アールグレイの香り Ⅱ
「何?そんな言葉で、私が薔薇庭園に行かないとでも思っているの?」
「べ、別にそんなんじゃないわ!ただ、貴方の安全を願って・・・」
そんなイイワケは結構だ。
「とにかく、何をいわれてもいくから」
また、朝がやってきた。
だが、すこしジメジメしていた・・・・
「雨です!主」
「見ればわかる」
梅雨のように勢い強く降っていた。
「行くんですか?主ー」
蝶々がひらひらと飛びながらいう。
「一度決めたことは、必ず実行する方だから」
部屋のドアを開け、すぐさま屋敷をでていく。
雨といっても、この外の空気は潤っていて、清められる。
ブランドの傘をさして、薔薇庭園へ向かう。
「主!何か気配が!」
昨日取り寄せたアンティーク家具がある向こうに、人影をみる。
「だれ」
「おや、ずいぶん敏感なお方で」
ソイツは紳士だった。
整ったタキシード・・・執事か使用人だろうか。
「質問に答えなさい」
「我は、來斗です・・いらっしゃいませ、お嬢様・・・・」
「あんたの店に足を運んだ覚えはないけど」
「すでに、ココはお店の中ですよ・・・」
來斗がいうと、藍羅の後ろにブラックホールのようなモノがでてくる。
「ごゆっくりご寛ぎくださいね、お嬢様・・・」
すごい吸引力で藍羅をブラックホールへ引きずり込む。
「なっ!!」
抵抗してみるが、無理だった。
藍羅はあっけなく、ブラックホールの中へ葬られた。
「きっと・・・楽しいゲームが待っていますよ」
來斗は口をひきつらせて、笑うと、ブラックホールの穴は閉じられていった。
暖かい風は頬をつく・・・
「ん・・・」
「あーるーじ!!生きてますか!!」
蝶々が激しく飛び回る。
「生きてるし、勝手に殺すな」
「グ、グレイは主を殺したりなんてしません!!」
「あ、そ」
適当に返事を返して、あたりを見回す。
「グレイ・・・あんたがいるんだったら、こういう次元の世界があるのもおかしくないわね」
はい、少なかったですが、前よりは多い方です。
解説
グレイはいつもひらひら飛んでる蝶のことです。
ある日遊びに行ったら、まぁ・・・グレイにあったというわけです。
なぜ、グレイなのか?それは秘密です。