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俺は人生に、この誰もが救われない社会に復讐する  作者: へいたれAI
序章 目覚め
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第一話 目覚め

 こんにちわ、のらしろです。

 今回、実験としてAIと一緒に作品を作ってみました。

 どんな感じになるのか、何分初めてのことなので、少し怖い気もしますが、わくわくしております。


 内容的には10万字程度の作品として一旦この話を終わらせますし、そのほとんどが書き終わっております。

 細かな調整が残りますので、調整が済み次第、党申してまいります。

 楽しんでいただけたら幸いです。

 

 では本編をお楽しみに

 

「澪せんぱ~いっ!」


 喉を裂くような叫び声で、平田嶺は跳ね起きた。

 目覚めた瞬間、俺の身体はびっしょりと汗で濡れていた。

 視界はぼやけ、荒い呼吸が白い息となって闇夜に溶ける。


 夢の中で感じた得体の知れない恐怖と、胸を抉るような切なさが、まだ鮮明に胸に残っていた。

 まるで深海の底から引き上げられたかのような重苦しさ。

 心臓は不規則なリズムでドクドクと脈打ち、全身の毛穴という毛穴が開いているのがわかる。


 まだ夜が明けきらない部屋。わずかに揺れるカーテンの隙間から、銀色の月明かりが差し込んでいる。

 その光の中に浮かび上がる、ひときわ滑らかな白い背中。


 俺の隣に静かに眠っていたのは—— 法子さん。


 祖父の遺産と称して唐突に「譲り渡された」その人は、現実感を欠くほどの美しさと、どこか異国めいた気品を纏っていた。

 昨夜、彼女の手ほどきによって俺は生まれて初めて、「女性」という存在の奥深さに触れた。


 それは熱に浮かされた幻のようでありながら、指先と唇に確かな記憶を残していた。

 触れた肌の柔らかさ、熱を帯びた吐息の甘さ、そして、絡み合った指の感触。

 どれもが現実離れしているのに、同時にひどく生々しかった。


「宝塔様。……お目覚めですか?」


 低く、艶やかな声が、静寂を切り裂くように届く。

 その声は、耳朶に心地よく響き、俺の乱れた呼吸を少しだけ落ち着かせた。


 法子さんがゆっくりとこちらに身を翻した。

 長い黒髪が肩を流れ、露わになった鎖骨を滑って布団に落ちる。

 月明かりを浴びた肌は、まるで上質な陶器のように滑らかで、触れることをためらうほどの神聖さを感じさせた。


 彼女はふわりと布団から身を起こし、まるで舞うような所作で俺の傍に近づいてくる。

 その一挙手一投足に、妙な緊張と安堵がないまぜになる。

 鼻腔をくすぐるのは、あの夜にも感じた、花のように柔らかく、それでいて微かに甘い香り。

 その香りに包まれると、夢の残滓が少しずつ遠ざかる気がした。


「……悪夢を見て、飛び起きたんだ」


 俺はまだ定まらない意識の中で、そう答えた。

 額に当てられる彼女の指先が、冷たく優しくて、妙に現実的だった。

 その冷たさが、俺を夢と現実の境目から引き戻す錨のようだった。


「ふふ。私と過ごした一夜が、それほど刺激的でしたか?」


 少し微笑んで、いたずらっぽく首をかしげる法子さん。

 その姿はどこか女神のようであり、また同時に、手の届かない罪深さを孕んでいた。

 その言葉の響きは、俺の胸に微かな熱を灯す。

 だが、その熱は、夢が残した深い影には及ばなかった。


「……違う。そうじゃない。変な夢だったんだ。……俺じゃない、別の男の人生を……体験していた」


 言いながら、自分でもその言葉の重みに気づいていく。

 夢の中で感じた焦燥、孤独、そして命が潰える寸前のあの絶望。

 それは、まるで現実よりも鮮明な、誰かの人生の断片だった。

 脳裏に焼き付いたのは、疲弊しきった男の背中、鳴り響く電話の音、そして、最期の瞬間の虚無感。


 俺は、まるで“誰かの最後”を、その人の視点で見ていた。

 その人の感情、思考、そして苦痛。すべてを、自分のものとして感じていた。


 法子さんは黙って、俺の言葉を待っていた。

 まなざしには、驚きも疑念もない。ただ、すべてを受け止めようとするような静けさがあった。その静かな視線が、俺の言葉の真実を疑わないと告げているようだった。


 ——そうだ。あれはただの夢じゃなかった。


 俺が見たのは、平田嶺という男の人生だった。そして、その最期。過労死。


