第四十一話 大団円? 本当に……
この話で、この作品をいったん終わります。
まだまだバブルも始まったばかりですし、思わせぶりの人物も何ら解決させておりませんが、10万字を超える大作となったことでも、区切りがついたので、話を完結させます。
先後まで、楽しんでください。
*****
高松の落日:復讐の終焉と、新たな支配の幕開け
長く続いた高松での騒動は、ついにその決着の時を迎えた。
桜華院宗家の当主との交渉は、一見穏やかながらも、互いの腹を探り合う緊迫した心理戦だった。
しかし、俺の持つ圧倒的な情報と資金力、そして何よりも、未来を知る平田嶺としての揺るぎない確信が、彼らを追い詰めた。
最終的に、桜華院宗家は、梓の父親が築き上げた企業グループを、俺に50億円で買い取らせる形で決着をつけた。
名目上は「買い取り」だが、実質は「奪還」に等しい。あの強欲な宗家が、手塩にかけて(と彼らは思っているだろう)育て上げた「丸亀造船」を核とする企業群を、わずかな金額で手放す屈辱。
彼らの顔に浮かんだ悔恨の表情を見るにつけ、俺の胸中に、静かな、しかし確かな勝利感が満ちていった。
「これで、高松の騒動は終わったな。お前たちも、よくやった」
俺は、隣に立つ法子さんと、そして高松での交渉の裏で暗躍してくれた婆さんに、労いの言葉をかけた。
法子さんの瞳には、安堵と、そして俺への深い信頼が宿っている。
婆さんは、いつも通り涼しい顔で、しかし口元には満足げな笑みを浮かべていた。
高松の複雑な後処理は、リリーナさんと爺さんに任せることになった。婆さんの手配した専門家チームが彼らをサポートし、企業グループの再編や、桜華院宗家との関係清算を進めていく手はずだ。リリーナさんの故郷での再出発。それは、彼女の人生に、ようやく訪れた安息の地となるだろう。
法子さん、婆さんと共に、広島から東京行きの新幹線に乗り込んだ。
途中で、海軍さんに婆さんがあいさつしたいというから、今度の東京への帰宅は、高松から飛行機を使わずに広島に寄ってから、帰ることにしたのだ。
車窓を流れる日本の風景は、俺の復讐の軌跡を静かに見守っているかのようだった。
*****
東京への帰還と、榊原の再来:終わりと始まりの狭間で
東京に帰ると、すでに夏休みも終わりに差し掛かっていた。
数日後、俺は婆さんの事務所を訪れた。
そこで、予期せぬ人物と再会することになる。大蔵キャリアの榊原さんだ。
彼女は、以前会った時よりも、さらに憔悴しきった顔をしていた。
今回の件で、省内でも色々とあったのかもしれない。
何せ、彼女から高松救済に依頼を受けていたのだ。
それが高松で可決したからと言って、関係各所全てが高松にあるわけでもない。
大蔵省内でも、そもそもの原因が総量規制等の銀行規制からはじまったのだ。
証券局の榊原さんは実家関連以外には関係が無いかと思われたのだが、そもそもの総量規制する原因を作ったのが年初から始まったバブルの崩壊が原因だ。
そのために省内での調整事などで相当忙しくしているようだ。
「宝塔様……とんでもないことになりましたが、とりあえずは、問題は終わったかと……」
榊原さんは、開口一番、震える声でそう呟いた。
彼女の表情は、心底疲れ果てているようだった。
桜華院家を巡る一連の騒動、そして高松での混乱は、彼女の心に深い傷を残したのだろう。
彼女は、散々お礼の言葉を口にして、何度も頭を下げた。
その言葉は、心からの感謝を込めたものだろうが、俺の耳には、どこか空虚に響いた。
「口だけのお礼はいらないよ、榊原さん」
俺は、冷たくあしらった。
彼女の顔色が一瞬にして凍りつく。
その表情は、まるで凍てつく氷のようだった。
俺の復讐劇は、確かに一つの区切りを迎えた。
高松の企業グループを傘下に収め、桜華院宗家には実質的な敗北を味合わせた。
しかし、それは、俺の復讐の全てではない。
俺は、窓の外に広がる東京の街並みを見つめた。
バブルの猛威は、この先、さらに悪化の一途を辿るだろう。
日本経済は、未曾有の冬の時代を迎える。
しかし、俺の個人的な復讐劇は、これで幕を下ろす。
これからは、今まで築き上げてきた資産を守り、この混乱の中で、俺が守りたい人々が穏やかに暮らせるように、守りの戦略へとシフトしていくことを決めた。
「もう金輪際、企業や街の救済には関わらないよ。愛人たちの頼み以外の頼みはきくつもりはないから」
俺は、わざと挑発するようにそう告げた。
榊原さんの目が、大きく見開かれる。
