学生寮
教室で、寮についで軽い説明を受け、学生寮へ向かった。
「はい、皆さん。今日からここが皆さんの家となります。部屋の使い方を教えるので各自、部屋の広間で待っていてください」
「はい」
女子寮の11番の部屋へ向かった。
扉を開くと不思議な音が聞こえ、ランプが光った。どうやら光魔法を使った装置のようだ。
11番の部屋に住むことになったものは、アリス、エレン、マイ、マリナ、ミチルの5人。
「変わった部屋ね。窓がないけどカビとか生えないのかしら?」
「多分大丈夫、いろんな魔法装置があるみたい。風魔法であの穴から空気が流れているからいつでも新鮮な空気だよ」
「ねーねー、この地図に調理室とかが描いてあったけど後で使っていいかなー?」
「皆さん、勝手にいろいろ調べていますが大丈夫なのでしょうか?」
「私たちの部屋になるんだし、物を壊さなきゃ大丈夫だろ」
最初入って気になった5つある扉の4と書かれた扉のドアノブに手をかける。
「狭いな。今日からここで過ごすのか...」
個室は狭いと聞いていたが、狭すぎる。小さなベットと棚があるだけの部屋で、机を置くことが出来ない。異夢の扉を最初に習う意味がようやく分かった。
しかし部屋の大きさはこの個室と同じくらいの大きさだった。後で異夢空間を拡張する必要がある。
アリスの呼ぶ声が聞こえる。
「マリナさん。そろそろ先生がくるわよ」
「うん。探索は一旦やめようか」
先生がやってきた。
「みんないろいろ探索したみたいだけど、何か面白いものでも見つかった?先生の部屋を見に行ったらびっくりしたよ。たくさんの魔法装置があるね。初めて見たよ」
「先生、後で調理室使ってもいいですか?」
「いいよ。基本寮にある施設は汚さなければ使っていいし、大体自由だね。一応食堂があるけどしまっている時があるみたいだし、自分で作れるなら作って済ませるってこともできるからね」
一応大丈夫だとは思うが不安だったためマリナは聞いてみる。
「先生、異夢の空間は自分でいじってもいいですか?」
「できるならやってもいいですが、あなたはできますか?初めての授業でいい成績を取ったあなたですが難しいと思いますよ」
「教科書を見ながらやりますので大丈夫です。わからなければ本を探しますので」
「そうですか。では、この紙を貼っておきますのでよく見てください。夜の鐘がなるまでは学校を自由にまわってもいいですよ。わからないことがあれば私は部屋にいますので。魔法ライフをどうぞお楽しくださいね」
先生の話が終わり紙を見てみるとこう書かれていた。
・挨拶をしっかりしましょう。
・施設の破損があった場合すぐに報告を。
・夜の鐘がなったらなるべく出歩かない。
・困っている人がいたら助けてあいましょう。
・いじめをした場合には重い罰がある。
・月に5回はクエストを受けましょう。
・魔法ライフを楽しみましょう。
校長先生が言っていた通りだ。生徒手帳にはもっと細かく書いていたが、普通に過ごせば大丈夫なものだった。
自分の部屋に行き異夢の扉を置き空間へ入る。
やっぱり狭い。机と棚しか開けない。
異次元収納から本棚と机を出す。
異次元収納とか勝手に呼んでるけど大体同じようなものだ。入る量は決まっているがそれなりに入る。
これで日記が書ける。書き終わったら学校を回ろうかと考えながら日記を書いていく。
日記を書いている途中に朝貰った箱のことを思い出した。
箱を取り出し開けてみると、紙と指輪型の時間石が入っていた。
紙には頑張れ、と書いてあった。
早速指輪を身につける。
ノックする音が聞こえる。
「マリナさん、いますか?入りますよ?」
許可したつもりは無かったがドアが開く。
「あら?本棚に机?これどうしたの?まさか私と同じく異空間収納が使えるのですか?」
「そうだけど...先生に内緒にし...てアリスさんも使えるの?どうして?」
「どうして使えるのかと言うと、育ての親がどうしても必要になるからこれだけでも覚えておきなさいといい強制的に覚えることになったの。あなたも同じ理由?」
違うが誤魔化した。
「まあ似たような理由だね。この後学校を回ろうかと思っていたところだけど、アリスさんもどうかな?アリスさんと話したいこともあったし...」
