが。
あれが次代の王では、本当にこの国の先行きが不安です。
どうしてあれを王太子の地位につけているのか。
何よりも、あの父様があんな人間の妃に私を出した事が腑に落ちません。
何かありそうです。
そんな事を考えているうちに部屋に着きました。
部屋では国元から付いて来てくれた唯一の侍女であり、幼馴染みの侯爵令嬢が迎えてくれました。
「姫様、お疲れ様でした」
二人だけになった所で掛けられた気軽な言葉に、ようやく息がつけます。
大きく伸びをしながらソファに倒れ込みました。
本当はベッドへ行きたいところですが、この後、王族の方々との顔合わせの晩餐会があるとかでまだ休めません。残念。
更に、一週間後には歓迎の舞踏会があるそうで、その場が未来の王太子妃のお披露目になるわけですね。
なんとかそれだけはかわさないといけません。
出席は避けられないとしても、名目はただの「歓迎会」にして頂かないと。
そうして、半年以内に身の振り方を決めなくては。
やるしかありません。
決意も新たにしてソファから起き上がった所で湯浴みの用意が出来ました。
ひとまず、ゆっくりさせて貰いましょう。
薔薇の香りの中、髪を洗われながらのヘッドスパにうっとり。
「姫様。顔が緩み過ぎです」
頭上から笑いを含んだ声で言われてしまいました。
湯浴みの後は、薔薇の香油で身体もマッサージ。
彼女のフィンガーテクニックのお陰で、私の髪とお肌はいつもピカピカのツルツルです。
本気でこのまま眠ってしまいたくなりましたが、容赦なく追い立てられてドレスアップされます。
今日到着した所で彼女も疲れているでしょうに、目をきらきらさせながら楽しそう。
何故か私を磨いて着飾らせるのが大好きなんです。
私は着飾った彼女を見る方が好きなんですけれどね。
今日は王族のみの晩餐会ですが、一週間後の舞踏会では彼女も侯爵令嬢として参加するので、久し振りに着飾った姿が見られます。
美人の上にボンキュッボンなので目の保養になるんです。楽しみ。
さて。そろそろ時間のようです。いざ、晩餐の席へ。
じっくりと観賞、ではなく、観察させて頂きましょう。お互い様ですけれどね。
ありがとうございました。




