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【書籍化、コミカライズ】転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~  作者: 鳥助
第四章 新しい手と豊かな生活

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144.ミートソースパスタ(1)

「よし、完成!」


 とうとうこの家に流し台が完成した。石造りの台と流し、外へと水が出ていくように作った石の配管。これで、家の中に居ながらいらない水を外に排出することが出来る。


 今までは洗浄は魔法があったから、家の中で水仕事をすることがなかった。だから、流し台が必要なかったから大丈夫だった。だけど、だからと言って捨てたい水はなかったわけじゃない。


 野菜を茹でた後のお湯はどうしても捨てなくちゃいけないし、野菜を茹でる度に外に行って使った水を捨てていた。その度に流し台があればな、と思っていた。


 家造りをしていた時は特に必要ないと思っていたけれど、実際に住み始めればやっぱり欲しくなった。だから、家籠りをしている今が作りどころじゃないかと思って作ろうと思った。


「とうとう、流し台が出来たんですね」

「へー、これが流し台か。また家が充実したな!」

「うん、これでいらない水があったらここから流せるから、今よりもっと快適になるよ」

「水を捨てる時はいつも外に出ていましたからね。少しでも楽になって良かったです」


 二人が完成した流し台を見に来ていた。流し台の下は棚になっているので、必要なものがあればここに物を置くことが出来る。うん、良い流し台を作ることが出来たよ。


「流し台が欲しかったのも作った理由だけど、他にも理由があるんだよね」

「何かしたかったのか?」

「うん、パスタを作りたかったんだ」

「パスタ……聞かない料理名ですね。どんな料理なんですか?」

「麺を茹でて、麺とソースを絡めた食べ物だよ。麺を茹でる時に大量の水が必要で、麺を茹で終わるとそれを捨てなきゃいけないんだ。だから、流し台が欲しかった」


 流し台を作った理由の半分はパスタを作りたかったからだ。パスタを作ると、大量の捨てる水が出来てしまう。茹でる度に一々外に出ていくのが嫌だった、というのもある。


 野菜は平気だったんだけど、麺となると調理時間が大切になってくるからね、手早く調理をするためには流し台が必要だった。


「じゃあ、今日はパスタを食べるのか?」

「うん、新しい料理だけど、いいかな?」

「もちろんいいですよ。新しい料理、一体どんなものかとっても気になります」

「美味しいといいなー」


 二人とも新しい料理に興味を持ってくれたみたいだ。これは作りがいがあるな、頑張って作っていこう。


「じゃあ、今から作り始めるかな」

「まだ夕食には早い時間ですよ?」

「それなりに時間が必要だからね、今から作るのが丁度いいんだよ」

「なら、ウチも手伝うぞ!」

「私も手伝います!」

「なら、手伝ってもらおうかな」


 三人で今日の夕食を作っていこう。冬休みに入り、三人で調理をする機会が増えてきたから、まな板とナイフは人数分用意しておいた。これで三人で楽しく調理をすることが出来る。


 キッチンカウンターに人数分のまな板とナイフを用意すると、食糧保管庫から材料を取ってくる。必要なのはトマト、玉ねぎ、にんじん、肉、ニンニク。それをキッチンカウンターに置く。


「結構な材料を使うんですね」

「まだ野菜は残っているのか?」

「大分数が減ってきたから、もしかしたら雪が溶ける前に補充したほうがいいかもしれない」

「なら、野菜の収穫ですね。また、みんなで収穫しましょうね」

「ウチは野菜の収穫のプロだから、任せろ!」


 二人とも何度も収穫を手伝ってくれるから、本当にプロ並みに上手なんだよね。分身魔法もあるけれど、それほど急がなくてもいいから、のんびり収穫すればいいよね。


「じゃあ、材料を切ろうか。材料は全て細かく切るんだよね。肉はクレハ、トマトとにんじんはイリスがお願い」

「おっしゃぁ、肉担当だぞ!」

「ノアは辛い玉ねぎ担当だけど、大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ、慣れてるし。トマトはこれくらいに切って、にんじんはもっと小さくお願いね」

「トマトは別として、にんじんは結構細かいですね」

「うん、それぐらいの大きさが妥当なんだよね。細かいけど、よろしくね」


 三人での調理が始まった。クレハは嬉しそうな顔をして肉を少しずつ切っている。きっと、肉の入った料理を想像していることだろう。


 イリスはまずはにんじんを切るみたいだ、慎重に皮を剥いている。ここにピーラーがあれば、皮むきも一発で終わるんだけど、雑貨屋には売ってなかったんだよなー。町に行ったら売ってるかな?


