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【書籍化、コミカライズ】転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~  作者: 鳥助
第五章 新しい出会いと交流

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179.春の素材採取(4)

「エルモさん、今だよ!」

「はい! いっけぇっ!」


 魔動力で動きを止めたキラーアントに向けて、エルモさんが杖を振った。光りの棘が射出され、キラーアントに深く突き刺さる。


「キシャァッ!」

「もう一発だよ!」

「いきます!」


 一発ではキラーアントを倒せなかった。もう一度エルモさんに杖の攻撃をしてもらう。すると、その一撃でキラーアントは動かなくなった。よし、こっちの討伐は終わりだ。二人はどうしているかな?


「スラッシュ!」

「ホリーシャイン!」


 クレハが剣を振るうと光りの斬撃が飛び、キラーアントを真っ二つに切った。イリスが魔法を唱えれば、無数の光りの矢が出現して雨のようにキラーアントに降り注ぐ。


 私たちが一体を倒している間に、二人で数体も倒している。やっぱり本職には敵わないね。


「よし、これで最後だ!」


 最後の一体のキラーアントに向かってクレハは剣を振るう。それでキラーアントの頭が切り落とされて戦闘は終了した。すると、すぐにイリスがこちらに向かって駆け出してきた。


「お二人とも怪我はありませんか?」

「うん、大丈夫だよ」

「平気です」

「そう、良かったです。数が多かったので心配してました」


 イリスはホッとした表情になって胸を撫でおろした。


「周りには他の魔物がいないみたいだ。討伐証明を刈り取るぞ」

「はい」


 戦闘が終了すると、今度は討伐証明刈りだ。二人はナイフを手に持つと、キラーアントの討伐証明を切り取り始めた。


「全部で何体いるんでしょうか?」

「えーっと……十二体かな?」

「私たちで二体倒したので、お二人で十体倒したことになりますね。まだ子供なのに強いんですね」

「まぁね。二人は特別だから」


 なんてったって、本物の勇者と聖女だからね。もしかしたら、大人の冒険者よりも強いかもしれない。そうだったら、私は凄い二人と一緒にいることになるね。


「終わったぞー」

「移動しましょう」


 作業を終えた二人が戻ってきた。私たちはこの場を離れて、森の奥へと進んでいく。


「あ、そろそろ素材を探してもいいですか?」


 その時、エルモさんが気づいたように話しかけてきた。


「この周辺にエルモさんが欲しかった素材があるの?」

「はい、この辺で大丈夫です。木々の様子から見ても、ここは森の中腹みたいですから」

「よっしゃ、ならウチは周りを警戒するぜ!」

「私は素材を見つけようと思います」

「じゃあ、ここで素材を探そう」


 目的の場所についたみたいだ。クレハが魔物を警戒してくれるというから、安心して素材採取ができるね。バラバラに散らばると素材を探し始めた。


 一本ずつ木の根元を確認していく。何か変わった草とか実とか花とか生えてないかな? そうやって見ていくと、特徴的な草が生えていた。その草を鑑定してみる。


 ヤドロギ草:すり潰すと粘着力のある液に変わる。


 薬草じゃないけれど、何かに使えそうだ。魔動力で根こそぎ引き抜くと、それをエルモさんに見せに行く。


「エルモさん、これって素材ですか?」

「あ、ヤドロギ草! 軟膏とかに使う素材なんです、探していた素材の一つです。ありがとうございます」

「そっか、見つかってよかった。そうだ、素材は私のリュックに入れておこうか? そのほうが嵩張らないしいいと思うんだけど」

「ノアちゃんのリュックを使わせてもらってもいいですか? とても嬉しいです、ありがとうございます」


 エルモさんは終始嬉しそうな顔をして受け答えをした。私がとってきた草をリュックの中にしまおうとすると、イリスがやってくる。


「エルモさん、これは素材ですか?」

「ロプロスの花! それは香料に使われる花なんです、それも素材ですよ」

「やった、私も素材採取ができた」


 イリスが見つけてきたのも素材だったらしく、嬉しそうな顔をする。


「この周辺は素材が沢山生える場所なので、どんなものでもいいので見つけたら持ってきてくださいね」

「そうなんですね。普段は素材採取なんてしないから、全然分かりませんでした」

「もし良かったら、素材を覚えておいて素材採取してくれると嬉しいです。私のところで買い取ってますからね」

「今度は素材採取もしてみましょう」


 素材を見つけると嬉しくなるから、素材採取は楽しい。イリスもその楽しさを感じたのか、日常の魔物討伐の時に素材採取をすることを決めたみたいだ。忙しくなるけれど、大丈夫かな?


「さぁ、どんどん採っていきましょう」


 気合の入ったイリスは離れていき、素材探しを始めた。以前はそこまで興味があったわけじゃないけれど、今回の何がイリスに火をつけたんだろうか?


「ふふっ、私たちも負けないように素材採取を頑張りましょう」

「そうだね。折角ここまで来たんだし、素材を沢山見つけたいしね」


 気合を入れ直すと、私とエルモさんはイリスに負けないように素材を探し始めた。


 ◇


 素材を探しては移動をしてを繰り返した。素材を見つける喜びを感じつつ、次々と素材を手に取る。中には雑草もあったけど、それも含めて楽しい時間になった。


 私たちがそんな風に素材採取をしていると、辺りを警戒していたクレハが近づいてきた。


「なぁなぁ、こっちから変な匂いがするんだが」

「変な匂い? ……私には分からないなぁ」

「草の匂いだと思うんだが、これって素材じゃないか?」

「匂いのする素材か……ありえそう」


 クレハが変な匂いを嗅ぎつけてきたみたいだ。特徴のある草のようだけど、素材の可能性は大いにあるね。


「エルモさん、イリス。あっちから変な匂いがするんだって、行ってみない?」

「匂いのある素材ですか……行ってみましょう」

「私も行きます」

「じゃあ、こっちだぞ」


 クレハを先頭にして森の中を進んでいく。しばらく歩いていくと、木が少ない場所になり、目の前に木が生えていない庭みたいなところが見えてきた。


「あそこから変な匂いがするぞ!」


 クレハが指を指すと、木の生えていない地面に何かが沢山生えているのが見えた。あれは一体なんだろう?


「あ、あれは!」


 それを見たエルモさんは駆け出した。私たちもその後を追う。先に行ったエルモさんがその草の前でしゃがむと、嬉しそうな声を出す。


「リンデーン草の群生地! 珍しい薬草なのに、こんなに沢山!」


 どうやらそれらは素材だったみたいで、エルモさんのテンションが上がった。だが、その時。地面から蔦のようなものがウネウネとエルモさんに近づいていく。


「エルモさん、危ない!」

「えっ? きゃぁっ!」


 蔦はエルモさんに絡みつくと、その体を持ち上げた。私たちは急いでその場に行くと、庭の端に大きな花みたいなものがあった。その花からは人間の女性と思われるものが生えている。


「大変、アルラウネです!」

「こいつは魔物だぞ!」


 どうやらその女性は魔物らしい。アルラウネと言われた魔物はエルモさんを縛り、持ち上げている。


「キッキッキッ」


 そして、不気味な笑い声を上げてこちらを見てきた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 次回はノクターンに移って触手プレイですな(まってちがう) [気になる点] ロプロス草があるということはロデムとポセイドンも……(イナイナイナイ 実際問題、この手の名前はやはり有名なの名…
[一言] ヤドリギ草を根こそぎ引き抜いたら次から生えてこなくなっちゃう…… アルラウネって素材になりそうですね。
[一言] そりゃそうか、魔物側も待ち構えて捕食するタイプもいるか。
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