「いいよ。私もマリナさんのことを聞きにきたんだし」
軽く身の回りを整理して寮を出た。
地図を見ると、寮の近くには畑、作業場、森がある。
作業場へ向かうとさまざまな道具が用意してある。
「これ使ってもいいのかな?私の愛用のナイフそろそろ直したいんだけど」
「愛用のナイフって物騒ね。それにマリナさん男でもないのに鍛治なんてものできるの?」
「できるよ。私の道具は大体自分で作ってるからね。休みの日が来たら何かアリスさんに作ろうか?」
嬉しそうな顔をしてその顔を見られたアリスは少し照れながら言う。
「刃物以外も作れるのよね?杖なんてもの作れるかしら?」
「作れるけどどのような杖がいいの?」
「作れるの!?安いものでも豪華な食事を3回はできるほどの値段なのに!?」
「なにそれわかるけどわかりづらい例え...。素材さえあれば簡単に作れるよ。今度、家にある杖や道具持ってくるから見せようか?」
あまりの驚きに小動物のようにフリーズするアリス。
「おーいアリス?大丈夫か?」
「マリナさん私は一体...」
「それでどんな杖がいいの?」
「木製の杖かな?」
「それで属性はどうするの?師匠が言うには一つだけ1.5倍にできるみたいだけど。」
少し悩んでアリスは言う。
「基本の属性だけでもいいから全部は無理?」
「わからない。でも試してみるよ。」
3つの属性だと1.3倍と聞いたが全部となるとどれくらい下がるかわからない。でも杖は魔力を一点集中するものだからまあいいか。
「お腹空いたし食堂行ってみない?」
「いいよ。ここのご飯少し気になっていたし」
アリスとマリナは食堂へ向かうことになった。
マリナはインフィニティのことを思い出し、食堂へ向かう途中聞いてみた。
「そうだ!聞きたいことがあった。アリスさんの育て親のインフィニティってどんな人なの?クラスの人はみんな知っていたみたいだけど」
アリスは少し驚いた。
「知らない人初めてみた...名前からわかると思うけど一応、インフィニティって名前は二つ名だからね。本名知っている人はほとんどいない」
「アリスさんも知らないの?そのインフィニティは一体何をして有名になったの?」
「インフィニティは無限。どれだけ全力を出しても魔力が尽きることがない。神話時代の魔法使いの生まれ変わりとも言われているそうなの」
無限に魔法を使えるなんて信じられないが、神話時代の魔法使いの生まれ変わりと言われるくらいなら本当なんだろう。
神話時代の中で有名なのが勇者伝説、神々の戦、剣神と狼、雨の魔法使い、大地の精霊とそのほかにも多くの話がある。
大体は本になっていて二十数冊を持っている。
神話時代の魔法使いも剣士も魔獣も道具も今の時代よりもずっと凄かったそうで、本を見ていると剣一振りでドラゴンを倒すことを軽々やってしまう。そんな人たちが沢山いた時代だから、全力で魔法を無限に使える人は珍しくないのであろう。
「そうだ!マリナさん、今度本貸してくれない?神話のお話とか」
「いいけど、どんなものがいい?」
「マリナさんのおすすめがいいかな。できれば勇者伝説以外で。小さい頃沢山読んで内容覚えてるから知らない話がいいな。」
「わかった。家に戻ったら探すね」
気づいたら食堂についていた。
食堂の説明が大きく書かれていた。
チケットに今日のハンコを押して係の人に確認してください。ハンコを押したチケットは1時間半食堂を使うことができます。この食堂はバイキング式なので食べ物を盛ったら係の人にチケットを見せてください。チケットがない場合、購買場で購入してください。
チケットはもらったばかりなので60枚しっかりある。
チケットの値段は銅貨7枚7メル。
銅貨1枚は1メル。銀貨1枚は200メル。金貨1枚は10000メル。ミスリル硬貨は100000メル。あとヒヒイロカネ硬貨、アダマンタイト硬貨、オリハルコン硬貨がある。ただそれは高値で取引されたりコレクションにする人がほとんどなので、普通に使われることはない。
さて、ハンコを押して確認してもらったしどうしようか。
「アリスさんは何食べる?」
「いっぱいあるわね。この肉料理とかどう?お一人様5枚までと書いてるけど」