彼女の表情に、驚きと、そして何かを悟ったような複雑な感情が混じり合った。
「……愛人になれば、これからも私を助けてくれますよね?」
榊原さんは、意味深な言葉を残し、事務所を後にした。
その背中には、これまでとは異なる、新たな決意のようなものが感じられた。
彼女の言葉が、俺の心に、静かな波紋を広げていく。
*****
甘美なる休息と、乱入者:完結への序章
夏休み最終日。東京のマンションに、リリーナさんが一時帰国してきた。
高松での後処理はまだ落ち着かないようで、これからは数日おきに東京と高松を行き来することになるらしい。
疲労の色は見えるものの、その瞳には、かつてないほどの安堵と、そして俺への深い愛情が宿っていた。
「宝塔様……」
リリーナさんは、俺の胸に飛び込んできた。
その柔らかな体温が、俺の全身を包み込む。
彼女の吐息が、甘く、熱く、俺の耳元で響く。
「お疲れ様。よく頑張ったな」
俺は、彼女のプラチナブロンドの髪を優しく撫でた。
その瞬間、俺の孤独な心が、温かい光に満たされていくのを感じた。
そのまま、まだ日のあるうちから、俺の部屋は、甘く、妖艶な空気に包まれた。
法子さん、梓、そしてリリーナさん。
三人のヒロインが、俺の全てを受け入れるかのように、身を委ねてくれる。
リリーナさんの熟れた体躯が、俺の肌に絡みつく。
梓の初々しい嬌声が、部屋に響き渡る。
法子さんの献身的な愛情が、俺の心を深く満たしてくれる。
それぞれの愛が、異なる形で俺を包み込み、俺の存在を肯定してくれる。
復讐という名の荒れた道を進んできた俺にとって、この瞬間こそが、何よりも尊い安らぎだった。
三人が、とりあえず納得したところで、俺たちはまったりとピロートークを始めた。
夕焼けが、窓から差し込み、部屋を幻想的な光で染め上げる。
「本当に今まで忙しかったが、俺の復讐は完遂できたかな」
俺は、法子さんの髪を梳きながら、静かに問いかけた。
「ええ、宝塔様は、理不尽なこの世界に、立派に一石を投じました。権力に蹂躙されし者たちの無念を晴らし、新たな道を切り開いてくださいました。それに、私たちにこれ以上にない幸せを与えてくれました」
法子さんの声は、優しく、そして確信に満ちていた。
その瞳は、俺を真っ直ぐに見つめ、揺るぎない愛情を伝えてくる。
「宝塔様がいなければ、私たちは今頃……」
リリーナさんの声が、甘く震える。
彼女の指が、俺の胸元を優しくなぞる。
「村井様のおかげで、私は、私の父の無念を晴らすことができました。本当に……ありがとうございます」
梓もまた、俺の腕の中で、しがみつくようにそう告げた。
三人の愛の言葉が、俺の心を温かく包み込み、満たしていく。
俺の復讐は、単なる破壊ではなく、新たな幸福と絆を築き上げたのだと、この時、心から実感した。
まったりとピロートークを楽しんでいると、突然、部屋の扉がノックされた。
そして、間髪入れずに、ガチャリと扉が開く。
そこに立っていたのは、驚きと、そして決意に満ちた表情の榊原さんだった。
「宝塔様! 私も、宝塔様の愛人になります!」
彼女の声は、部屋に響き渡る。
その手には、見るからに飛び切り厄介そうな、分厚いファイルが抱えられていた。
それは、彼女が持ってきた「お礼」ではなく、新たな「案件」の始まりを告げるものだった。
俺の復讐は、ここで終わりを告げるはずだった。
しかし、どうやら、この戦いはまだ、終わらないらしい。
新たな愛人、そして新たな案件。
俺の人生は、これからも、さらに波乱に満ちたものになるだろう。
だが、俺はもう一人ではない。大切な人たちと共に、この激動の時代を、俺が望むままに生きていく。
~~完(仮)~~
いかがでしたか。
私の初めて試みとして、最近はやりのAIを使ってどこまで小説が作れるかの実験で作りました。
色々と初めてなことばかりで、いらない時間もかけましたが、さいきんのAIはとにかくすごい。
何より10万字の作品を私だけだと簡単に1年はかかりそうなところ、本作品は作業を始めてからは2週間くらいでしょうか。
それ以前から、ちょくちょく簡単な実験はしておりましたが、とにかく初めてで作品を投稿できるまでに仕上げられたのは感激以外にありません。
作品の評価については、感想などを頂いておりませんので、ブックマークと星の数から判断するに、そこそこの完成度だったのではと考えております。
よろしければ、感想を頂けると今後の参考になりますので、よろしくお願いします。
へいたれAI こと のらしろ