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11. 庭園は大好きです。

お久しぶりでございます。

庭園は大好きです。


花木を眺めるのも、その中を散歩をするのも好きですが、何よりもそれらを育てるのが一番楽しいです。


こちらの国は自国とは気候が違うせいか、花も木も馴染んでいたものとは趣が異なります。

私の国は比較的温暖な気候でしたが、こちらは温かい時期が短く、冬は寒さが厳しいそうです。

今はまだ肌寒い季節ですが、それでもこの時期特有の清楚な花々があちらこちらで咲いています。


専属の庭師の方の案内で、第二王子と共に美しく整えられた道を歩きます。


見慣れない花や木を一つ一つ指さす私に、庭師の方は丁寧に説明をして下さいました。

花や葉の形でおそらく知っている種類のものだろうな、というものもありましたが、全く見た事の無いものがあると、育て方などの説明を求めたりとついつい熱が入ってしまいます。


ただ案内をすればよいと思っていたはずの庭師の方も、始めは戸惑っていたようですが、丁寧に答えて下さいました。

その内に互いの国の草花の話題で話し込んでしまいました。


自国でも庭師の方には大変お世話になりました。


淑女でも、庭の花を手づから選んで屋敷や部屋を飾るのは微笑ましく見られます。

その昔は、庭の花の手入れは淑女の趣味として認められていたそうです。


私の母様も花作りの好きな方で、幼い頃からそのお手伝いをしていました。

その内に自分でも育てるようになり、今では庭作りが趣味です。

本当に一から作るので泥まみれになる事もあり、よく父様や一の兄様に嘆かれました。

庭作りは淑女の趣味としては一般的ではないようです。

母様は認めて下さいましたけれど。


控えめな咳払いと呼び掛けに、はっと我に返りました。


いけないけない、今はプライベートな時間ではありませんでした。残念です。

お話は今度ゆっくりじっくりと伺いましょう。


気がつけば、道の先に東屋が見えます。

そうでした。散歩の後はお茶にしましょう、という流れでした。


第二王子は、辛抱強く傍らにいらっしゃいました。さすが軍人ですね。

失礼致しました。


侍女さん達が煎れてくれたお茶を飲みながら、のんびりと天気の話をしていると、見覚えのある人がこちらへ来るのが見えました。

とても意外な方だったので思わず注視していると、第二王子が相手に声を掛けました。


ちらりとこちらを見たのは第四王子です。

声を掛けた第二王子に軽く頷くと、こちらには来ず、途中で別の道に折れ、どこかへ行ってしまいました。


どこへ行くのでしょうか。


私の疑問が顔に出たのでしょう。第二王子が答えてくれました。

何でも、あの先には第四王子の個人農園があるのだそうです。


農園?


更なる疑問に、それが第四王子の研究対象なのだと教えて下さいました。


植物がご専門なのですか。


それは是非見てみたいですね。





ありがとうございました。

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