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ブラックなプロゲーマーチームのマネージャーだった僕は美少女配信者グループに引き抜かれる!?  作者: 雪代ゆき


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知らぬうちにマネージャーの仕事をする

「えっでも、【丸しき】さんは【祝い酒】と契約しているのでは?」


楓は事前に送られていたメールで知っていたのか、さほど驚いた様子を見せずに角田に問いかけた。


 別に、企業は一つのチームとしか契約できないなんていう制約があるわけではない。楓が言いたいのは広告塔としての役割と言う意味でだ。

【祝い酒】は有名FPSゲームで過去にアジア1位に輝いた経歴を持ち、メンバー個々のフォロワー数も平均して30万以上と、他のチームに比べて大きな発信力を有している。それに【丸しき】はデバイスメーカーではなく、飲料メーカーなので、これ以上契約を結ぶ必要がないと考えられるのだ。


『ああ、【祝い酒(あそこ)】との契約は切ったで』


 重要な内容のことをサラリと言ってしまう角田に、若干肩透かしをくらう楓だが、質問を続ける。


「よろしければ理由を伺っても?」


『何、別に隠すことでもないわ。単純にあの《《酒カス》》は自分から命綱を切りに来たんやから、こっちも縁を切ってやったんよ』


高笑いに似た気持ちのいい笑い声が電話越しに聞こえてくる。


『角田はん、それやと若干分かりづらいとちゃいます?』


電話の向こうから男性の声がする。伊織は過去の打ち合わせで数回耳にしたことのある声だが、流石に名前までは知らなかった。


『なんや自分、読解力ないなぁ』


『いやいや、角田はんの例えが分かりづらいだけです〜』


『まあ、平たく言うとやな?今まで契約してたのは【祝い酒(酒カス)】の中に伊織がおったからや』


突然話に自分の名前が出てきたことに伊織は目を丸くしていた。

 

『商売をやる上であたしが大事にしてるのは三つ!一に人間、二にやり甲斐、最後に金や!その仕事を楽しくやれるんなら、ある程度の損には目を瞑る。商売人としては不正解かもしれへんけど、あたしは金の前に仕事を楽しみたいんや』


 ほんの少しの沈黙の後、角田は真面目にシフトしそうだった空気を明るい声音で霧散させる。


『ま、伊織と酒カスを天秤に掛けたら酒カスがどっかに飛んで行ったちゅう訳や』 


 そこからは【カロン】と【丸しき】の契約についてかなり前向きな話し合いが行われた。

流石に即日契約となる訳もなく、近いうちにまた話し合いをするということで纏まった。


 話し合いを傍観していた伊織は先ほどなぜ自分の名前が出てきたのかを今一度言及したそうな表情を浮かべていた。

 それを察したのか、角田は今日一番の優しい声音で伊織に話す。

 

『詳しいことは落ち着いてから話していくつもりやから、そこは堪忍な?』


 歳の離れた姉のような雰囲気で話す角田に後ろの男性が茶々を入れる。


『えっ角田はん、そんな声出せたんですか』


『…….自分の大掃除場所は外トイレと草むしりで決まりや!』


『なっ!そりゃないですよぉ!』


そのやりとりを聞いて伊織たち三人は思わず笑いを溢す。よく聞いてみれば電話先でも笑い声のようなものが聞こえる。双方暖かな空気で今日の話し合いを終えたのだった。


 ◇


 後片付けを終えれば時刻はもうすぐで21時を過ぎる頃だった。

 今から帰るのもなんだと言うことでみのりもこの家に泊まることに。遅めの夕食を三人で食べている時にふと、さっきの丸しきの話題になった。


「角田さんは【祝い酒】時代の伊織さんを追って【カロン(うち)】と契約してくださったんですよね?」


「ん。大体そんな感じ」

 

「…じゃあ、私たちの知らない伊織さんを見ているってことになるんですよね?」


 楓は少し体を揺らしながらそんなことを口にする。


「ま、まあ…そうなりますね」


「よし!次角田さんとお話しする時は伊織くんのお話をいっぱい聞く!」


いつもよりも少し幼い言動をしている楓がワイングラスを天にかざし、力強く宣言している。

 ワイングラスの中には綺麗なラズベリーレッドの液体が天上の照明に照らされ鈍く輝いている。

そう、楓が伊織の初出演と【丸しき】との前向きな商談。この二つの祝いだと言って引っ張ってきたのだ。


「楓。流石に飲み過ぎ」


呆れ気味に楓を諭すみのりもまたワイングラスを煽る。

 

「わかってますよぉ〜みのりも一緒に聞きましょうね〜」


「わかってない。わかってるけどわかってない」

 

 若干赤らませて絡む楓を適当にいなしつつ、みのりは再びワイングラスを煽る。


「あ、あはは…程々にしてくださいね?」


 気恥ずかしいせいか乾いた笑みしか出せなかった伊織はジンジャーエールを飲む。

 【祝い酒】に居た時に無理やり付き合わせた時は何も感じないどころか、仕事が増えるので憂鬱だったものが、今は美味しく温まる。

 その心地よさと共に再びジンジャーエールを飲みながら伊織は思った。


 (角田さんに余計なことを言わないように言っとかなきゃ)


読んでいただきありがとうございます!



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