序幕
「序幕」
誰もいない静まり返った空間。時折、どこからか鳥の鳴き声が聞こえてくる。
喧騒は遠くにあって、木々が風と共に葉を揺らす音が響いた。
自分だけが取り残された感覚を抱きつつ、眼前に横たわる猟銃をじっと眺めた。
窓から差しこむわずかな光で木製の銃床は淡い光沢を持ち、細長い銃身は黒く輝いている。
――これで父を撃たなければいけないのか。
避けられぬしきたりとはいえ、今なお気持ちの整理はついていない。
父はそこまでの仕打ちを受けるような過ちをおかしたのか。
いや、そんなことはない。ただ、この村で生まれ育っただけ。
たまたま運が悪かっただけ、本当にそうなのか。自分には答えが出せない。
そして、この村で生まれ育った事実は変えられない――ならばやるしかない。
現状を嘆いても何も始まらない。時間が経つだけ両親を苦しめるだけだ。
どこまでも広がる静けさに身を委ね、心の奥で小さな炎が揺らめく感覚がした。
久しぶりの執筆&投稿でドキドキしています。
和の要素を交えながら、現代日本を舞台に物語は進んでいきます。
定期的に更新することを心がけつつ、最後まで書き上げたいと思います。