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【書籍化、コミカライズ】転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~  作者: 鳥助
第六章 体験、海のある暮らし

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218.出汁+うどん+天ぷら=(1)

 私はクレハとイリスを誘って海の上までやってきた。


「ノアの新しい魔法、大丈夫か?」

「海の中でも呼吸ができるって……凄い魔法ですよね」

「大丈夫、大丈夫。家にいた頃でも試していたから、自信があるよ」


 海に行くことに決まってから、密かに新しい魔法を生み出していた。何度も試行錯誤をして、できあがった魔法……それは水中でも呼吸ができる魔法だ。


 この魔法を生み出せば海での遊びはもっと楽しくなる、そう思って生み出した。結構大変だったけど、なんとかできるようになったんだよね。


 二人が海に慣れてくれたので、ようやくこの魔法の出番ということになった。


「じゃあ、魔法をかけるよ」


 私は意識を集中して、水中呼吸の魔法を発動した。二人はちょっとおっかなびっくりな感じだが、しばらくするとキョトンと不思議そうな顔をする。


「なんともなんないぞ」

「何もないですね」

「いや、これで魔法がかかったはずだよ。一度、潜ってみよう」

「本当に大丈夫かー?」

「じゃあ、行きますよ」


 三人で顔を見合わせると、同時に潜った。すると、顔や頭全体を覆うように空気の層が生まれる。閉じていた口を開くと、ちゃんと息が吸えるようになっていた。


 よし、成功している。二人を見てみると、二人はまだ口を閉じて息を止めている。そんな二人に話しかけた。


「口を開けても大丈夫だよ」


 私が口を開けて喋ると、二人は驚いた顔になった。顔を見合わせた二人はゆっくりと口を開き、やっぱり驚いた顔をする。


「本当に息ができるぞ!」

「それに声も聞こえます。どうしてでしょう?」


 二人は息ができることと、音が聞こえることに驚いた様子だった。


「どう、この魔法良くできているでしょ? 水中で呼吸もできて、声が聞こえるようになったらいいなーって思って作ってみたんだ」

「ノアは称号のレベルアップもないのに、新しい魔法を使えるのか。凄いんだぞ!」

「今まで称号のレベルアップに頼ってきてましたが、頼らなくても新しい魔法を生み出せるんですね」

「そうだね。色々と考えて力を使えば、新しい魔法も技もできるようになるかも」

「それを聞いたら、魔物討伐をしたくなったぞ! ウチも自分で技を作りたい!」

「新しい魔法を作るのも楽しそうですね。自分だけの魔法……ふふっ、いいですね」


 今までは称号のレベルアップと共に新しい魔法や技を覚えてきた。だけど、称号のレベルアップがない今、新しい魔法や技を習得する機会がなくなってしまった。


 と、なると新しい力を手に入れるためには、自分で試行錯誤しなくてはならなくなる。その考えは当たって、頑張れば新しい魔法を覚えることができた。これからは称号のレベルアップじゃなくて、修行した成果が新しい力に変わる時かもね。


「あ、この魔法は三十分くらいしか効かないから気を付けてね。三十分経つ前に、必ず水面に上がること」

「制限があるんですね。分かりました、気を付けます」

「まぁ、みんなで行動するんだから大丈夫か。とにかく、潜れるところまで潜ってみようぜ!」


 クレハが水中の中を進むと、私たちもその後を追っていった。楽しい水中散歩の始まりだ。


 ◇


 水中の青い世界はとても綺麗だった。色んな形の魚が沢山泳いでいて、目で追うだけでも楽しい。陸上では味わえない絶景にも出会うことがある。


 そんな世界を泳いでいると、遠くに黒くて長い海藻が生えていることに気づいた。


「あれ、なんだろうな」

「行ってみましょうか」

「うん」


 やけにあそこだけ沢山生えているけれど、なんだろう? 興味の引かれた私たちはその場所へと泳いでいった。近づいていくと、その海藻の形が良く分かってくる。それはどこかで見覚えがあるような形をしていた。


 なんだっけ? 前世で見たことがあるものだ。黒くて長くて、ヒラヒラしてて……まさか! あれは昆布じゃない!? よし、鑑定してみよう。


 昆布:海藻の一種。食用可。


「やったぁ、昆布だ!」

「ど、どうしたんだ急に?」

「もしかして、あの黒いものですか?」

「そうそう。とってもいい食材なんだよね」

「なんだと、あれが食べれるのか?」

「どんな風に食べるんでしょう」


 創造魔法を使えれば手に入るけど、出すのには限りがある。だから、できるだけ現物で手に入れたいとは思っていたけど、こんなところに生えていたとは。


 近づいて昆布に触れてみると、ヌルヌルしている。


「うわ、凄くヌルヌルしてるぞ。本当にこんなのを食べるのか?」

「そのまま食べてもいいけれど、一番いいのは出汁を取ることだよ」

「出汁……コンソメスープみたいなものですか?」

「そうそう、そんな感じ。それを使って、とっても美味しい物が作れるんだよ」

「美味いものか……食べてみたいぞ」


 昆布の出汁を使って何を作るか……作ってない物って何かあったっけ? うーん……そうだ!


「よし、うどんを作ろう!」

「うどんってなんですか?」

「小麦粉を使って、長い棒にしたものだよ」

「長いパンってことか?」

「パンは焼くけど、うどんは煮るんだよ。パスタみたいなものだよ」


 パスタと言ったら二人とも想像ができたのか、納得したような顔になった。


「コンソメスープみたいなのと、パスタが合わさったような食べ物ですか?」

「まぁ、間違いではないけれど……味が違うね」

「うーん、どんな味になるか想像がつかないぞ。凄く気になる、食べたい」


 私も出汁のことを想像したら、凄く食べたくなった。これは早急に動くしかないね。


「じゃあ、今日の昼食は私が作ってくるよ! そうと決まれば、この昆布を持っていって、準備してくるね」


 私は魔動力で昆布をいくつか引っこ抜いた。


「二人とも、昼食の時間になったら宿屋に戻ってきて。うどんを食べさせてあげる」

「分かったぞ! 楽しみにしているからなー!」

「久しぶりのノアの食事、楽しみに待ってますね」

「魔法が切れる前に海面に上がるんだよー」


 そう言い残すと、私は急いで海面へと上がった。このまま泳いで砂浜まで戻るのはいいけれど、それだと時間がかかる。魔動力で体を浮かせると、一直線に砂浜へと向かった。


 ものの数分で砂浜に到着すると、まずは昆布の処理からだ。魔動力で昆布を宙に浮かせると、乾燥魔法で乾燥させる。すると、長かった昆布がどんどん縮んでいき、カラカラの固い昆布に変化した。


 これこれ、私はこれが欲しかった。ついでに自分の体を乾燥魔法で乾かし、休憩場所に置いてあったパーカーを羽織る。それから、宿屋に向かって駆け出していった。

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― 新着の感想 ―
乾燥昆布の根元を水に浸けて戻って飲むことを一時期やっていたなぁ。アミノ酸あたりが摂取出来たのだろうか。
>うどん 鰹でなく昆布を取りましたか……つまり宣戦布告と判断してよろしいですな トーホーニゲーゲキノヨーイアリ これはうどんのうーやんと、麻倉ももを召喚しないといけませんと >魔法 なるほ…
うどんは後半から天かすをたっぷり入れてカリカリ触感を楽しみたい派です(キリッ
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