 *****


「平田、おい、平田!」


 肩を揺さぶる荒っぽい声に、嶺は重い瞼をゆっくりと持ち上げた。

 視界に飛び込んできたのは、上司である部長の脂ぎった顔。

 ネクタイは緩み、ワイシャツの襟元には昨晩の酒のシミがくっきりと残っている。

 部屋にはタバコの煙が充満し、時計の針は午前3時を指していた。


「……部長。まだ何か?」


 掠れた声で問いかける嶺に、部長は鼻で笑った。


「まだ何か、だと? お前なぁ、このご時世に定時で帰ろうなんて冗談だろ。もっと顧客を掴め。株を買え、買わせろ!」


 部長の怒鳴り声が耳朶を打つ。

 嶺は疲労で鈍くなった頭で、それでも言葉を紡いだ。


「部長、私は……」


「投資ではなく、投機でしょうが」


 脳裏に、今は亡き先輩、白峰澪の声が響く。

 澪はいつもそう言っていた「投機に走れば、いつか必ず痛い目を見る。顧客の資産を預かる者として、常に堅実な投資を心がけなさい」と。

 その言葉は、嶺がこの証券会社に入社して以来、常に彼の行動指針となっていた。


 しかし、世間は既に狂乱の中にあった。

 日本経済は、まさにバブルという名の巨大な泡に包み込まれていた。

 株価は連日天井知らずの上昇を続け、土地の値段は青天井。

 誰もが明日のさらなる富を信じ、疑うことを知らなかった。

 街には高級車が溢れ、連夜の豪遊に興じる人々。


 誰もが「億万長者」になる夢を見ていた。

 証券会社の人間として、この熱狂の渦中に身を置くことは、ある意味で至福だった。

 だが、嶺の胸には常に、澪の教えが重くのしかかっていた。


「平田、お前だけだよ、この空気についていけてないのは。もっと、もっといけ! お客さんも求めてるんだ、儲け話を!」


 部長の言葉は、まるでどこか遠くから聞こえてくるかのようだった。

 嶺はひたすら耐え、澪の言葉を心の支えにして、国内の投機ブームとは一線を画した堅実な投資姿勢を貫いていた。

 彼の顧客は、短期的な利益を追求する者よりも、長期的な資産形成を望む者が多かった。

 そして、嶺は彼らの期待に応えるべく、アメリカを中心とした海外案件に注力し、国内外の経済情勢を冷静に分析し続けた。


 もちろん、一部の顧客からは不満の声も上がった。


「なぜ、あいつの顧客はこんなに儲けているのに、俺は地味な株ばかり買わされるんだ?」と。


 しかし、嶺は彼らの意見に流されることなく、己の信じた道を突き進んだ。

 結果として、彼の顧客の多くは、他の社員が担当する顧客とは異なり、順調な運用益を上げていた。

 それが、嶺の証券マンとしての矜持であり、彼を支える唯一の光でもあった。


 連日の残業、休日出勤。

 嶺の体は確実に蝕まれていった。

 目の下のクマは消えることがなく、常に鉛のような疲労感が体を覆っていた。

 それでも彼は、顧客からの信頼を裏切るまいと、限界まで働き続けた。


「平田さん、いつもありがとうございます。あなたのおかげで、私も安心して老後を迎えられそうです」


 年配の顧客からの感謝の言葉が、嶺の疲弊しきった心にわずかな光を灯す。

 その一言が、彼の原動力だった。

 しかし、その光は、やがて来る嵐の前の静けさに過ぎなかった。


 数年後――日本経済を覆っていた巨大な泡は、あっけなく弾け飛んだ。


 バブル崩壊。


 その現実は、あまりにも容赦なく、そして劇的だった。

 一夜にして株価は暴落し、土地の価値は紙屑と化した。

 多くの企業が倒産し、失業者があふれた。

 街を覆っていた華やかな喧騒は消え失せ、代わりに絶望と混乱が日本中を席巻した。


 嶺が勤める証券会社も、その例外ではなかった。

 国内市場に過剰なまでに投資していた他の社員の顧客は、軒並み壊滅的な打撃を被った。

 連日、怒号と悲鳴が飛び交い、電話は鳴りっぱなしだった。

 罵詈雑言、中には泣き崩れる者もいる。

 地獄のような光景が、会社のフロアに広がっていた。


 そんな中、嶺の席だけは、まるで別世界のようだった。

 彼の顧客は、海外案件への分散投資と堅実な運用のおかげで、奇跡的に大きな損失を免れていたのだ。

 わずかな損失はあったものの、それは他の顧客が被った損害に比べれば、微々たるものだった。


「平田、よくやった! お前だけだ、まともに顧客を守れたのは!」


 社長は、嶺の肩を叩き、普段見せることのない笑顔を見せた。