 そんなことを思いながら、私も作業を始める。まずは玉ねぎの皮を剥き、それが終わったら上下を切り落とす。それから半分に切り、そこからみじん切りにしていく。全部で三つの玉ねぎを切った。


「んー、目に沁みるー」

「見ているこっちが痛くなりそうなんだぞ」

「大丈夫ですか?」

「しばらくしたら良くなるから、そっとしておいて」

「なんだか、こっちまで痛くなってきたぞ」

「これだけの量を切ったから、辛いでしょうねー」


 しばらく、玉ねぎから離れてやり過ごす。離れて時間を置くと、沁みてきたのも楽になってきた。これで近づいても大丈夫だろう、元の場所に戻るのだが、玉ねぎのツンとした匂いが残っていてちょっと辛い。


 手早く切った玉ねぎを木の器に移し替えて、今度はニンニク切り始める。ニンニクの塊を解して、一つずつ皮を剥く。それから上下をちょっとだけ切って、実の部分をみじん切りにしていく。


「ニンニクの匂いは生の時より、焼いた時のほうが好きなんだぞ」

「あの匂い、堪りませんよねー」

「食欲をそそる匂いだよね」


 私も生の時の匂いより、火を通した後の匂いのほうが好きだ。ニンニクがあるだけで、料理はグッと美味しくなるしね。


 全てのニンニクを切り刻み終わると、刻んだニンニクを鍋の中に入れてしまう。一番初めに炒めるから、器に入れなくても大丈夫だよね。


 これで切る作業は終わった、あとは使った物を綺麗にしないとね。ニンニクを切った指先の匂いを嗅ぐと、生のニンニクの匂いが凄いしてきた、うーん臭い。


「ほら、二人とも」

「わっ、ニンニクの匂い! やっぱり、臭いー!」

「もうノアったら、こっちに手を向けないでください」

「あははっ」


 この匂いの犠牲者を増やしてみた。クレハは匂いをガードするように両手で鼻を隠してしまったし、イリスは苦笑いしながら私から離れていく。三人で調理をするとこういうじゃれ合いが楽しくなるから好きだ。


 遊ぶのはこれくらいにして、使った調理器具と手に洗浄魔法をかける。洗浄魔法をかけると匂いも落ちてくれるから、とても便利だ。


「二人とも終わった?」

「ウチは終わったぞ! これくらい小さくてもいいのか?」

「うん、そうそう。大丈夫だよ」

「私も終わりました。切るのって結構大変ですよね」

「切る量が多いからねー、お疲れ様」


 みんなの作業が終わったみたいだ。切った材料を木の器に移し替えると、使った調理器具や二人の手を洗浄魔法で綺麗にしてあげる。それから、調理器具を片づけた。


 材料も揃ったし、料理の開始だ。かまどに薪で火を付けると、その上にニンニクの入った鍋を置く。油を入れて焦げ付かないようにして、ヘラでかき回し始める。


「そうそう、この匂い! 美味しそうなんだぞー」

「焼いたニンニクはどうしてこんなにいい匂いなんでしょう」


 漂ってくる焼けたニンニクの匂いに二人とも夢中だ。


「じゃあ、玉ねぎと肉を入れて」

「はい、分かりました」

「肉はウチが入れるんだぞー」


 二人はキッチンカウンターに置いた木の器を持ってきて、中身を入れる。玉ねぎと肉を炒めて、玉ねぎがしんなりしてきた。


「残りの野菜も入れて」

「はい」

「任せろ!」


 二人が残った野菜を持ってくると、鍋の中に入れてくれた。それから炒めていくとトマトから水分が出てくる。そこに塩、胡椒、砂糖、香草を入れてさらに煮込んでいく。


「どんどん美味しそうな匂いになっていくのが堪りませんね」

「ミートソースってこんな料理なんだな」

「完成したらもっといい匂いになるし、美味しいよ」

「早く食べたいぞ!」

「ミートソースパスタ、どんな料理になるか楽しみです」


 三人で集まって料理の完成を待つ。その時間もなんだか楽しくて好きだ。

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― 新着の感想 ―
ケチャップで無いからイタリア人もニッコリ、皆んな大好きミートソースパスタ(^^)
[良い点] ケチャップでなくトマトソースだと薄味かな……と思っていたら、大蒜をガンガン利かす方式ですか。やりますね それから、フードプロセッサーもミンサーもないのに挽き肉……と思ったら、勇者様にさせ…
[一言] 牛乳と卵もあるのでカルボナーラも作れますね。それにしてもトマトって夏野菜なので冬にミートソースパスタって何気に植物魔法でゴリ推した贅沢品ですね。
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