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幼児に転生し三歳になった誕生日、ゴリゴリに軍団を指揮する事になった話。  作者: 怒筆丸 暇乙政
秘密の金柑(人間世界の陰り)
45/82

45.

 再び拝謁を許される我等。もうやっちまった手前、我は堂々とする。母エミリアには悪いがもう後には引けない。そしてどうやら、ティトゥス皇帝陛下御自身(おんみずから)直々に我等へ勅命を賜る様だ。


「──パヴルス男爵エミリア!」

「ハ、ハッ!」

「アッサンビルの一地方にミュース伯爵を新設してそこへ転封とする!」

「転封……? お、恐れながら国替でありますか!?」

「そうだ、国替じゃ。そしてアッサンビル公オーティスの臣下とする!」


 跪くものは皆驚いた。プリエクエス伯ルキウス閣下の臣下を勝手に他家の臣下とするとか言っているのだからヤバい。時の権力者とは、こんな事も出来てしまうのか。七大選帝侯は取り乱すわけでもなく、威風堂々としている様子から、既に談合の末なのであろう。


「ブルクハルトの了承は得ている。ルキウス!」

「ハッ!」

「パヴルス男爵領はそちの直轄領とせよ! よいな?」

「……ハハッ。謹んでお受けいたします」


 一瞬戸惑うも、そう言われては、逆らえるわけもないルキウス閣下。


 しかし、アッサンビルのミュースと言えば、我が雪冠る山脈からの帰途、ボンガーと再会したした場所あたりだ。あの辺はつまりド辺境。何もない場所に伯爵領を創設して転封させるとか、一体何の罪で左遷なのだろうか? 我のせいか?


 ……いや、待てよ?


「うむ。で、ミュース伯爵エミリア!」

「は、はい!」

「帝国から伯爵となった祝い金として()()()を授ける!」


「──き、金一億!?」


 帝国金貨一枚は、だいたい一万円くらいだ。つまり一億×一万円は一兆円!


「そうじゃ! その金一億を使ってミュース伯爵領を直ちに開発し、ファルマが傀儡としたオーク部族とアッサンビル公爵領、次いでは帝都ユーヴェレンヒューゲルブルグに繋がる連絡線を築いて国家に寄与せよ! よいな?」

「か、畏まりました……!」


 王ゴッズフィストは我の傀儡か……。我にそのつもりはなかったが、つまり、そうなるよな……。つまり帝国の傀儡と……。全く、抜け目のない帝国中枢である。


 しかし、母エミリアどころか兄アルネスまでも深々と首を垂れ、“過分の取り計らい?”に、圧倒されて全く逆らえない様だ。帝国の重い取り立て血税が、辺境に新設されたミュース伯爵領へ? これはもう何か途轍もない思惑がありそうで、我はアドレナリンガッバガバである。だがティトゥス皇帝陛下は尚も続けあそばされる。


「そして、今しがた隣国より援軍の申し出があった」

「──っ!」

「プリエクエス伯領へ侵入した野武士共の原因を作った国、──リラティヴィステットラントからである! ファルマ!」

「ハッ!」

「リラティヴィステットラントの王は、世とは姻戚関係にある。つまり親戚じゃ! だがあいつは、どうしようもない愚か者である! やっと下らないプライドを捨てて援軍を申し出て来たが、書状の文言にはこうある。“どうにか国を救ってほしい”とな。つまり、ファルマならわかるな?」

「“どうにか国を救ってほしい”……ですか?」

「そうじゃ。“国を救ってほしい”じゃ! ファルマ!」

「ハッ!」

「お前には“天昇の頂宮廷伯爵中将”の爵位を授け、帝国軍第十軍を指揮して貰う!」


「──ッッ!!」


 むっちゃ出世して草。


「直ちに援軍としてリラティヴィステットラントの国を“救って”来い!」

「ハハッ! 必ずや!」

「プリエクエス伯ルキウス!」

「ハッ!」

「そちも従軍してファルマと共に事に当たれ! ファルマに足らぬ物を補佐し、ルキウスに足らぬ物を軍団長ファルマに仰げ! 良いな?」

「天地神明に誓って!」


「──以上である。直ちに事に当たるように。大儀!」


「──ハハッ!」


 ティトゥス皇帝陛下は立ち上がると、奥の部屋へ引っ込んでしまわれた。


 そしてあの偉そうなオッサンは、七大選帝侯アッサンビル公オーティス閣下であった。母エミリアはあのオッサンの配下になるのか……。何か癪に障る。まるで母を別の男に寝取られた気分になった。彼は、圧倒されてしばらく動けない母エミリアへ一声をかける。


「ミュース伯エミリア」

「ハッ……」

「卿は直ちにパヴルスへ戻って国替の支度をするように」

「か、畏まりました……」


 アッサンビル公オーティスはそう言い残すと、我を流し目して立ち去った。あの男、得体が知れない。母エミリアに兄アルネス、国替とあるから姉レヴィアに妹エルマも伴うのだからこれはもう心配でならない。何かあった時の為に、手を打っておかなければ……。


 ローテツダッハ美食家黄金の舌褒めたらちょろい公ブルクハルト閣下は相変わらずムシャムシャ飯を食っているが、我に言う。


「ファルマ卿。出世おめでとうだな。出世魚の様に今後が楽しみでならない。だが、宮廷はカボチャの様に広いが、ある意味ピーマンの様に窮屈するだろう。気晴らしにいつでも我が屋敷へ遊びにくるが良い。ご馳走を用意して待っているぞ?」

「格別の配慮、痛み入ります。その際は、必ず“おかず”を持参しましょう」

「おっとっと! おかずとな? それは楽しみだ! ハッハッハ! ──ルキウス!」

「ハッ!」

「後は頼んだぞ?」

「畏まりました!」

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