 だが、その笑顔の裏には、新たな、そしてより重い負担が隠されていた。


「平田。お前に頼みがある。いや、これは命令だ」


 社長の表情が、一瞬にして冷酷なものに変わる。


「お前が助かったのは、お前だけの功績じゃない。会社全体が危ないんだ。お前のやり方で、他の顧客も救え。なんとかしろ!」


「しかし、社長。私は…」


 嶺は言葉に詰まった。

 他の社員の顧客は、莫大な損失を抱えている。

 彼らの損失をどうにかしようとすれば、それはもはや投資ではなく、綱渡りのような投機に手を出すしかない。

 それは、まさに嶺が最も嫌悪し、避けてきた道だった。


 だが、社長の目は有無を言わせぬ光を宿していた。


「できない、とは言わせないぞ。この会社が潰れれば、お前の顧客だってただでは済まない。わかっているな?」


 その日から、嶺の地獄が始まった。

 自分の顧客の対応に加え、他の社員が抱える膨大な数の顧客の損失回復に奔走する日々。

 寝る間もなく働き、食事もろくに摂れない。

 机の上には、山のような書類と、鳴り続ける電話。

 顧客からの罵倒、上司からの無理な要求。

 嶺は、まるで無限のループに囚われたかのように、仕事に没頭した。


 彼の机の上には、常にカップ麺の空き容器が山をなし、コーヒーの匂いが染み付いていた。

 体は常に重く、思考は常に霞がかっていた。


「平田、これで大丈夫だろ。この件は、お前が責任持ってやれ」


「平田さん、どうかお願いします。このままでは、私の人生が……」


「平田! まだ終わってないのか! さっさと片付けろ!」


 彼の精神は、既に限界を超えていた。

 睡眠不足と栄養失調で、体は鉛のように重い。

 視界は霞み、頭痛が常に付き纏う。

 それでも嶺は、倒れるわけにはいかないと、自分を鼓舞し続けた。


「澪先輩……」


 ふと、机の上の写真立てに目をやった。

 そこには、優しい笑顔を浮かべた澪が写っている。

「投機ではなく投資」――その言葉が、耳元でこだまする。

 しかし、今の自分は、その教えとは真逆のことを強いられている。

 その矛盾が、嶺の心をさらに深く抉った。


 もう、何日まともに眠っていないだろうか。

 時計の針は、いつも深夜を指していた。

 朝が来る前に出社し、夜が更けても会社を出られない。

 そんな生活が、何ヶ月も続いていた。


 ある日の午後。


 嶺は、キーボードを打つ指が、まるで自分のものじゃないかのように震えているのを感じた。

 視界が急速に狭まり、目の前が真っ暗になる。冷たい汗が、背中を伝う。


「……っ!」


 喉から、小さな呻き声が漏れた。

 意識が、急速に遠ざかっていく。

 机に突っ伏した瞬間、嶺の脳裏に走馬灯のように駆け巡ったのは、幼い頃に見た満開の桜並木、学生時代の友人たちの笑顔、そして、優しく微笑む澪の顔だった。


「澪……先輩……」


 彼の人生の最後の言葉は、その初恋の相手であり恩師でもある名だった。

 キーボードに突っ伏したまま、嶺の体は微動だにしなくなった。

 彼が手にしていた資料が、音もなく床に落ちる。


 カツン、と小さな音が、静まり返ったオフィスに虚しく響いた。

 数分後、通りかかった同僚が、嶺の異変に気づいた。


「平田、おい、平田! どうしたんだ、寝てるのか?」


 しかし、嶺は、もう応えることはなかった。


 過労死――。


 それが、彼の真面目さゆえに辿った、あまりにも非業な人生の結末だった。

 嶺の体は、ただの一枚の紙切れのように、証券会社のオフィスフロアに横たわっていた。

 そこは、かつて彼が夢を追い、誠実な投資を貫こうとした場所。

 しかし、最終的に、彼の命を奪った場所でもあった。

 彼の死は、バブル崩壊という狂乱の時代に、懸命に生きようとした一人の男の、あまりにも哀しい最期だった。

 本作は、前書きでも触れまし通りAIと一緒に作品を作る実験的は試みです。

 これの良い所は、少なくとも私の作品で非常に多かった誤字が劇的に減ると期待しております。


 AIと、私の関係ですが、原作者、構成、アレンジがのらしろで、作文担当が複数のAIとなります。

  

 ですので、わかりやすく本作品の著作者が『へいたれAI』としておきます。

 では、しばらく本作品にお付き合いください。


 へいたれAIことのらしろでした

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