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運営委員会2

 世界異能大会運営委員会が発足してから、学園中がその一大イベントの為に行動し始めた。幸いと言うべきか、俺の提案したバトルロイヤルは、普通科の生徒達がテストを行った上で問題なしと判断され、正式にゴリラが話を上に持って行き許可が出た。やはりバトルロイヤルの時代だ。つまり蟲毒は時代の先駆けだった? まあ、ゴリラと面と向かって話をして、断れる奴なんか世界にいないかもしれないけど。


 そして俺らが運営として色々動いている間、おおよその生徒達は大会そのものに出場するため日夜修練に励み、数日後に行われる出場をかけての予選突破を目指していた。


 そんな異能学園であったが、この行事である恐るべき存在が誕生してしまった。その存在ときたら、ゴリラを嘆かせ、俺ですら遠慮するしかない程で、まさしく我が帝国の真の支配者なのだ。


 俺は今から、その真の支配者のご機嫌伺いをしなければならない。


「予算の方はどうかな如月さん?」


「完璧のぺき。緊急の予備を含めても完璧に収まるわ」


 いつの間にか運営員会の予算全てを握っていたキングオブ馬鹿、それこそが如月優子という名の支配者であった。いや、この場合クイーンオブ馬鹿?


「流石だね!」


「おーほっほっほっほ!」


 エンターキーでも叩くように電卓の=を叩くクイーン。どう見たってスーパーの特売と家計簿の金を合わせているおばちゃんなのだが、この馬鹿本当に金に強い。既に大会が終わった後のごみ袋代まで試算を終えて、全部何もかもの予算を丸く収めたのだ。しかも、万が一の予備まで準備している隙の無さ。ゴリラがクイーンの成績表と予算表を見比べながらにらめっこして嘆くのも無理はない。


 しかし、反面自分から金を作るのは向いていないらしく、株やら投資はちんぷんかんぷんだから手を出さないようだ。馬鹿の癖に手堅い。


「それじゃあ他の所の様子を見て来るね!」


「いってらっしゃーい。おーほっほっほ!」


 厚化粧の高笑いを背に受けながら、俺はクイーンの玉座、運営委員会会計室を後にした。


 ◆


 この学園はアホほど広い。自転車が絶対に必要なのだが、その訴えは既にゴリラに退けられており、敗訴と書いた紙を持って泣きながら、貸出自転車活動に署名してくれた生徒達に報告せざるを得なかった。


 そんな広い学園は清掃業者に委託して掃除をしているのだが、その業者のおばちゃん達ですら一目置く存在が二人いる。


「うん。私も大会中はここにゴミ箱を置いた方がいいと思うわ。流石ね。狭間君に小百合ちゃん」


「あざっす」


「ありがとうございます」


 そう、清掃業者のおばちゃんと大会中のごみ箱の設置場所を考えている、どんな汚れもボケも見逃さない突っ込み役と清楚美人東郷さんだ。この二人、いつの間にか清掃部門のツートップを務めており、今では複数の生徒を束ねる立場だ。


 そして二人がごみ箱を設置しようとしている場所の候補は、黒い頑固汚れ代表の俺でも見事と頷かざるを得ない理想の配置。平安京を作った奴でも納得するだろう。


 よし、清掃委員の方は問題なし。まあ、彼らの仕事は大会直前の大掃除と、終わった後の後始末だから、これから先が本番だ。


 ◆


「えーでは、案内係の定期会議を始めます!」


「ふふ」


「ああ」


「よっしゃ!」


 四人が入れば少し手狭な、面談を行う際に使われる小さな部屋だが、ここが我々世界異能大会運営委員会案内係の会議室だ。メンバーは係の長である俺、いつものように笑っているお姉様、プロテイン入りの水筒を机に置いているマッスル、目に内申点という激しいニンジン、じゃなかった。炎が燃えているチャラ男。以上がメンバーだが……お姉様はいるだけで華やかになるから当然として、残りの二人……本当に心配だ。


 マッスルは本当にサイドチェストしそうな気がしてならないし、チャラ男はなんか、ひょっとして関西弁の訛りか? って言語になることが分かってしまい、今から無事仕事を終えられるのか非常に不安だ。


「参加国に変更はなく、米、露、英、仏、ギリシャ、ノルウェー、アイルランド、バチカン。それと日本を合わせて全部で9か国だよ」


 どこもかしこもヤバい国ばっかりだ。米、露、仏以外、北欧神話やケルト神話も含め、神との関わりが深く、米露は米露で超大国であり、仏は仏で現代に甦った聖女、その名もまんまジャンヌダルクを抱えている。


 そしてその上更に、世界の特異点こと、毎年非鬼は出るんだけどどうなってんだ? 世界で数年に一回しか出ない特鬼がそれこそ数年に一回出るとかおかしくない? と言われる我らが日本。


 ルーキーとはいえこいつらがこの学園でバチバチするの? 絶対まともに開催されないって。


「えーっと、まずアメリカとイギリス、それとアイルランドは北大路君、ギリシャとノルウェーは木村君がお願いします。担当は多いですが、実際のところ自分達は補助なので、基本的な仕事は正式な通訳さんがこなします。想定されているのは通訳さんが分からない、学園の施設についての質問とか道案内です」


「了解した」


「おっけい」


 英語はマッスル、女神がいる神話体系の国はチャラ男、そしてバチカン以外は俺が担当だ。もうバチカンはゴリラに事前に言って投げた。鳥肌立つから絶対に俺は連中に関わらない。


「それと、米露を接触させるのは危険なので、自分と北大路君はなるべく連絡を密にしよう」


「ああ」


 なんでこんな、米露間の緊張の事まで俺が気を回さなきゃならんのだ。デタントは終わってるだろ。


「それじゃあ、一応の予定で到着する順番だけど」


「ふふ」


 まあとりあえず、自分の仕事はきちんと務め上げねばなるまい。それにしてもお姉様の笑顔がプリティ。あいてっ。でへへ。


 ◆




 ◆




 ◆


「学園長、全部門の確認作業終わりました!」


「うむ。ご苦労だった運営委員長」


「ありがとうございます!」


 しかし、なんで気が付いたら俺が運営委員長やってるんだ?

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― 新着の感想 ―
[一言] 厚化粧は大蔵省にでも放り込むべきではないだろうか(真顔) つまり10年日本に特鬼が出ないと世界に緊張が走ると (やべえこっちにくる!?的な意味で) 邪神が裏で支配している
[気になる点] 中国とインドとかいたらヤバそうですね。日本はやっぱり仏教のルートから来たのが多いですしお寿司。
[一言] おおー、何というパーフェクトな人事!ここまで適材適所なのは珍しいのでは?
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