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【書籍化、コミカライズ】転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~  作者: 鳥助
第五章 新しい出会いと交流

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180.春の素材採取(5)

「た、助けてください!」


 蔦に捕まえられ身動きの取れないエルモさんが叫ぶ。アルラウネは不気味な笑みを浮かべて、蔦をウネウネと動かしていた。


「こいつは強いぞ。ノア、気をつけろ」

「先にエルモさんを助けましょう」

「あぁ、そのほうがいいな」


 アルラウネの前にクレハとイリスが立ちはだかる。二人とも臨戦態勢で、いつでも戦える様子だった。沢山の戦闘をしてきた二人が強いと言ったアルラウネ。一筋縄じゃいかなそうだ。


 私たちが身構えていると、アルラウネが先に動いた。


「キキィーッ!!」


 手を勢いよく前に振ると、足元に咲いていた大きな花の後ろから無数の蔦が現れた。その蔦はウネウネと動き出し、突如としてこちらに向かって襲い掛かってくる。


「そうはさせません! 聖なる壁!」


 イリスが魔法を唱えると、私たちを守るように魔法の壁が出現した。真っすぐ伸びてきた蔦はその壁に触れると、バチッという音と共に蔦が弾かれる。もしかして、聖なる壁の威力が強くなった?


 何度も襲い掛かってくる蔦を聖なる壁が何度も弾く。私たちには傷つかないが、触れた蔦は表面が破けて少なからずダメージを負っていた。


「よっしゃ、行くぞ!」


 すると、クレハが聖なる壁を飛び出していった。


「電光石火!」


 すると、クレハが見えないくらいに速くなった。そして、速くなったクレハは……。


 ザシュ!


 エルモさんを捕まえていた蔦を切った。


「ノア、頼む!」

「はっ、分かった!」


 私は手を前に構えると、魔動力を発動した。蔦で宙に浮いていたエルモさんが落ちる前に魔動力で受け止め、聖なる壁の中へと移動させる。


「エルモさん、大丈夫!?」

「は、はい! 大丈夫です、ありがとうございます」

「良かったです。あとはアルラウネを倒すだけですね。クレハ、やりましょう!」

「おうよ!」


 私とエルモさんは聖なる壁の中にいて、クレハとイリスは聖なる壁の外にいる。そんな二人のアシストをしなくちゃ。私は聖なる壁の中にいながら、魔動力を発動させた。


「キッ、キィッ……!」


 アルラウネ全体に魔動力をかけ、その動きを封じた。よし、これで……そう思った時、アルラウネの様子がおかしい。ブルブルと体を震わせて、動こうとしている。


 魔動力の力を解こうとしている。それに気づいた私は全力で魔動力を発動させた。力の限り魔動力の力を解放する、だけどアルラウネの動きが次第に大きくなってきた。


「キ、キ、キィィィッ!!」


 魔動力を自力で解かれた! 身動きが取れるようになったアルラウネは蔦を動かし、攻撃を仕掛けてくる。


「そんな、魔法が解かれるなんて……」


 私は驚いた。今までこんなことはなかったのに、まさか破られるなんて。二人が強いというだけのことはある、魔動力の扱いには長けたはずのにそれを簡単に破れる力を持っている。


 アルラウネの蔦は激しく二人を攻め立てて、中々攻撃の糸口は見いだせていないみたいだ。ここはもう一度魔動力を発動させて……いや、他にも使える魔法がある。時空間魔法の時間停止だ。


 きっとこっちのほうが強い。消費する魔力も多いし、魔動力より後に覚えた魔法だ。よし、時間停止にかけてみよう。


「今から時間停止の魔法をかけるよ! いつまで持つか分からないけれど、止まっている隙に攻撃を仕掛けて!」

「分かったぞ!」

「分かりました」

「それじゃあ、いくよ!」


 蔦を鞭のように使い攻撃を仕掛けてくるアルラウネ。動きを止めなければ、攻撃する隙は作れない。私は手を前に構えると時空間魔法を発動させた。


「時間停止!」


 アルラウネに向けて時空間魔法を発動すると、動き回っていた蔦の動きが止まった。効いた、今がチャンスだ!


