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第14話 『無』の世界

「ねぇ、1つ聞いても良いかな?」


僕は地下のとある部屋に連れてこられた。

教会の掟とやらで目隠しさせられ歩かされていた。


「なんでしょうか?」


「なんで……なんで手足を縛るんだ〜?」


そう、ここの部屋に入るとすぐに椅子に座らせられたが何故か拘束具を付けられた。


「それは、それだけこの儀式が恐ろしい物だからだよだよ♪」


なんでお前までいるんだよ……フローレラ……

なんて思いつつも着々とその儀式という職業検査が始まった。


「偉大なる神、アモールよ。

どうか我等にお導きのお言葉を」


『―――その声、しかと受け取った。

我が汝に問う。汝、如何なる力を欲す?

汝その力を奈何せん』


その声は部屋の奥にある滝の中から聞こえてきた。

どこか懐かしくて不思議な声色だった。


「僕はただ元の世界に帰りたいだけだ。

それ以外は何も欲したりはしない!」


自然とそんな言葉が口から漏れた。


『ならば受け取るがよい。

この先汝の意思が変わらぬ限り、我の力は消えぬ』


そう言うとその声は消えてしまった。

あれ、恐ろしい事なんて起こらないじゃん……

なんて思っていたのもつかの間で、それは起こってしまった。


「あぁ、なんたるお言葉……

あれがとうございます。創造主アモール様。

では始めましょうか、真の職業検査を……」


「え?もう終わったんじゃないの……?

ちょっと、なんで鞭なんでもってるの……

うわ、わあぁぁ……」


その後2時間たっぷりと拷問を受けた。

あぁ、これが職業検査なのか……

と1人で勝手に納得しながら僕の意識は途切れてしまった。


そこは何も無い世界だった。

ただ一面に『無』が広がっていた。

誰もいない、何もない。

自分が自分であるかも分からない世界に僕はただいた。

いや、物質の存在としては無かったが、確かにそこに僕はあった。

悲しみは無かった。

それよりかなんだか暖かい感じがした。


『ここにおいで』


空間に響く音を感じた。

それは僕を呼んでいるようにも感じられた。

体は無い。

けど動く事は出来た。

ただひたすらに浮遊した。

右も左も、上も下もない『無』の世界。

それでも僕は前に向かった。


『よく来たね、待ってたよ。

僕は君をずっと見ていた。

そして君が僕を望んだ』


僕が……望んだ……?


『そう、君が僕を欲したのさ。

だから僕がここに連れてきた。

ここはこの世界の中心。

君のいう『無』の世界さ』


世界の中心?

君は一体……


『僕はだれでもない。

存在には意味を持たないからね。

僕等は皆、世界の一部であり宇宙の末端さ。

それには意味なんて持ってないんだよ』


なら何故僕に呼びかける?

存在に意味を持たないのなら、僕の前に現れる意味のないじゃないか。


『それは違う。

確かに僕の存在には意味は無い。

だが君の存在には意味があるんだ。

それに僕は君の一部でもあり、君自身でもある。

けど、僕は君とは違った存在なのさ。

世界に存在するのは1つの物。

万物の真理では僕は存在することを許されていない。

だから僕の存在には意味が無い。

けど、君になら……

君になら力を分け与えられる』


話の内容は分からない。

けど言いたいことは伝わってきた。

つまりは、君と僕は表裏一体で僕が望むというなら君の力を分けてくれると言ったところか……


『そういう事さ。

さぁ、じゃぁ契約をしよう。

君が望むの物の為に僕が力を貸す。

そして君も僕の望みを叶える』


いいだろう、契約しよう。

僕は君を望み、君は僕を望むならば……


『うん、じゃぁ契約成立だね。

もうじきお迎えが来る頃だろう。

これだけは忘れちゃダメだよ。

自分を見失うな……』


それを言うとその響きは収まった。

そして再び『無』の世界に戻った。


「……きて……ねぇ、起きてったら」


「うっ、う〜ん……」


目を開けると僕はベットに寝かされていた。


「こ、ここは……?」


「ここは私んちだよ。まぁ、親は出かけていないんだけどけど……」


どうやら悪夢の拷問から解放されたらしい。

外を見ると既に真っ暗になったいた。

そんな僕をどういったわけかフローレラの家に運ばれた。


「そう言えば、あの拷問の……職業検査の結果はどうなったの?

てかあれって職業検査に関係ないんじゃ……」


再びあの悪夢を思い出してしまい、背筋に悪寒が走った。

二度とあんなもの受けるか!

と胸に堅く誓いを立てた。


「あぁ、あれですか。

あれは確かもう1度やり直さないと……

ってセリ様が言ってたような……」


「ひぃぃ……!

あれだけは、あれだけは勘弁してくれ〜〜!」


セリ様というのはおそらくはあの教会で話した人だろう。

それにあの拷問を執行したのも何を隠そうそのセリ様とやらだった。

見かけは優しそうだが、やる事は恐ろしい。

そんな人だった。


「あっ、でも最後には何か決まったみたいだったから大丈夫かもかも!

それになんか通知を渡されちゃったりして〜」


そういうとフローレラは持っていた封筒を僕に渡してきた。


「えぇ〜と、何々……」


『この度貴方は勇者に選ばれました。おめでとうございます。

これによって貴方は魔王を倒さなければなりません。

その為にもそこにいるフローレラを連れて行って下さい。

その子をよろしくお願いします。 Byセリ』


「と、言うわけでふつつか者だけどよろしくなの〜!」


「……えっ、えぇっ〜!」


後日この晩、街では魔物の声が聞こえたという噂になった位大声を出してしまったらしい。

そして翌朝……


「ふあぁ……よく寝たぁ〜。

ってなんでフローレラも一緒に寝てるんだよ!」


昨晩は疲れが残っていたのか、あの後すぐに眠りについた。

そして朝起きたらこんなことに……


「ふあぁ……あっ、おはよう。東馬」


「おい、おはようじゃないだろう!

