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幼児に転生し三歳になった誕生日、ゴリゴリに軍団を指揮する事になった話。  作者: 怒筆丸 暇乙政
呪われし荒野戦記(粗暴なオーク達の戦い)
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6.

 そして翌朝を迎える。我等はさっそく出陣予定である。


 どこへ出陣するのか? それはこいつらの拠って発つ拠点へ帰るための出陣である。オスが居ればメスも居る。オークも人と同様男女があるようなのだ。オス共は、存分に戦い、存分に勝利した事実を戦利品に、その場所へ帰還したがっているのである。


 好戦的な奴らには酷な、信仰を無理強いして本能を抑えつけた、徹底して交戦禁止を厳に命じた、我等がボアファイターの偵察部隊が生還してくる。そして重要な情報を我にもたらした。


 情報を統合すると“倍する敵が我々を四方から包囲しつつある”と言う情報になったのだ。我は思わずニヤけてしまう。


“彼を知り、己を知れば百戦危うからず”


 孫子の教えである。


 この孫子の教えに含まれるニュアンスは、実は複雑で奥行きのある物なのだが、しかし表面だけとっても非常に意義のある教えである。しかしオーク共はそんな事さえ知らず、


「──東南西北(トンナンシャーペー)から倍兵力で俺たちを包囲!?」

「うごぎがぐげご!?」


 と言って、動揺しさらしている。銀河なんちゃら伝説にも似たエピソードがあるし、我の前世の史実においても、例は腐るほどあるこのシチュエーション。これはむしろ、


──絶好のチャンスである。


 偵察は偉大である。情報ある者は、いつだって情報無き者より優位に行動できる。ニートして、ボサッとしていたせいでその分野も出遅れた我の前世。今、その反省を糧にする時が来たのである。失敗は成功の薬である。故に、我は号令する!


「打って出る!」


「──っ!!」


 我の名はファルマだが、こいつらの言う神の子、救世主イエア様が自信満々に言うのである。負け戦ではと動揺隠せなかったオーク共も“ならば共に死なん”とばかりに奮い立つ!


「イエアエアwサアfガガアアアアアアァァアアアアアオオオ!!」


 偵察情報分析では“敵の包囲は完成しつつある”だ。それは言い換えるならば“まだ包囲は完成していない”である。敵は倍する兵力だが、四方にだいぶ距離を開けて分散してしまている。さらに、倍する敵の四分の一、つまり局地的に見れば、四方の一方は我等の半分に満たない数でしかない。そしてオーク共は伝統に縛られた戦い方があり、我はそれをつい先日、準備もままならないままでありながら鉄床戦術を駆使して、損害僅かで打ち砕く事に成功した。


 勝算はそれなりにある。こうなると次に必要な兵法は、いや、故に完成したと言える兵法は、


“兵は神速を貴ぶ”である。


 行軍、行動、優位な主導権を取りに行くありとあらゆる先手は、早ければ早いほど良いという教えだ。“鉄は熱いうちに打て”このチャンスを生かさない手は無い。我々は、敵による包囲が完成する前に、敵が分散して雑魚になっているうちに、素早く行動して出来るだけの敵を潰さなければならない。


「天幕、物資、火と朝飯の後始末等はしなくて良い! むしろ鍋を煮付かせ、かがり火をたき、気配を残しておくのだ!」

「イエアッイエアッ!」


 しかしこのオーク共、やるとなったら妙にノリノリで助かる。


“兵は詭道なり”


 この教えの意味は“戦争と言う最悪の過程は、卑劣な嘘によって彩られる”と、我は超訳する。やるならば、やらねばならない。化かされる前に、化かさなければならない。後になって、非難されない様に知恵を絞りながら、降りかかる火の粉は払わねばならないのだ。故に、我の意図を少しでも化かす為、敵を少しでも欺き時間と言うリソース獲得の可能性をこうして作っておく。そして準備は整った。


「──出陣!」

「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおそあだあdふぁsf!!」

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