あとがき
「バニシング・ポイント」いかがでしたでしょうか。
今回、真っ向から死をテーマにすること、信仰的な発想で書きつづること、結構挑戦でした。
けれど、今までで一番私らしいとも思います。
で、今回一つだけ気をつけたのは「エステリズム」信仰だの教会だの牧師だのといっぱい書きましたが、キリスト教とは一度も書いておりません。(一度ミスって書いたのに気づいて慌てて書き換えましたけど)
旧約聖書の「エステル記」がちょうどそんな書き方なんです。「エステル記」に至っては神様という言葉すら書かれていません。しかし、神様が一人のユダヤ人の美少女エステルを用いて、ユダヤの人々を異教の民から救うという物語として読んでも痛快なところです。
ちなみにこの「バニシング・ポイント」という題名は、ある方ののエッセイでインパクトのあるタイトルを付けようという記事に寄せた私のコメントで、私なら「バニシング・ポイント」くらいかなぁといい加減に思いついたモノ。その時の妄想はミステリーだったんですが。
その後バニシングポイント-消失点という単語と、恋愛・結婚の消失-離婚、命の消失-死が結びついて、以前からくすぶっていたキャラ寺内衛が急浮上し、この作品と相成りました。バニシングとポイントの間にある中点は、実は点ではなく続くモノみたいな作者の勝手な拘りでした。
あと、今年一年公募に明け暮れましたから、まったくそういうのに引っかからないだろう作品(日本のメディアは宗教色をきらいますから)を書いてみようというのもありました。素人でしか絶対に書けないモノ。そういうのもあってもいいかなと。
では、何とか年内に完結いたしました。今年の妄想今年の内に……って事で。
良いお年を。