表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/27

同じ軛(くびき) 2

 翌日、順子は博美に電話を入れた。信輔にはそれとなくと言われたが、博美の性格を考えるとどう考えてもストレートに話を切り出さないとそこには行き着きそうにない。

「昨日、衛君から電話もらったのよ」

「衛、お姉ちゃんに電話したの?」

「ううん、私じゃなくて信輔先生に。受洗するにはどうすればいいかって聞いてたわ」

順子の耳に蚊の鳴くような声で博美の

「そう……」

という返事が聞こえる。

「博美が止めてるんだって? 衛君の受洗」

「うん……」

「嬉しくないの? それとも衛君のご両親が反対してるの?」

「ううん、それはないと思う」

「まさか、中野先生が反対してる?」

「中野先生には言ってないと思う」

「なら何で」

順子には反対する理由がわからない。

「だって、衛メッセージの時、いつも寝てるんだよ。祈ってるのも聞いた事ないし。それなのに、いきなり『洗礼受けたい』って言い出すんだよ。きっと、私が『同じくびきを負うものじゃなきゃ、結婚なんて長続きしない』って言ったからだよ」

そうか、ヒロは自分と結婚するために衛君がムリをして教会に通っているとそう解釈しているわけか。

「でも、救われるきっかけはどんなところにあるか分からないわよ。ヒロが決めてかかるのも良くないと思うけどな」

「うん……」

そう言っても博美の返事は果々しくない。

「まぁさ、導きならどうあってもいつかは救われると思うから、今は様子見でもいいかもね」

 順子は結局この頑固な妹の性格を考えて押しすぎることを避けた。だが、後々順子はこのときのことを夢に見るほど後悔することになる。


 衛と博美はこの約一年後、24歳で結婚した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