1/1
お出掛け
ガタン
そんな鈍い音が部屋に響き渡った。
「痛い...」
私の抵抗は虚しく振り払われ、今日も叩かれる日々。
私は何もしてない。だけど、「母親に似ている」「生意気だ」という理由でいつも父に殴られ続けた。
『そんなのどうしようもない。』
そう思い、今日も異常の生活を送る。
ある日、父が「出掛けよう」と言い出した。
普段はそんなこと言わない。変だとも思ったが、何か口を出したら機嫌を損ねてしまうかもしれない。
父はいつにも増して上機嫌で私も嬉しくなった。
「わかった。準備するね!」
久々のお風呂で気分が上がる。綺麗に、ゆっくりと汚れや血を流す。少々傷口に染みるが、それよりもどこに行くのだろうという疑問とワクワクで頭がいっぱいだ。
用意しておいた綺麗な服に袖を通すとなんだか気持ちが良い。着たのは久しぶりだ。
準備が終わり、外に出ると父が待っていた。
「ドライブに行こう。」
「うん!」
そんな無邪気な子供ながらの考えで家を出た───