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第23話 姫と庶民の暮らし方 〜後編〜

柊宅に到着した僕達はすぐさま体育館のような広さのある部屋に案内された。

そして始まったのが、地獄を見るかのような特訓だった……。


「あぁ、もう!

そこは右足からじゃなくて左足からで……

横じゃなくて斜め前に足を出すのってさっきから言ってるでしょ!」


パーティー用の服装を用意してもらうはずだったが、いきなり始まったのがこのダンスの練習である。

始めは軽く流してやれば良いものだと思っていたが、甘かった。

ダンスの練習が始まった途端に柊は表情が変わった。

僕に対してさらに厳しく当たるようになったのだ。

まさに鬼コーチのように……


「あの〜柊、そろそろダンスの練習を終わりにして服を選ばなきゃ……」


「黙らっしゃい!!

あなたにダンスの何が分かるというの!

この位で調子にのるんじゃありません」


すでに柊の言葉遣いが別人と化していた。

ダンス素人の僕に向かってかなり酷いことを言われたような……


「そ、それにこの私がダンスの相手をしてあげているんだから……

か、感謝しなさいよ」


「……けど実際にダンスに参加するかは……

まして相手がいないし……」


そう呟いた瞬間に背筋に悪寒が走った。

まるで後ろから睨みつけられているような感覚だった。

き、気のせいだろう……

心の中でそう自分に言い聞かし、絶対に後ろを振り向かないようにした。


「……私がいるじゃない……」


背後で呟かれたその声に僕は気付かず、再び練習の再開を余儀無くされた。

そして時刻は午後6時……

僕らは柊の特訓に何とか耐え抜き、柊家の車で会場に向かった。

主旨は変わってしまったが、僕は柊のお陰で自分に自身が持てた気がした。

あとは堂々と胸を張って会場に入るだけのはずだが……

何か忘れている気が……


「服装、何も変わってないじゃん!

普段着だよ、これ……

何のために柊ん家まで行ったんだ……」


会場に着いてからようやく気づいた事実に、僕はさっきまでの勢いが全て奪われた気がした。

まさか当初の予定を忘れるとは思っても見なかった僕にとって、自分の用意した服装は家に置いてきたままだった。


「ど、どうしたら……

一度家に戻るか……いや、それだと時間に間に合わないし……

新しいのを買うにもお金がない……」


「何をしてるの!?パーティー始まるわよ……って、なんて格好してるの!?」


まだ車の中にいた僕を心配してか、柊が様子を見に来た。

頼りの綱が柊しかいなかったので、事情を説明し始めた。

そんなときだった。


――――パァーーンッ――――


僕の頬に衝撃があった後、頬は熱を帯び始めた。

初めは何があったのか理解できずに、ただただ今起こったことに驚いていた。

そう、柊が突然僕の頬を叩いたのであった。

何が何だか分からずに戸惑っている僕に、柊は大きな声で言った。


「あなた、何を躊躇ってるのよ!

今までやってきたことはなんだったの?

全ては今日、この日のためじゃない!!」


ただ茫然としていた僕に、柊は更に追い打ちをかけた。


「本気を見せなさいよ!

私の……私の好きな並川君はこんなところで諦めたりしないんだから。

だから……

自分の決めたことはしっかりやり遂げなさいよ、並川東馬!」


そう告げると柊はこの場を去って行った。


「自分の決めたこと……か……

今まで僕は何も出来ないでいた……

だから、だからこそ今日で全てに答えを出そうと思ってた。

けど、実際は服装を口実に逃げていただけなんだな……

柊には後でお礼を言わなきゃな。

僕は……もう迷わない」


一人っきりになった車の中で自分に誓いを立てた。

そして僕は屋敷へと向かった。

あれ……

外が寒いんですが……

この前まで夏だった気が……


読者の皆様、大変申し訳ございませんでした。

長らく時間が作れずに、更新が遅くなってしまったことを深くお詫び申し上げます。


っということで、5か月ぶりに更新しましたブッシュです。

この5か月は異様に早かった気がします。

まぁ、これも年のせいですかな……


長い期間書いてきた(実際話数はそうでもないという……)この作品も大詰めを迎えました。

次話が最終回です!

全く完結していないこの話がどんな終わり方をするのかは……

みなさんのご想像にお任せします。


何はともあれ、次話が最終回!

そして、最後には重大なお知らせが……


これまで読んで下さった読者の皆様、次話もよろしくお願いします!

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