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6.それぞれの能力

 神夜と彩華は再び現実へと戻ってきた。


 「彩華、少し、聞いてくれるか?」

 「ん?なに?」


 神夜の表情を見て、彩華も真面目に聞き返した。


 「さっきの話しは彩華も聞いてただろ?」

 「うん、パンドラさんのでしょ?もちろん。」

 「俺は、これからこの力を使って化け物どもと戦う。だが、お前は戦わなくても良い。こっから先は命が簡単に失われる領域だ。能力は自分の身を守るために使えばいいし、お前が何も背負う必要のないことだ。だが、俺が何と言おうと結局はお前の人生だ。だから彩華、今ここで決めろ。」

 

 彩華は、神夜が話している間、じっと神夜を見つめていた。そして、


 「ふふっ。なぁんだ、そんな事かあ。まったく、神夜はぜんぜん分かってないようだね。もちろん、私は戦うよ。だって、神夜は私の命を救ってくれた。だから私は神夜についていくよ。」


 神夜は、その言葉に少し顔をゆがめたが、観念したように言った。


 「分かった。それがお前の意志なら、俺はそれを尊重する。」

 「うん!」


 彩華は、嬉しそうに微笑んだ。


 「よし、それなら行くか!…と言いたいところだが、最後に一つだけ、絶対に守って欲しいことがある。」

 「ん?何?あ、『俺が逃げろと言ったら逃げろ』とかは言わないでね?」

 「は、そんな事は()()()()()()()。」

 「もう。ふふっ。」

 「いいか。何があっても………俺を信じろ。」

 「あはは。それこそ当たり前の事だよ。ふふっ。」

 「ふっ。そうか。ならいい。」


 神夜は、そう言ってから、再び表情を引き締める。


 「じゃあ、まずはお互いの能力の確認だ。さっきパンドラが説明していたが、それぞれが正しく詳しく理解してないと連携がとれないからな。」

 「ん、了解。じゃあ、私からいくね?」

 「ああ。」

 「まず、私の能力は、《魔法的属性付与》っていうので、あらゆる攻撃とか物質のとかに魔法の属性を付与できるって能力だね。」

 「その魔法の属性ってのは魔法によって作られた火とか水とかっていう解釈でいいんだな?」

 「うん。そうだよ。」

 「それは、どのくらいの範囲で付与できる?例えば、ここら辺にある空気に毒の属性を付与する事は出来るのか?」

 「うーん、感覚的には多分出来ると思うけど、やってみないと分かんないかも。でも、できてもそのくらいが限界だし、すぐに流れていっちゃうからあんまり意味ないよ?」

 「そうか。じゃあ、そこら辺は後で実際に試すとして、連続で使用できるか?」

 「うん。ついでに言うと、重ねがけできるよ。」

 「連続で何回使える?重ねがけは何個できる?」

 「えっと、連続で使えるのはだいたい30回ぐらいかな?一つの物体にかけられるのは5個ぐらいだね。」

 「…だいたい分かった。他に何かないか?」

 「うん。大丈夫。特にないよ。

 「よし、じゃあ次は俺だな、といってもあんまり説明することもないんだがな。俺の力は《想造操破(そうぞうぞうは)》だ。能力は、まあ、実際やった方が分かりやすい。さて、そこで、俺の右腕と左脚はさっきの化け物に食われたはずなのに今はどうだ?」

 「あ!そうだよ!さっき食べられて…ってなんでついてるの!?あれ?パンドラさんに治してもらったとか?え、いや、もしかして…」

 「そう、これは俺の能力だ。じゃあ、よく見とけよ?」


 と言って神夜は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。すると───


 「あっ!?腕が!あ、足も…!」


 そう。神夜の右腕と左脚が崩れていったのだ。


 「俺の能力は自分が想像したものを創造し、それを操り、破壊する能力だ。」

 「ってことはそれも…、」

 「そう。腕と脚は自分で造ったものを嵌めてただけだ。ほら、こうやって、造ってやれば…完成だ。ただし、造れる物は物体だけだ。火や雷は造れないし、空間とか事象、生物なんかを造ることもできない。そして、造るときは、一気に全部が造られるんじゃなくて、発動したところから生えてくる感じで造られる。っと、こんな感じかな。手足も自由に動くし、むしろこっちの方が動きやすいな。改造もできるし。」


 神夜の腕と脚は、硬い金属で出来た、ロボットのようなももだった。


 「そっか。じゃあ、神夜は手足のことは気にしてないんだね?よかった。」

 「ああ。どっちかって言うともう体全部を造り替えたいぐらいだよ。」

 「ふふっ。じゃあ、能力を試してみるんだっけ?」

 「ん。そうだな。早く街に戻りたいところだが、行って返り討ちにあって死にましたじゃ話しにならんからな。ここは開けてるし、ちょうどいいからな。ここでいいだろう。」

 「分かった。でも、実際なにをすれば良いの?ここら辺を毒ガスにまみれさせたいんだったらさっきのやるけど…」

 「やめろ。戦う前に死ぬ。そうだな、じゃあ、この開けた場所の空間に水の属性を付与してみろ。この地面から出来るだけ高く付与するんだ。」

 「なるほど、でもすっごい雨降りそうだよ?」

 「俺が防ぐから大丈夫だよ。」

 「はーい、じゃあいくね?《水属性付与》!」


 すると、彩華の手元が光り、次の瞬間には周りの空気が一瞬で水になった。だが、その直前に二人はビニール性の球体に覆われていた。


 「おお、ナイスフォロー。」

 「ん。さて、どのぐらい高くできた?」

 「えっと、だいたい、1000メートル弱ぐらいかな。」

 「予想をはるかに上回っていいくな…。」

 「お、そう?ならよかった。」

 「ちなみに、その効果の強弱は調整できるのか?」

 「そんなに細かくは出来ないけど、出来るよ?」

 「じゃあ、地面にこれが乾燥するぐらいで熱の属性を付与してくれ。」

 「…う、」


 神夜たちの周りはまるで豪雨が起きたような状態になっていた。


 「りょ、了解。《熱属性付与》」


 すると、一瞬で大地が乾いた。そこにたまっていた水が染み込み、元通りになった。


 「改めてみるとやっぱすごいな。」

 「そりゃあ、ついさっきまでは普通の人間だったもん。」

 「ははっ。それもそうか。…よし、そろそろ街に行くぞ。」

 「…うん。」

 「どんな化け物がいるかも分からん。他人の救出は余裕があるときだけだ。自分第一でいくぞ。いいな。」

 「……分かった。」

 「それじゃあ、行くぞ!化け物どもを狩り尽くすぞ!」

 「おー!」


  そして、神夜と彩華は、それぞれの能力を得て、街に降りていった。

次話から神夜の一人称視点になります。ご理解よろしくお願いいたします。

どうか評価をよろしくお願いします。

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