なんでお前が僕の布団の中にいるんだよ!」


「えぇ〜なんでって、普通のことでしょでしょ〜?」


これも後日知った話だが、どうやらこちらの世界では睡眠というものは皆でまとまって取るものらしい。

けど、これだけはどうしても慣れることは無かったというのが事実であった。


「そんな事より、早く旅に出ようよ〜!」


確かにフローレラの言う事にも一理ある。

がしかしその前にやっておかなければならないことがあった。


「ちょっと待ってくれフローレラ。

君はあの教会の人なのにここから離れてもいいのか?

今一度考え直す気は……」


「無いよ。これは私が決めたことだし、それに創造主アモール様のお言葉でもあるの……」


いつもの話し方とは違った感じからすると、どうやら真面目な話らしい。


「そう……君がそう決めたというのなら僕がどうこう言う権利はないけど……

だけど1つだけ、1つだけやっておきたいんだ。

もう1度あの教会に……」


僕は意識を取り戻してからあの『無』の世界について気になっていた。

もしかしたらセリさんなら、いやアモールなら知っているかもしれなかったからだ。


「そう言えば、気になっていたんだけどね〜……」


「ん、何?」


不意にフローレラは僕に訊ねて来た。

それはもういつもの様子だったので、僕もそれに合わせて対応する。


「その左目、ここに来た時は何とも無かったのに……

何かしたのかなぁ〜って」


その突然の告白に一瞬戸惑うってしまった。

何を言ってるんだ……?

僕が何も分かってないと思ったフローレラは僕に手鏡を渡してきた。

それを受け取り鏡を覗き込んで僕は言葉を失った。

左目の……左目の色が変わった……


「なっ、なんだこれは!?」


別に何をしたというわけでもなく、身に覚えが無かった。


「うぅ〜ん……確かこれは契約の印だと思うんだけど……

何かしたのかなかな?」


僕はこれまでの事を思い起こした。

そして『無』の世界でそのような事をしたのを思い出した。


「……契約した。

あぁ、確かに僕は『無』の世界で契約を行ったような……」


「『無』の世界?」


フローレラは頭の上にクエッションマークを浮かべながら僕に言った。

僕は『無』の世界の出来事を話した。


「確かあの時世界の中心だとか存在がどうとか……

まぁ、よく意味は分からなかったけどね」


その話を聞いてフローレラは唖然としていた。


「それ、神話で聞いたことがある……

聖なる世界にて契約を結んだ者はその者の願いが叶う。

しかしその力を悪に使えば即ち身を滅ぼし、善に使うなら聖獣が力を貸してくれるとか……

もうその話は1000年も前の話だから詳しくは分かっていないの。

でも1つだけ……1つだけ事実があった。

それと年を同じくして、大邪神『ヴォゼリア』が復活した。

そして聖獣を操る者と『ヴォゼリア』との決戦があり、なんとか聖獣が大邪神を倒して再び封印をしたの。

そして聖獣を操る者を勇者と称し、この世界では伝説になっている」


話をし終えたフローレラの目は輝いていた。


「その聖獣と契約した人がいるだなんて……

しかも一緒に旅を!」


ジリジリと迫ってくるフローレラから逃げつつ僕はもう1度教会に行く事にした。

突然家を飛び出した僕をフローレラが追ってきた。

確かに契約をしたが、それはまだ聖獣と決まったわけではないと思った。

もしかしたら違うものかも……

そんな疑問を解決すべく教会を目指していた。


「セリさんいますか?」


教会の裏の扉を開けると既に地下への隠し扉は開いていた。

まるで僕が来るのを知っていたかのような振る舞いに僕は息を呑みつつも階段を下りた。


『待っていたぞ、勇者東馬よ……』


地下部屋に入るとその声が聞こえてきた。


「創造主アモールよ、『無』の世界とはなんですか?

そして僕が契約したのは……」


『汝が契約したのは間違いなく聖獣だ……

なんなら試しに召喚してみるがよい。

この世界には5匹の聖獣がおる。

空の聖獣『クラウン』、風の聖獣『フロー』、地の聖獣『グロード』、水の聖獣『セレーラ』、そして光の聖獣『ゼクサス』。

これらが世界の創造主である我と共に崇められる5大聖獣だ。

そして『無』の世界とは根源の世界とも呼ばれている。

人の本質が、心が澄んだ者のみ行く事が出来る世界。

それぞれの世界に聖獣が住み、その者の意思で呼び出される。

そして汝が出会ったのは光の聖獣『ゼクサス』。

彼が汝を選んだわけは知らぬが、確かに汝は聖獣に選ばれた』


アモールの言葉を10割理解したわけではない。

けど、やはり大体は理解していた。


「その話を聞く限りでは、再びこの世界が危機に瀕しているということか?」


『そうだ。

1000年前とは違った、今度は魔王を復活させようと企んでいる者がいた。

そして先日ついに魔王が復活したのだ』


魔王……勇者と相反する存在。

そして勇者に選ばれたのは僕……


「分かった。必ずや世界に平和を取り戻してみせる」


そう言うと僕は教会を後にした。

教会を出ると外でフローレラが待っていた。


「話はついたのかなかな?」


僕は軽く頷くとフローレラは笑顔になった。


「じゃぁ、行こうか。魔王を倒しに……」


僕たちの冒険はまだ始まったばかりだった。

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