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僕の気分  作者: えんどうりょうじ
3/9

気分の問題

 入院中は最初の内は足を動かすと痛いということもあり、暇とは感じなかった。気分も悪いまま。こんなことになるなら死んだ方がマシ、とも思った。死にたいという気分は未だ消えない。


 でも、徐々に足の方も良くなってきて少しだが気分も良くなってきた。


 何度かレントゲンを撮って骨もくっついたみたいなのでリハビリを開始した。痛みが無い訳ではない。何度も心が折れそうになった。それを察してか、理学療法士は励ましてくれて精神面でもサポートしてくれた。ありがたい。


 お陰で入院して三十五日目に退院の許可が下りた。足の具合いが良くなって、精神面でも少し回復したので正直、入院生活は途中から暇だった。


 職場には自分で連絡することが出来なくて、母にしてもらった。その時、母は仕方ないね、本当は自分でした方がいいんだろうけど、子どもじゃないんだからと言っていた。店長は驚いていたらしい。でも、残念ながら勤務先の店長を始め従業員は誰も見舞いには来てくれなかった。所詮、会社の連中か、と思い残念に思った。どうして来てくれないんだろう? 水臭いなあ……。


 その話しを出勤したらしてみよう、何ていう反応が返ってくるか。


 僕は今、自分の部屋にいる。店長に電話をしよう。床に置いてあるスマホを手に取り、電話をかけた。因みに今は、午後三時頃。店長は仕事であれば出るはず。十回程呼び出し音を鳴らした。休みかな? と思ったけれど、繋がった。

「もしもし、小島君。久しぶりじゃないか」

 低音の声で出た。

『お疲れ様です、店長。お話ししたいことがあってお電話しました』

 僕はなるべく丁寧に喋った。久しぶりだから緊張もしていたし。

「どうした?」

『もう退院しているので来週の月曜日から出勤したいんですけどいいですか?』

「おっ! そうか。気分のほうはどうなんだ? 病院に行ったか?」

『それがですね……。病院に行こうと思ってフラフラしながら階段を降りようとしたら転落してしまったんです。だから、行ってません』

 店長は黙っている。そして、

「大丈夫なのか? 以前、君が入社する前にいた社員で同じようなことを言っていたことがあって、精神科に受診したらうつ病、と診断されたらしいぞ。君も同じじゃないか?」

うつ病? 意外な話しをされた。僕はてっきり霊の仕業だと思っていたから。そのことを話すと、

「まさか。本気でそう思っているのか? この開かれた時代に」

「父にも話したんですが一概に否定は出来ないな、と言ってました」

 また沈黙が訪れた。次に話し出したのはまた僕だ。

「神社に行ってお祓いを受けて、それでも治まらないようなら病院に行こうかと考えてました」

「そうか。それなら月曜日に出勤できないだろ?」

 僕はハッとした。何だか考えがまとまらない。

「では、神社でお祓い受けてこの気分が治まったら火曜日から出勤します。でも、それでも治まらなかったらその日の内に病院に行こうと思います。少しは良くなったんですけどね」

「わかった。じゃあ、連絡待ってるぞ」

 そう言って電話を切った。何にせよ、足は大丈夫だからあとは気分の問題。


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