「今だよ!」

「ホリーシャイン!」

「連続スラッシュだ!」


 イリスは無数の光の矢を作り、それをアルラウネに向けて放った。クレハはその場にいながら、斬撃を飛ばして攻撃をする。止まっているアルラウネは抵抗することもできず、二人の攻撃を受け続ける。


 時間停止の魔法をかけているが、抵抗する力を感じた。だけど、魔動力の時と比べれば弱い抵抗に感じる。時空間魔法が強い魔法だから、抵抗も少なくてすんでいるのかもしれない。


 二人がアルラウネを倒すまで、私は時空間魔法の力を緩めない。しっかりと意識して魔法を発動させていると、アルラウネからの抵抗がなくなった。


 もしかして、倒した?


「時間停止の魔法を解くよ。警戒して」


 私が時空間魔法を解除すると、アルラウネの体がみるみる枯れていき萎んでしまった。


「アルラウネを倒したぞ!」

「やりましたね!」


 どうやらアルラウネを倒したみたいだ。枯れ果てたアルラウネはもう起き上がる力もなく、その場に倒れたまま動かなくなった。そこでようやく私は二人に近寄った。


「二人とも、やったね!」

「ノアの魔法のお陰で無傷で倒せたんだぞ!」

「もっと苦戦するはずでしたが、ノアの魔法のお陰で簡単に倒せちゃいました」

「いやいや、二人が奮闘してくれたお陰だよ。お疲れ様」


 三人でお互いのことを称え合った。みんなで協力して倒せてよかった。緊張した戦闘だったけど、なんとか乗り越えることができたね。


「じゃあ、ウチはアルラウネの討伐証明を取ってくるな」

「私たちはどうしましょう? 素材の採取でも始めますか?」

「そうだね、エルモさんに聞いてみよう」


 クレハはアルラウネの討伐証明を取りに、私たちはエルモさんに近づいていった。


「エルモさん、アルラウネを倒しました。もう安全ですよ」

「それで素材採取はしますか?」

「倒してくれてありがとうございます。もう大丈夫なら、素材の採取を始めたいです」

「なら、始めようか」


 私たちは素材が沢山なっている地面の前に行き、しゃがみ込んで素材の採取を開始した。


「リンデーン草がこんなに沢山生えているなんて、とても嬉しいです。春に生える期間限定の素材なんですよね」

「この草にはどんな効果があるの?」

「素材の効果を上げる特殊な成分が入っているんです。回復量が倍になったり、薬の効果を飛躍的に上げてくれるんですよ」

「そんな効果なんですね。素材には本当に色々な効果がありますね」

「地上部のほうに成分が入っているので、地上部は丁寧に扱ってください。根は千切ってしまってもいいです」


 エルモさんの話を聞き、私たちはリンデーン草を千切って採取をした。群生地だけに草は沢山生えていて、抜いても抜いても作業は終わらない。


「あ、全ては抜かないでくださいね。また来年、群生地が生えてくれれば助かります」

「全部抜いたら、次が生えてこないもんね。分かった」

「この草はどんな風に増えるんでしょうね」

「夏になったら小さな花が生えて、種ができるんです。それで増えていくんですよ。春の間だけ草に特殊な効果があるので、今の内に取らなければ意味がありません」


 だから、春限定の素材なんだ。素材のことを色々知っているエルモさんがいれば、森での素材採取はとても捗りそうだ。


「これくらいの範囲のリンデーン草は残しておきましょう。残りは全部取りましょうか」

「うん、分かった」

「分かりました」


 私たちはリンデーン草を取り続けた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 時間を止められていても時間停止を解除しようと抵抗できるのは新たな知見ですね。しかし、時間が停止しているのなら意識も魔力も全て停止しているはずなのにどうやって抵抗していたのでしょう? ひょっと…
[気になる点] >>もっと苦戦 ……逆に言えば、時間はかかるが二人だけでも倒せるということでしょうか? もしそうなら、相当強いですよね
[一言] アルラウネ「私が最後の触手キャラだと思うなよ……ティンタクル仇を取ってくれ………」 森の外 男爵様「アー↗↗↗↗」 男爵様「この読者は本当に私のファンなのか?」
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