第3話 瑞葉の……
先の出来事から2日後、ようやく僕は学校に戻る事が出来た。
「おはよう」
僕が教室に入るや否や、突然教室が静まり返った。
不思議に思いつつも久しぶりの学校だったのでなんだか懐かしい気分に浸っていた。
が、どうもみんないつもとは様子が違っていた。
僕は隣の大智を肘で小突いて訊ねた。
「おぃ、これはどういうことなんだよ?なんでみんな僕の事を避けるんだ?」
何も知らない僕の顔を見て大智は溜息をつきながら話し始めた。
「それは昨日の出来事だった……」
―――4月9日―――
「ヤッバァ〜!遅刻だぁ〜!」
俺、神重大智は通学路を全速力で駆け抜けていた。
「時間は……8時25分……
ここからだと……10分で椅子にsit&down出来るぜ!」
ちょっと間違った英語の使い方をしているが、細かい事は気にしない主義だ。
正しく言い直さないまま俺は依然爆走中だった。
数分後………
「BIT……IN!」
教室に勢い良く駆け込んだ俺はその生々しい光景を目撃する事になった……
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「っとここまでが第一章で……」
「止めないでいいから……続きを……」
間をおく友人に僕はすばやく突っ込みをいれる。
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教室の中は陰湿な空気に包まれていた。
「おい、いったいこれは何なんだ……?」
俺は近くにいた友人Aに訊ねた。
「……返事が無い……ただの屍のようだ……」
ふざけた回答をしたので、本気で友人Aを屍にしそうになったところにそれは来た。
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「真面目にやらないとお前も屍にするぞ……」
「……」
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「それ以上我が民に手を上げるのはよしなさい!」
その声に俺は聞き覚えがあった。
と言うよりも最近聞いたような気がした。
誰なのか気になった俺は振り返って見ると、そこには………
お前の妹、瑞葉ちゃんがいた。
「……民?」
何故だか不思議な事を口にする瑞葉ちゃんに周りの人々は跪いていた。
「我が君よ……おお、我が君よ……」
教室中でそのような声を耳にした。
「なっ……なんだ?これは……」
『敬う』と言うよりもむしろ『崇拝』……否、『宗教』化していた。
「瑞葉ちゃん……これは……?」
ようやく話している相手が俺だと気づくと、いつもの口調で話してきた。
「なんだ、大智先輩か〜!また信者の人が騒動を起こしているのかと思ったよ〜!」
(信者って……やっぱり宗教かなんかか……?)
頭の中で色々と考えたが、こんなにも大勢の人を従えるにはあまりにも時間が足りなかった。
なぜならば、この現象はまさに今日起こったものだったのだから……
それに前日が入学式だったので、瑞葉ちゃんの先輩に当たる俺達のことは何も知らないはずだった。
まぁ、例外的に入学式が終わった日の夜にお前の家を訪ねた俺とだけは面識があった。
「なんなんだい?これは……?」
再び瑞葉ちゃんに問いた。
「これは……学校の中でもお兄ちゃんとラブラブになるための作戦。
略して『OLD』通称、お兄ちゃんとラブラブ大作戦!」
(そのまんまなんですが……)
口にしようとしたけれども、その行為はこの教室の雰囲気から察するに自殺行為だと捕らえたため止めた。
よくよく見て見ると信仰しているのはクラスの男子諸君だけで、女子の姿は見当たらなかった。
それもそのはず………
彼等はこの良く見れば『可愛い』し、『妹系』で、スタイルも中々よい瑞葉ちゃんを『信仰』と言うよりも『萌え』ていた。
「それに可愛らしいくせにこの女王様系というギャップが又良い」と友人Aは述べていた。
まぁ、そんな彼等は俗に言う『M』だと俺は認知した。
「……そうか、頑張れ!」
俺はそういうと1時間目の体育のため、校庭へと走っていった。
―――――――――
「っとまぁ、こんなもんかな……?」
大智は話し終わるとやり切ったような満面の笑みを浮かべて僕を見ていた。
「そういう時は……妹を止めろよ!」
頭を抱えながらも、大智に言った。
確かにクラスを見て見ると、先ほどから僕を見ているのは男子しかおらず、殺気までも感じられた。
「はぁ〜、これからどうすればいいんだよ……」
幸先不安に感じられて仕方がなかった僕だった。
〜キャラクター紹介 3〜
・千草美鈴
「高貴な家柄だが、実は庶民派などこか抜けたお嬢様」
生年月日:1991年 7月30日
血液型:AB型
身長:159cm
体重:?kg
趣味:ピアノ・バイオリン・フルートなど音楽系。
特技:3歩歩くと自分に関係ないと思ったことは忘れてしまうこと。
特徴:黒色の肩より長い長髪。(1年前まではセミロングだったが、切らずに伸ばした)
幼げな顔立ちで、大きくて丸い瞳。
好きなタイプの男性:恋愛にはまだ興味を持っていない。
得意科目:ほぼ全部。
苦手科目:これといっては無いが、あげるとしたら体育。