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第4話 楽しい部活の勧誘方法!

先日の騒動から2週間、昼休みにちょくちょく僕の教室に顔を見せるようになった妹から逃れるため、最近では昼休みは屋上で過ごす日々が続いていた。

そんなある日の事だった。

いつものように昼休みのマイライフを満喫していた僕に1人の客人が現れた。


「ちょっと、並川君?いったい何時になったら来るのよ!?」


屋上の隅で大智と話していた僕はその声に頭を後ろに傾けた。


「………水色……」


咄嗟に視界に入ったものをそのまま口にすると、その人は顔を真っ赤にしながら弁当箱が入っているだろう巾着袋を僕に向かって投げ飛ばしてきた。

予期せぬ出来事に反応が追いつかず、そのまま顔に当たり倒れた。


「いたたた……で、何のようだ?こんな時に」


弁当箱の中身が入っていなかったのが功を奏したのか、軽い打撲だけで済んだ。


「全く……今日はまぁ、私も不注意だったから見逃してあげるわ。

それで、話なんだけど……並川君は何時になったらクラブに来るわけ?

ここ2週間顔を見てないんだけど」


そう言えばそうだった。

この2週間はなかなか平和な日常が続いてたせいか、クラブに行くのをすっかり忘れていた。

まぁ、初めっから行くつもりなどなかったのだが、そろそろ彼女が来る事だと察知したので今日行こうと思っていたところだった。


「分かった、分かった。今日行くから」


僕の言葉を聞いて安心したのか彼女はすぐにこの場から去っていった。


「そう言えばお前って、料理研究クラブだったんだっけ?」


再び大智と2人っきりになると大智が先に話しかけてきた。


「まぁ……仕方なくな……」


よくよく考えて見ると僕がこのクラブに入った理由を大智にはまだ話した事はなかった。

それに大智の顔を見ると、凄く興味津々のような表情を浮かべているので話してやることにした。


―――――――――


それは去年の4月の終わりの頃だった。

クラスにも馴染み始め、大智とは既に深い仲になっていた。


「そう言えば、そろそろ入部受付の締め切りだったかなぁ……?

まぁ、僕には関係ないけど……」


中学の時は一様部活動には所属していたものの、高校に入ったら帰宅部に専念しようと強く心に誓いを立てていた。

しかし、出会いと言うのものは突然起こるものであった。


「わっ!」


家の事を考えながら放課後の教室を出た僕は教室の前を歩いていた人にぶつかってしまった。


「あっ……」


僕は咄嗟に倒れそうになっていたその子の手を掴んだ。


「ごめん。大丈夫?」


その子は掴まれたその手を見て何を思ったのか、顔を赤らめた。


「えぇ……大丈夫よ……」


そう言うとその子は掴まれた手を振り解いた。

そして、僕に向かって次の言葉を発した。


「あの、時間があったらちょっと付き合ってくれるかな?」


「えっ……まぁいいけど……」


僕はそのまま彼女の後をついて行った。


―――――――――


「なぁ、大智……お茶をくれ……話疲れた」


「ちょっと待ってろ……ほい」


「ありがとう」


「んじゃぁ、続きを……」


そう大智が促すので、再び話し始めた。


―――――――――


その子に着いていく事約10分。

高校の本舎から離れた別舎のとある部屋の前に着いた。


「ここは……?」


「ようこそ!料理研究クラブへ!」


「…………はい?」


事の展開について行けない僕には何を言っているのか分からなかった。

しかし、騙されたということだけは理解出来た。


「だ・か・ら、今日から貴方は料理研究クラブの部員って事!

因みに私はこの料理研究クラブの部長を務めている1年B組のひいらぎ琴乃ことの

よろしくね!」


話は逸れるが、うちの学校にはA〜I組の9クラスある。

因みに僕と大智と千草はC組なので、B組とは教室が隣同士であった。


「………てか、料理研究クラブなんてあったか……?」


よくよく考えて見ればそうだった。

うちの学校は運動部はもちろんの事、文化部にも力を入れているとは聞いていたが料理研究クラブなんてのは聞いたことがなかった。

それ以前に名前にクラブが入っている時点で、部活として成り立っていなかった。


「あるわよ!

今この瞬間、この場を持って料理研究クラブは正式にクラブとして成立したわ!」


確かクラブを運営するに当たって、部員の数は最低でも3人はいなくてはならないはずだ。

しかし、ここにいるのは柊と僕の2人っきりだった。

それに何よりクラブにも顧問が必要であった。

ボーッとしている僕の考えを読み取ったのか、柊は口を開いた。


「いるじゃない!あそこに」


よく見てみると部屋の奥に1人椅子に座ったいる女の子がいた。

その女の子は僕の存在に気がつくとこちらに向かって歩いてきた。


「ジーーー」


僕の顔を直視する女の子。

彼女はいったい僕の何を見ているのかは知らないが、正直女の子に顔を直視されるのは気恥ずかしいものがある。


「あのぉ〜……」


場が悪くなったので、とりあえず話を切り出そうとした。

しかし、その彼女は僕の顔を見続けていた。


「………50点……」


なにかの点数をはじき出すと彼女は僕から目を背けた。


「彼女は……?」


堪らず、柊に助けを求めた。


「あぁ、この子は不浄ふじょう美祢みね

私と同じクラスで、幼馴染なんだ」


と言う事は、この子が3人目の……いや、順序から言うと2人目の部員らしい。


「皆川東馬と言います。

同じ1年でC組です。

よろしく、不浄さん」


「……よろしく」


こうして僕は無理やりではあったが、料理研究クラブに入部する羽目になった。


―――――――――


「大変だったな……お前も」


大智は哀れむように僕を見るが、僕は全く気にしなかった。


「まぁな……それこそ始めは大変だったが、次第に馴染んじゃったし……

今では当たり前の日常生活の一部だもんなぁ〜。

あんまり行ってないけど……

仕方がない。

今日は行ってやるか!」


そう言うと同時に休み時間終了のチャイム校内に鳴り響いた。

〜キャラクター紹介 4〜

・神重大智

「友達思いの義理堅い情報屋」

生年月日:1992年 2月9日

血液型:O型

身長:172cm

体重:63kg

趣味:パソコンを使った情報収集。

特技:町内の人間なら、どの情報でも入手する。

特徴:自慢の茶髪をワックスで立てている。

   パソコンを操作する時のみ眼鏡をかけている。(実は普段はコンタクトをしている)

   校内では意外と女子からの人気が高い。(案外モテる)

好きなタイプの女性:可愛ければOK。

得意科目:理系教科はほとんど。

苦手科目:家庭科や音楽など。

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