この料理は確かローストビーフだ。師匠がたまに作る。とりあえずプレートにのせるか。
「おっ、あっちにサラダのコーナーがある」
なになに?3種類の野菜サラダ、5種類の野菜サラダ、シーフードサラダの3つとドレッシングが数種類ある。
5種類の野菜サラダとドレッシングは柑橘風味のソースにした。
他にはガーリックライスとシチューを選んだ。
アリスはローストビーフ、ピリ辛パスタ、シーフードサラダ、パンを選んだみたいだ。
ローストビーフを一枚食べてからアリスに言った。
「アリスさんは勇者伝説の本を読んだことがあるんだよね?最後の内容どんな話だった?」
「えっと、確か大地の精霊イプシロンが闇の精霊ウプシロンに負け、光の巫女ルタがイプシロンの回復、仲間のサポート...」
「ちょっと待って」
ポケットから紙を取り出す。
マリナはメモを取る体制を取る。
「続けて」
「ルタがみんなのサポートをしてるところを魔神ファイが邪魔をしようとしてそれを防ごうと、雨の魔法使いレインが強力な一撃を放つ。最後に勇者アルファと黒の魔法使いマナは魔王オメガと魔王の右手プサイと魔王の杖カイと激戦を繰り広げた。無事に魔王を倒したがアルファとマナは瀕死の状態で回復したイプシロンは仲間の魂と体を分けて転生させた。魔王が復活しないように魔王の魂を三つに分けて転生させた。全て終わらせたイプシロンは石化し、森の中で眠る。こんな感じのお話だったわよ」
魔王の魂を分ける話は見たことがあるけど勇者達の魂を分けるのこの内容は聞いたことがない。いつの時代で書かれた内容だろうか?
「ありがとう。後でその本貸してくれない?」
「いいけど...マリナさんは本持っているんじゃないの?」
「時代によって子供向けとかが出て原作?本来の話から大きくされたり一部違った話が広まっているの」
勇者の本で大体7冊だったかな?魔王が倒されて数年経った後に書かれた本が1冊、数十、百数年後に書かれた本が2冊、残りは最近書かれた本をもっている。
「へぇ、知らなかったわ。今度いろんな本を見比べてみようかしら?」
「ならご飯食べ終わった後図書館行ってみない?」
話を聴きながら、アリスがパスタを口に入れた途端
「カラッ!?...ひいへど。」
どうやらアリスは辛いものが苦手らしい。
「少しもらっていい?」
「うん」
アリスのパスタを一口食べる。
味は美味しい。だけど後から辛さがくる。思ってたより辛かったけど、トマトの酸味に玉ねぎの甘さそれとお肉の旨み。私も辛いものは得意ではないけど、全然いける。
「少し辛いけど美味しいよ」
と言ってアリスを見ると泣きそうになりながらパスタを食べていた。
「美味しいけど辛ひー」
「お水を持ってるね」
食事を済ませ、図書館に行ったその後広場で...
「図書館思ってたより広かったなぁー。マリナさん、確か図書館の本全部読むと言ってたけど、あれは無理じゃない?」
「全部で大体2万冊ほどあるけど大体の本は同じものが5〜10冊あったり無駄に約30冊同じ本があるから、意外といけるかもよ」
「よく見てたわね。図書館うろうろしてたけど」
探知系の魔法を使った。とは言えない。なくても集中すれば一つの本棚の内容を十数秒で把握できるが。
壁掛け時間石が点滅してるのが見える。
「アリスさんそろそろ7時になるから寮へ戻ろう」
「確か道は...そこね。今何分?」
「40〜50分」
「広場から寮への道...は」
広場から寮の距離はそこまで遠くなかった。
「ここが第四広場だから第七実演教室がある方の通路が近道で......よし道を覚えた」
廊下を進むといろんな部屋が目に入る。
「ここが実演教室?」
「そうだね。まだ時間あるみたいだし、少し見てく?」
「見るだけだったらいいよね。多分塔みたいになってたところだと思うし」
階段を登っていくと扉があった。扉を開くと円状の教室があった。これならどの位置からでも良く見える。
「マリナさん、上を見て」
アリスに言われて上を見る。
「綺麗」
「そうね」
天井は空いてるわけではなかったが、星空のようにキラキラ輝いていた。
「マリナさん、急ぎましょう。時間石が早く点滅してるわ」
「出入り口があるところまでまっすぐだよね?」
そう言って教室を出て走って寮へ向かった。
