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7.戦い方

 俺は、現状の把握が甘かった事を思い知らされた。

 街の近くまで降りた俺達が見たのは、あちこちであがる火の手、歩道に乗り上げた車、崩壊した建物、さらには、辺りに転がっている死体だった。


 「くっ!予想より早えぇ。」

 「神夜、は、早く行かないと…!みんな殺されちゃう。」

 「っ!分かってる。けど、ただ闇雲に戦っても殺されるだけだ。」

 「じゃあどうすれば…。」

 「取り敢えず、パンドラの力を受け取ったやつがどこかで戦ってるはずだ!まずはそこに行って仲間を集める。」

 「分かった。」


 俺は彩華と共に街へ入る。すると、俺達を見つけたカルサイグ3体が、襲ってきた。


 「彩華、下がって。俺が行く。」

 「うん。」

 「《想造操破》」


 俺は、右手で剣を造る。そして、その剣で間合いを取りながら相手の様子を伺う。敵は3体。内2体が、猪のような姿、1体は狼の姿をしてる。


(形はいろいろあるのか。めんどくさい。)


 そして、しびれを切らしたのか、猪カルサイグの1体が走って来た。


 「一撃で倒す!……はあっ!」


 俺は、相手が間合いに入った瞬間、中段に構えていた剣を振りかぶり、そしてそのまま、降り下ろした。

 ざくっという手応えがあり、俺は勝利を確信した。

───が。確かに今切ったはずの猪カルサイグは、真ん中から黒い煙をあげながらも、ほぼ無傷で俺を突き飛ばした。


 「がはっ!」


 直後、車に跳ねられたような衝撃が俺を襲った。一瞬、意識が飛びそうになった


 「神夜!?」


 彩華の焦った声。


 「だ、大丈夫だ。」


 俺は彩華にそう声を掛けてから、立ち上がる。


 「神夜!多分そいつに物理攻撃は効かない。」

 「本当か」

 「うん。さっきの狼も、石を投げても効いたような感じは無かった。でも、あのスタンガンみたいなのは、少し効いてたの。」

 「…なるほどな。よし!だったら、彩華、お前の魔法で俺の剣に雷属性と火属性の魔法を掛けてくれ。」

 「分かった。……行くよ!《雷属性付与》《火属性付与》!」

 彩華がそう言った途端、俺の剣が、突然、火花をちらし、火に包まれた。


 「よし!…さらに《想造操破》!」


 俺は、右手に耐熱性、絶縁体のグローブを造る。俺はそのまま近くで再び突進する構えを見せていた猪カルサイグに斬り込んだ。


 「ブギュルッ!」


 今度は一発で倒れた。


 「こうもあっさりと…。まあ、これで攻撃が方法が分かったな。」


 俺はそのまま残っているカルサイグに突っ込む。


 「ガルルルr!」

 「グギィ!」


 突進してきた猪カルサイグを上段からの切り下ろしで真っ二つにする。


 「ブガッ」


 そして、素早く背後を取ろうとする狼カルサイグに剣を振る。が、かわされ逆に懐に詰め寄られる。そして、


 「ぐああっ!」


 左足のふくらはぎに噛みつかれた。


 「ぐうっ!離、せっ!」


 俺は剣を振るうが、また避けられた。


 (まだだ!考えろ、《想造操破》は造るだけの能力じゃない!なら!…)

 

 「《想造操破》!」


 俺は能力を発動させる。今度は造るだけではない。操りと破壊の能力も使う。俺は、剣から手を離す。そして、柄の部分を破壊する。


 「神夜!?何してるの!?」


 彩華が慌てて叫ぶ。


 「言ったろ!俺を信頼しろって!」


 そして俺は刀身だけになった剣を縦に二つに分ける。そして、それを操り、狼カルサイグを攻撃する。これは、頭で操るので、空間把握力がないと出来ないが、二本ぐらいなら余裕で操れる。腕を振って操作すると、さらに細かく動かすことができる。

 俺は右の剣で牽制し、空中に飛び上がったところを左の剣で差し、動きが止まったよころで、右の剣で止めをさした。


 「よし、終了。」

 「おつかれ。凄かったよ!神夜。」

 「いや、お前の魔法が無かったら傷一つ負わせられなかった。お前が来てくれて助かったよ。」

 「ふふっ。もっと感謝してもいいのよ。」

 「ははっ、調子に乗るな。」

 「痛っ。もう。……て、神夜、あれ…。」


 彩華が、俺が倒したカルサイグの方を指さすので、俺も目を向けると、カルサイグが灰色の煙の様なものになっていく。


 「…どういう事だ?……って、うわっ!」


 いきなり、その煙がこちらに向かってきた。


 「なっ!くそっ!」


 俺は突然の事に驚いて、逃げる暇も無かった。そして、その煙は、俺の体にするりと入ったっきり、出てこなかった。


 「な、なんだ?痛くもないし、変な事もない…?むしろ、ちょっと元気になったような…。んー、よくわからん…。まあ、異常が無いならほっと行くか。」

 「う、うん。本当に大丈夫?」

 「ああ、恐らくな。」


 俺は、とりあえず、前に進む事にした。

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