神社と病院に行く
母に神社に連れていってもらい、お祓いを受けた。だが、一向に気持ちの改善は見られない。
病院に行かないと駄目なのか……。僕の嫌いな所。でも、この気持ちのままじゃ何もできない。仕方ない行くか。
因みに何科に行ったらいいんだろう? 母に訊いてみると、「精神科か、心療内科じゃないの」と、言っていた。精神科ってちょっと怖い気がする。心療内科に連れてってもらおう。
「母さん、心療内科に行くわ。あったっけ?」
「ここにはないよ。隣町に行かないと」
「頼める?」
母は面倒臭そうに、
「仕方ないね、でも、気持ちの持ち方も関係あると思うよ」
気持ちの持ち方と言われても普通にしているだけなのに。あまり理解がないなぁ、残念ながら。きっと父はもっと理解がないだろう。そう考えていくと孤独感に苛まれる。
十五分程走り、隣町の心療内科に着いた。初めて来た所だから緊張した。ましてや、病院だし。
車の中で病院を見ていると、母が、
「ほら、いくよ」
と、促された。行きたくない……。今更ながらに怖気づいてしまう自分に腹が立つ。そっとドアノブに指を入れ、ゆっくりと引いた。ガチャリという音と共にドアが開いた。体が小刻みに震える。拒否反応というやつか。
「かーさん、ちょっと待って」
外に足を出すその一歩が出ない。僕は無理矢理車から降りた。
「行きたくないだろうけど、行ってみないと!」
僕は母の罵声に頷いた。僕は、ハ―ッと溜息をついた。母は僕を睨んでいる。そんな
目で見るなよ、と思ったが口には出さなかった。ややこしいことになったら面倒なので。
建物自体は五階建てでグラウンドもあるようだ。かなりデカい病院だ。心療内科だから、内科と心の方も診てくれるのだろう。そんな憶測をしながら母を先頭に僕は嫌々歩き出した。
院内に入ると右側に受付があった。母は、
「あそこに行って受付してきなさい」
「うん」と言い、そこに向かった。そして、受付にいる若い女性に声を掛けた。保険証を出しながら、
「お願いします」
と、言った。すると、
「初診ですね?」
と、訊かれ、
「はい」
そう答えた。その女性は、クリップボードに紙を載せその上にボールペンを置いた。
「この問診票に記入してもらえますか?」
面倒だな、と思ったけれど仕方ないと思い待合室にある椅子に座り、それに記入し始めた。母が覗き込んできた。
「なんだよ」
「いや、どんなことを書くのか気になっただけだよ」
内容は、名前・年齢・生年月日・住所・電話番号・主な症状・罹ったことのある病気などだ。
それを全て入力して、主な症状には[死にたいという気持ちが強いです]と書いた。そして、再び受付に持っていった。
「ありがとうございます。お掛けになってお待ちください」
と、言われて言われた通りにした。