04
アデルスたちは当初通り5エリアのカフェで一息ついたのだが、お昼頃客の混み具合もよくなってきたところで、ミナガセがアデルスに基礎の確認をするといい問題を質問形式で始めてからはさらに一層騒がしさが勝ったものだ。アデルスの基礎問題がボロボロだったのだ。最初は滞りなく答えられたのだが、徐々にうろ覚えだったり、見たことはあるようなものばっかりで、しっかりとした回答が答えられず、ミナガセからの辛辣な言葉の数々。店内では客たちが自分たちを見て笑ていたが、気まずさが居心地を悪くする。
「どうして、2年の問題がその中でも初期の初期!なんでわからないのよ!」
「すいませんでした!」
とさっきからこの通り、気まずいことこの上ないのだ。店内で注文した珈琲は既に冷めており、中身はまだ半分も減っていない状態だ。ウイルナーとキラが中身のないカップを見つめていたが、頃合いと見てきたかキラが話しかけてくる。
「みっちゃん。今日はこの辺にしておこ?まだ初日なのもあるけど店内で大きい声を出すのはどうかと思うよ」
その言葉を聞いてミナガセが周りをキョロキョロと視線を向けると客がなんらかの反応をすぐ示すので、自分が店内で浮いていたのを理解するのは時間はかからなかった。その状況で先ほど大きな声で喋っていたのを思い出したのか朱色に顔を染めるのを隠そうとしたのか机に伏せた。
「みっちゃんは物事に夢中になり過ぎなんだよ。他に周りを見ないとだめだよ?」
「う、うるさい」
ミナガセは心当たりがあるのかあまり強く反発せず、頼んでいた紅茶を飲むことでキラの注意の言葉から耳を逸らしていた。キラも察したのかあまり強く出ずに口を噤む。そこで、少し落ち着いた雰囲気なってきたので、ウイルナーが提案をしてきた。
「アデルスくんはまったく覚えてないわけではなさそうだし、今後僕たちが教えていけば大丈夫だよ。それよりも明日から僕は模擬戦をしたいと思っている。」
「模擬戦?」
「うん 僕たちは、お互いが一緒に闘う上で、得意不得意のことも知っておかなきゃならない。だから一番模擬戦が手っ取り早いと思ったんだ。仲間の動きはやっぱり見て把握するに限ると思っているからね もちろん勝ち負けじゃないからね。今回に限ってはお互いを知るためだから。」
ウイルナーの提案に納得なのかキラはしっかりと頷き賛同している。それを見て、ミナガセが呆れた顔でキラを見ていた。
「キラはトップの成績だったからみんなから模擬戦受けてもらえなかったもんね」
「私はしたかったのに誰も受けなく寂しかったんだよ!みっちゃんは人気者だったから誘えなくていつも先生ばっかりだったんだから。でもこれで解消されるね!」
「お手柔らかに頼むよ。僕はあまり戦闘は得意ではないんだ。」
キラはそんなに強かったのか、見る限り気ままな少女あたりにしか見えない。
「キラはそんなに強いのか?」
俺の疑問を一度嘆息し、ミナガセが答えてくれる。
「過去の中でもベスト3位入るわ。武器はサブマシンガンとナイフの接近特化武器ばかり。対人向け。なによりも驚異的なのは身体能力が高すぎるのよ。本来移動できないと思ってる場所を猿のように飛び回ってくるんだから」
「みっちゃん...猿はひどいと思うの。」
「キラなんだからその評価で十分だわ。」
もう少し彼らと雑談も絡めて会話し、2日後の月曜日に10エリアで、訓練と模擬戦をすることになった。