『ただいまー』
「おっそいぞー。今ちょうど変わったよー」
「おかえりなさい。ミチルちゃんは一緒じゃないんですか?」
「ミチル?知らないわ。見てもいないよ」
ん?ミチルか。図書館でミチルのような気配はあったけど見てないな。
「ただいま。疲れた。」
「遅いよ〜ミチルちゃん。門限は過ぎたぞー。」
「どこに行ってたの?」
「図書館で魔法の本を探してた。」
やっぱりいた。でも今は何となくしかわからないから、お休みの日に森で気配察知と探知魔法を訓練しようかな。
ミチルの持ってる本が目に入る。
「ミチルさんは図書館で何の本借りたの?」
「これ?全部初級と中級の魔法の本。」
初級はわかるが中級は大丈夫だろうか?最初、初級の本を読むのに10日、中級の本を読むのに2ヶ月かかった。ずっと読み続けて。
「ア、アリス達も図書館行ったみたいだけど何か本を借りたの?」
「えっと確か...薬の本と海の神獣と雨の魔法使いと剣神と狼...あとは光の巫女の5冊だよ。」
「ほとんど童話ね。そうゆうの好きなの?」
「どれもマリナのおすすめね」
私のおすすめはキリがない。どの本も情報の塊だし、それを毎日読んでる私の脳内は7割ほど本の知識ではないだろうか。
ミチルは、アリスの持っている本をよく見て驚いた。
「て、その本ただの子供向けの童話じゃなくてガッチガチの上級者向けの難しいやつじゃん」
「え?そんなに難しいかな?」
何か勘違いをしているミチルに私は助言する。
「これで上級者向けのならその魔導書は難しいんじゃない?」
これで上級者向けのなら魔法の本、もとい魔導書の初級はただの本としては超級者向けではないだろうか。所々解読が必要な本もあるし。師匠から上級者向けの本を借りた時1ページ目から古文だった。何が書いていたかわからなかった。
「マリナ。なんでそんなこと知ってんの?」
「6歳の頃、まるまる10日かけて試しに読んだことがあるからね。」
「あんたの頭どうなってるの?ってか10歳未満は魔法を勉強してはいいんだっけ?」
「10歳未満魔法使用禁止法だったっけ。2〜3年前にできて子供が魔法を使うと事故が起こるから、10歳未満は魔法を使用してはならない。ただし魔法の使い方を学ぶこと、魔力を移動、物に込めるなどの魔力操作は、将来的に必要なので学ぶことは多少やっても良い、だったような。まあ当時その法はなかったから、法に引っかかっても無効だよ」
「難しい話はいいから私にこの本は読めるの?」
ミチルは歴史とか法律とかが苦手なのではないか?まあ、そのおかげでめんどくさいことにならなくてよかった。
「難しいと思うから、私が教えてあげようか?」
「いい。しばらく一人で読んでみる。わからなかったらマリナに聞く」
「ねえ?何かいい匂いがする」
匂いを探ると甘い匂いがする。
「私とマイちゃんで、クッキーをつくりました〜」
「先生が食堂の人と交渉して素材を用意してもらえてよかったね。エレンちゃん」
「あ〜でね〜、調理室があるのに学校に食材を買えるところがなくて困ってたけど。数日後に食堂と購買にねー、食材を買えるようにしてもらったんだー」
購買とかがあったんだ。わざわざ町までに、材料を買いに行かなくても良くなった。
エレン達に感謝したい。今度何か作ろうかな?
「クッキー分けたからみんな食べてね〜。」
「私は明日でいいかな?焼き立てを沢山食べたし」
「私も明日食べるよ。朝に糖分を取ると脳が働くと聞いたことがあるからね」
「私は読書のお供にたべるね」
「明日何の紅茶が合うか聞いてみようかな?リノさん達は知ってそうだと思うし」
クッキーはちゃんと保存すれば数日持つし少しずつ食べよう。
貴族のお嬢様は紅茶を飲むイメージが強いのだが、思い込みでないことを祈ろう。
昨日は少し眠れなかったから今日は早く寝よう。
「じゃあ私は明日の準備をして寝るね」
「早いね。じゃあまた明日」
『おやすみ〜』
部屋に入り、異夢の空間へ行き日記に放課後のことを追加した。
ペンや魔力水の準備をし、私はベットに入り眠りについた。
長文を書くととても疲れることがわかりました。この話は序の口ですのでこの先、大変だと思いますが頑張って完結させたいと思います。